吉田 賢二 院長の独自取材記事
吉田歯科医院
(横浜市西区/横浜駅)
最終更新日:2025/09/22

横浜駅西口地下に広がるショッピングゾーンに直結したビル5階で、1973年から診療を続ける「吉田歯科医院」。多様な診療内容と専門性の高い診療の提供に努めている同院には、成人を中心に90歳以上の高齢者まで、横浜市内全域から患者が通う。父である先代院長から同院を受け継いだ吉田賢二院長は、「歯科医療としての正解を踏まえつつ、患者さんにとって何が正解かを重視して診療したい」と話す。インプラント治療など専門性の高い治療だけでなく、予防にも力を入れるほか、医科歯科連携や歯科衛生士育成など、地域や歯科界全体を考えた取り組みにも力を注ぐ。そんな吉田院長に、同院の特徴や歯科医療への思いなどを聞いた。
(取材日2024年12月16日)
横浜駅近くで半世紀にわたり、幅広い歯科診療を行う
まず、こちらの診療内容や特色を教えてください。

当院は横浜駅すぐ近くのビル5階で、約50年診療を続けるクリニックです。地域の患者さんの多様なニーズに対応できるよう幅広く診療し、虫歯や歯周病の予防・治療の他、インプラント治療、セラミックを素材とするかぶせ物を使う審美面に配慮した治療、マウスピース型装置を用いた矯正なども行っています。また、予防も重視しています。歯科衛生士によるクリーニング、歯周病チェックなどを行う定期的なメンテナンスを目的に通われる方が増えているので、2023年には診療スペースを広げて診療ユニットを増やしました。よりリラックスできる環境で多くの方に予防を実践していただければと思います。
診療の際、どのようなことを大切にされていますか?
患者さんが納得されてから治療することは、当院の診療の大前提です。虫歯などで歯を削ったり抜いたりする必要があるときも、口腔内を映した映像やエックス線画像を診療ユニットにつけたモニターでお見せして、こうした現状だから治療の必要があるということをご理解いただかない限り次には進みません。さらに、最近では「歯科医療としての正解を踏まえながら、患者さんにとっては何が正解か?」を重視しています。患者さんの「抜きたくない」との気持ちに寄り添い、治療しないリスクをご理解いただいた上で、可能な場合は経過観察という選択肢もご提示します。特に高齢の方は、歯を抜いて食事がしづらくなると認知症リスクが高まることも懸念されます。症状がある部分だけでなく、患者さんのお考えや全身の健康も考慮して、治療を考えていきたいですね。
患者さんが現状を把握するには検査結果の見せ方も重要ですね。

ええ、そのために当院は、検査結果の「見える化」と診断の根拠や治療目的のわかりやすさを重視しています。各ユニットにはモニターを設置し、口腔内スキャナーで歯並びや噛み合わせを3D画像にしたり、口腔内の映像をご覧いただいたりする機会を設けています。もっと基本的な染色による汚れの判断では、歯に残っても目立ちにくい黄色で染めるなど、受けやすいよう配慮。この他、CTによる検査を行うことで口から顎まで透視画像で3次元的に捉えることができ、より適切な診断に役立てています。患者さんの利便性や「見える化」による安心感・納得度を高めるための技術は今後も発展するでしょうし、こうした医療DXはスタッフの負担軽減や働きやすさにもつながるため、当院は積極的に取り入れたいと考えています。
インプラントや根管治療など専門性の高い治療も充実
インプラント治療について詳しく教えてください。

当院でのインプラント治療は、より高い精度をめざし、CTによる検査、口腔内スキャナーによる計測、手術時のサージカルガイド利用をセットにして考えています。CTで歯や顎の状態を3次元的に捉え、口腔内スキャナーで口の中を精密に計測することで、その患者さんに合った治療計画を立てることができます。さらに人工歯の土台となるインプラント体を適切に顎に埋入するため、治療する部位をもとに作製したサージカルガイドという補助具を使用します。これにより必要以上に深く入らないように埋入角度が固定されるため、患者さんも安心して治療に臨んでいただけるでしょう。インプラント治療では、しっかりした噛み合わせをめざすことも期待でき、気に入っていただけるのではないでしょうか。
根管治療や食いしばりの治療にも力を入れていると聞きました。
患者さんのニーズをもとに幅広く対応しています。初診の方は、ほとんどが痛みなど急を要する症状をお持ちなので、その処置を優先しますが、同時にエックス線やCTで一通り検査をして、現在治療すべき部分も画像や検査の数値などから納得いただけるように努めます。さらに、症状の根本的な原因が何か把握できたら、今後必要になる治療についてもお伝えします。この他、炭酸ガスレーザーを歯茎の腫れの軽減、治療前後の殺菌などに使用し、歯の内部を治療する根管治療では高周波で治療した歯の根管部分の殺菌を図るなど、新しい機材を積極的に導入して治療を行っています。また、最近は、食いしばりの影響で歯が欠けたり、顎関節症になったりしている方が多いので治療を希望される方が増えていますね。
院内に歯科技工士が在籍するメリットは何でしょうか?

まず対応がスピーディーな点で、入れ歯の修理も、最短当日中に修理してお渡しが可能です。加えて、歯科医師と密接にコミュニケーションを取れ、かぶせ物や差し歯の形状や色など細かな指示に対応してもらえる点もメリットです。例えば、治療後にさらに矯正を行う場合、新しく作る歯も矯正後を想定して作る、といった打ち合わせもスムーズです。もちろん、患者さんのご希望があれば、歯科技工士に直接相談していただくこともできます。院内にはセラミックからかぶせ物を削り出すCAD/CAM冠も設置していますが、これは加工速度は遅くても、精密な技工ができるような装置を選んでいます。それでも歯科技工士の繊細な加工にはかなわないので、CAD/CAM冠で作製したものをさらに精緻に仕上げるように依頼しています。
医科歯科連携や、歯科衛生士育成の取り組みも視野に
歯科医師を志したきっかけなどを教えてください。

当院の前院長である父の姿を見て、歯科医師という仕事に興味を持ちました。歯学部への進学に迷いはありませんでしたが、大学在学中は自分が歯科医師に向いているかどうか、自信が持てないままでしたね。卒業後は審美歯科やインプラント治療を得意とするクリニックで経験を積み、患者さんと接する中で、「患者さんが幸せになるお手伝いができる仕事に就けて本当に良かった」と感じられるようになったんです。そこでは丁寧に治療を行う大切さ、インプラント治療をはじめとした先進的な治療の基礎も学べました。当院で診療を始めたのは2007年からで、父と一緒に診療する時期を持てたのも良かったと思います。その後、診療は私と姉が中心となり、私が院長を引き継いで現在に至ります。
今後に向けて、どのような展望がありますか?
まず、歯科と医科の連携を深めることです。生活習慣病の患者さんを包括的に診るためには内科の先生と、金属アレルギーへの対処には皮膚科の先生との協力が欠かせません。歯科と医科の連携により、患者さんの健康を地域全体で支える力になりたいと考えています。また、予防歯科のニーズは増えているのに、それを担う歯科衛生士の不足が顕著ですので、歯科衛生士という職業の理解を深めるために、高校生へ働きかけが必要と考えています。歯科医師会などを通して、当院だけでなく、歯科界全体を考えて活動していきたいと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

歯の治療は削ったり抜いたりが一般的で、治療のたびに歯は減っていきます。しかし、定期的なメンテナンスで病気の予防や早期発見に努めれば、治療で歯を減らすという矛盾を極力抑えることができると思います。また高齢になっても歯が残っていれば口から栄養をしっかり摂取でき、認知症になるリスクの軽減も期待できます。特に20代から40代くらいの方は虫歯も少ないせいか、「痛みがないから大丈夫」と口の中のケアをあまり重視されない傾向を感じます。歯周病や虫歯になってからでは後戻りできませんから、口腔内の健康を維持するためにも定期メンテナンスを受けることをお勧めしたいですね。当院では、歯科衛生士は患者さんごとの担当制を基本としてメンテナンスを行い、継続して診ることで、わずかな変化にも気づけるようにしています。他の歯科衛生士が担当する場合も、院内での情報共有をしっかり行いますのでご安心いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/37万5000円〜、インプラント治療/1本38万5000円〜、ジルコニアセラミックによるクラウン/1本8万8000円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。