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若年化と複雑化が進む
子どもの不安症とそのリスク

横浜クリニック

(横浜市西区/横浜駅)

最終更新日:2024/10/30

横浜クリニック 若年化と複雑化が進む 子どもの不安症とそのリスク 横浜クリニック 若年化と複雑化が進む 子どもの不安症とそのリスク
  • 保険診療

不安症とは、さまざまな病態を総称する名称。不安症の中には、パニック症や社交不安症(対人恐怖症)、強迫性障害などが含まれる。近年は不安症患者の若年化が進んでおり、6歳頃から発症するケースも少なくない。子どもの不安症の症状では、吐き気が最も多く、その他頭痛、腹痛などがある。どれもよくある症状のため、親が不安症だと気がつくのは難しい。しかし、放置してしまうとうつ病を併発したり、自傷行為を行うようになったりする危険もあるという。「横浜クリニック」の貝谷久宣理事長に、不安症とはどういうものか、何が原因で子どもが不安症になるのかを聞いた。症状や治療法について理解しておくことで、もしものときに対応しやすくなるだろう。

(取材日2024年7月25日)

不安症を専門的に診てきたからこそ、不完全な子どもの不安症にも対応可能

Q不安症とはどのようなものですか?
A
横浜クリニック 初診時には、丁寧に問診を行い、診察に生かしていく

▲初診時には、丁寧に問診を行い、診察に生かしていく

不安症には、パニック症、社交不安症(対人恐怖症)、強迫性障害、全般性不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった病気が含まれます。不安は、脅威や精神的ストレスに対する正常な反応であり、誰もが経験するものです。しかし、中には日常生活に支障を来すほど、強い不安感に襲われる人もいます。その不安を誘因するものや病態によって病気が分けられるのです。近年は不安症の若年化が顕著になっており、小学1年生頃から症状が現れるケースも少なくありません。また、子どもの不安症は診断が難しいことから、ほかの病気に隠れて治療が遅れる事例も散見されます。

Q子どもの不安症の症状について教えてください。
A
横浜クリニック 不安症に罹患する世代の若年化に警鐘を鳴らす

▲不安症に罹患する世代の若年化に警鐘を鳴らす

不安症の子どもの症状では、吐き気やめまい、頭痛、腹痛などがあります。特に多いのは吐き気です。嘔吐恐怖症という病気があり、これも不安症に含まれます。嘔吐恐怖症は1つの病気ではありません。3つの病態に分かれます。1つ目は限局性恐怖症です。吐くことそのものが怖いと感じます。2つ目は対人恐怖症です。人前で嘔吐した経験があり、人から嫌な目で見られているのではないかと考えてしまいます。3つ目は未熟なパニック症です。不安の身体的症状として嘔吐が強く出ます。これらは1つの病態のこともあれば、3つが組み合わされて嘔吐恐怖症を引き起こしていることもあります。専門的な医院でなければ診断は難しいでしょう。

Q何が原因で不安症を引き起こすお子さんが多いですか?
A
横浜クリニック 開放感のある待合スペース

▲開放感のある待合スペース

子どもの不安症で多い嘔吐恐怖症の場合は、パニック症の未熟型の発作として吐き気が出て、それに不安が加わり吐き気恐怖になる場合があります。また、社交不安症が根底にある場合、会食で吐いてしまい恥ずかしい思いをするのではないかと嘔吐恐怖となる人も。吐いた経験がなくても嘔吐そのものが怖いと考えてしまう限局性恐怖症の児童もいます。不安症の人は嗅覚に敏感な人がいて、給食の匂いが嫌で、嘔吐恐怖になる人もいます。また、広場恐怖や対人恐怖症は、両親がそうした性質を持っていると発症しやすい傾向があることがわかっています。幼児期に激しい人見知りがあった場合、小学生高学年~中学にかけて対人恐怖症が現れることもあります。

Q症状を放置するとどのようなリスクがありますか?
A
横浜クリニック 早めに専門家に相談することが大切

▲早めに専門家に相談することが大切

4万人以上を対象にアメリカで実施された大規模な調査によると、うつ病と診断された患者さんの約4割以上に不安症がある、もしくは過去にあったことがわかっています。つまり、不安症からうつ病を併発する可能性があるということです。また、パニック症を経験したことのある子どもは、16歳頃になって、友人関係などから対人恐怖症を発症し、うつ病も併発してしまうことがあります。この場合、身体的症状がないにもかかわらず、パニック症のような発作を引き起こす例が多く、これを当院では不安・抑うつ発作と呼んでいます。治療をしないと、自傷行為や過剰薬物摂取といった行為にもつながる病態です。

Q治療法について教えてください。
A
横浜クリニック それぞれの特徴によって、最適なアプローチを行う

▲それぞれの特徴によって、最適なアプローチを行う

不安症の治療には、薬による治療と、認知行動療法による治療があります。特に、体質的な不安症の場合は薬での治療を行います。他方、精神的ショックに起因する不安症には、認知行動療法を用います。認知行動療法では、恐怖症の成り立ちや維持の仕組み、不安への対処を学び、不安場面に段階的に直面する練習を行うことで、発作の抑制を図ります。複数の病気を併発している場合は、薬と認知行動療法の両面からアプローチすることが大切です。子どもを連れて診療に来るのが難しい場合は、アメリカで主流のペアレントカウンセリングも有用です。両親がカウンセリングを受けることで、子どもの回復させるための糸口を見つけます。

ドクターからのメッセージ

貝谷 久宣理事長

近年は不安症のお子さんの年齢が若年化していて、小学校1年生頃から病気を発症する人も珍しくありません。また、発達障害のお子さんが不安症を併発している例もあります。不安症を患っている本人は、周囲が思う以上につらい思いをしています。お子さんに接するときには決して怒らず、お子さんの気持ちに寄り添った対応をしてあげてください。不安症について専門的に理解している医師はまだまだ少数です。当院には専門的な知識を持った医師や心理士が多数おります。お子さんやご自身で不安なことがあれば、長年不安症を診てきた当院にお越しください。

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