功刀 初穂 理事長の独自取材記事
しらゆり歯科医院
(松戸市/馬橋駅)
最終更新日:2026/04/16
馬橋駅から歩いて1分の好立地に建つ「しらゆり歯科医院」。院内は大きな窓から自然光が入り、リラックスしながら待ち時間を過ごすことができる。理事長の功刀初穂(くぬぎ・はつほ)先生は、笑顔が絶えず、明るい雰囲気による親しみやすさが魅力的だ。むし歯治療やインプラント治療をはじめ、幅広い診療を行う中で、「健康は歯から」という診療方針を掲げ、「8028運動」を提唱している。これは、歯周病の治療や咀嚼への取り組みに注力した経験がもとになっている。歯の健康が全身の健康にも影響するという考えを持ち、予防歯科に力を入れ、歯周病治療や定期検診の大切さを訴える。「歯と全身は密接な関係性にあることを知ってほしいです」と、話す功刀先生に、歯科医療に関するさまざまなことを聞いた。
(取材日2026年3月3日)
歯が元気であることは全身の健康の維持につながる
先生のご経歴を教えてください。

一級建築士として会社勤めをしていた父と専業主婦の母のもとで育ち、女性が社会で活躍できる仕事として歯科医師をめざすようになりました。鶴見大学歯学部に進学し、在学中の夏休みに歯科のボランティアに参加する機会がありました。障害者や診療所のない離島の人たちの診療をサポートする内容で、困っている人たちのために仕事をすることはすばらしいと感じたのを覚えています。そこで知り合った女性の歯科医師が生き生きと働かれている姿に感銘を受け、ボランティアを主催していた歯科医院に1997年に入職。さまざまな経験を積んだ後、2001年に「しらゆり歯科医院」を開院しました。北松戸駅近くの居抜きの物件でスタートしたのですが、東日本大震災で建物が被災したため、2011年に現在の場所に移ってきました。
さまざまな診療をご経験されたと伺いました。
最初に働いた歯科医院では障害のある患者さんも診ましたし、高齢者の訪問診療も担当しました。早くから歯周病の治療に力を入れていて、治療を終えた患者さんに定期検診を受けてもらう取り組みをすでに確立していたと思います。2年目には重度歯周病の外科的手術も経験し、3年を超えた頃にはインプラント治療も学びました。当時は勤務とは別に、月に5回くらい外部の講習会を受け、さまざまな領域の専門家の先生方に教えていただきました。数多くの講習会に参加し、自分でも専門書を読むなどして技術や知識を身につけました。もともと勉強するのが好きなことに加え、親族に歯科医師がいるという環境ではなく、自分から飛び込んだ世界なので、患者さんのためになることなら吸収したいという気持ちが強かったのです。
当時、転機になったできごとはありましたか?

当時、入れ歯を作製した認知症の患者さんの様子を見ていて感じたことがあり、噛むことと脳の機能の関連性について自分なりに調べました。すると、咀嚼筋を動かすことで脳の血流量が増加し、脳の働きの活性化につながると分かりました。このことから、高齢になればなるほど噛むことは大事なのだと考えるようになりました。また、当時から重度歯周病の患者さんの顔色が土気色であることが多かった点が気になっていました。その経験から歯周病の対策を重視するようになり、治療や予防の重要性を啓発するようになったのです。
噛むことを重視するため高齢者の訪問診療も実施
診療方針について教えてください。

開院当初から「健康は歯から」をテーマに掲げています。歯周病の治療には力を入れていて、歯を残すことにこだわっています。特に重要なのは、奥歯である7番の歯(第二大臼歯)と6番の歯(第一大臼歯)でしっかり噛めることです。7番と6番の間に大きな唾液腺である耳下腺の開口部があります。唾液の分泌量が減るとむし歯や歯周病を悪化させてしまうといわれていますし、唾液には免疫として作用するIgAと呼ばれる抗体などが多く含まれているため、7番の歯までしっかり噛めることが健康を維持するために必要だと考えています。
そうした考えから「8028運動」を推進されているのですね。
「8028運動」は、80歳になっても親知らずを除く28本のすべての天然歯を残すことをめざす取り組みですが、その本質は噛める状態の維持を図ることです。たとえ抜歯を余儀なくされても、インプラントや入れ歯によって、7番の歯まで噛むことができれば、口腔内の機能は簡単に崩れることはないと考えています。開院以来、高齢者施設を中心とした訪問診療を続けているのも、施設で暮らす高齢者で自身の口腔ケアを100%できている人はほとんどいないからです。もちろん、咀嚼できるようにするため入れ歯の作製や調整も行っています。そして、今私が注目しているのは、口腔乾燥症(ドライマウス)です。50代くらいの女性からの訴えが多く、さまざまな原因が考えられますが、口腔乾燥症の場合、7番の歯までしか噛めていないことが多いのです。状態が悪い歯を放置した結果、体を悪くして病院へ通うような人をなるべく少なくしたいと思っています。
東京家政大学大学院で食物栄養学も学ばれたと聞きました。

2012年に食物栄養学専攻の修士課程を修了しました。歯周病を悪化させる原因の一つが免疫力の低下です。では、なぜ免疫力が下がるのだろうと自分で調べた結果、食べ物と深い関係があるのではないかと思ったのがきっかけです。実際には、栄養学を学び直しただけでなく、東洋医学や整体の先生にも師事して、東洋医学における気血水や、体の血流やリンパの流れといったことも学びました。顎関節症の患者さんの場合は、セルフマッサージをしてもらってから噛み合わせを診たり、マッサージを受けてもらうこともあります。
子どもたちの将来を考えた取り組みにも力を入れたい
歯周病の治療や予防歯科ではどのようなことをされているのですか?

歯周病治療ではプラークや歯石を取り除くスケーリングや歯周ポケット内の歯石をしっかり除去するSRP(スケーリング・ルートプレーニング)など、基本通りの治療を行っています。歯周ポケットの深さを測る際に、一般的には4ヵ所を測る4点法で良いとされているのですが、当院では見逃しがないように6点法を採用しています。重度の場合は、フラップオペレーションと呼ばれる外科治療や歯周組織再生医薬品を使った再生療法を行います。予防歯科では歯周病安定期治療による保険適用の定期検診を実施。健康への意識がさらに高い患者さんに対しては、歯周ポケット内のバイオフィルムもしっかり除去する、より時間をかけて行う自由診療の定期健診も用意しています。
今後の展望を教えてください。
2024年により精密な検査健診ができるように、分院「CT健診DENTALCLINIC松戸」を開院したので、今後は分院と連携を深め、健診に力を入れていきたいです。健診以外にも患者さんに向けた講習会を積極的に開催したいと考えています。診療の面においては、口腔機能発達不全の一つである、子どもの口がポカンと開いたままの「口唇閉鎖不全症」が気になっています。口の中が乾燥することでむし歯や歯周病になりやすくなることに加え、通常は舌の位置が上がっていなければいけないのに、舌が下がっていることで顎の発達が妨げられるとされ、歯並びにも悪影響を与えるといわれています。そのような子どもたちの歯の健康にも、力を入れていきたいと考えています。
口腔内の健康を維持するためのメッセージをお願いします。

歯周病予防でまずめざしてほしいのは、歯周ポケットが4ミリメートル未満であることと、歯肉から出血しないこと。自宅で正しい歯磨きをして汚れを取り除き、歯肉をマッサージしないと、健康な歯を維持することはできません。定期検診で歯石を取り除いているとはいえ、定期検診を受けてさえいれば良いわけではなく、歯肉や歯周ポケット中で炎症を起こさないことが重要なのです。炎症を起こさないよう、毎日のメンテナンスをしっかり行うことを心がけてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/40万円~、自由診療の定期健診/1万3000円~

