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樋口 誠逸 院長の独自取材記事

よりどころメンタルクリニック横浜駅西口

(横浜市神奈川区/横浜駅)

最終更新日:2024/04/15

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口 main

横浜駅西口から徒歩5分というアクセスの良さが魅力の「よりどころメンタルクリニック横浜駅西口」。2023年4月より院長を務める樋口誠逸先生は、特にうつ病の診療経験が豊富なベテランドクターだ。同院ではうつ病をはじめ、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などさまざまな疾患・症状に対応する。働き盛りの患者が多く、当初から「社会復帰」を目標に診療を進める点が同院の大きな特徴である。「心の病気も体の病気と同じように、早期発見・治療が重要です。調子が悪いと思った時は気軽に訪ねてほしい」と呼びかける樋口院長に、診療の特徴や患者と対話する上での心がけ、医師になる前は脳科学の研究者だったという異色の経歴についても語ってもらった。

(取材日2024年3月8日)

「社会復帰」を目標に、一人の患者を多職種で支える

まずは患者層について教えてください。

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口1

だいたい20~50代の成年・壮年期の方が多いですね。男女比でいうと、やや男性のほうが多いでしょうか。当院に来られる患者さんは圧倒的にうつ病の方が多いです。症状としては、憂うつ気分、意欲の低下、興味・関心の喪失、眠れない、食べられない、自分で自分を責めてしまう、などが挙げられます。一番深刻なのが希死念慮です。うつ病の次に多いのは、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などですね。それから、発達障害の方や、少数ですが統合失調症の方もおられます。

クリニックの診療の特徴は何ですか?

先にお話ししたとおり成年・壮年期の患者さんが多いので、最初から「リカバリー=社会復帰」を目標に治療していることが当院の大きな特徴といえるでしょう。当面、症状を抑えれば良いという考え方ではなく、もとの職場や社会環境に戻ることを治療のゴールに据えています。主に薬物治療で症状の改善をめざし、次に職場の上司や人事の方、産業医と連携しながら復帰の段取りを図っていきます。リワークプログラムのある職場であればそれを活用しながら、あるいはリワーク専門の訓練施設に通ってもらって、社会復帰のための下準備をします。いきなり復帰するとうまくいかないケースが多いので、この下準備が大事なんです。すべて患者さん経由で職場とやりとりしています。治療の中心はあくまでも患者さんですので、患者さんを中心にしてコミュニケーションを図ります。

公認心理師によるカウンセリングも行っていると伺いました。

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口2

はい、当院では精神療法として公認心理師によるカウンセリングを行っています。例えば、薬物療法を行っているものの改善に限界がある、または家庭内に問題がある、発達過程での問題が考えられるなどの場合、精神療法を使うことがあります。それから、うつ病の改善に向けて認知行動療法を行うこともありますね。これは「認知のゆがみを修正する」というもので、何事も自分で引き受けてしまったり抱え込んでしまったりする傾向がある場合などに、そうした捉え方や考え方を修正していく方法です。

公認心理師のほかに精神保健福祉士もいらっしゃるとか。多職種でサポートすることの良さとは何でしょう?

それぞれ役割がはっきり分かれていますので、専門分野のことについて相談に乗り、クリニック全体で患者さんを支えるというスタンスで対応しています。その点が患者さんの安心にもつながるのではないでしょうか。医師は薬物療法を中心とした医学的な対応を、公認心理師は精神療法を行い、精神保健福祉士は社会生活に必要な手続きのサポートや、社会資源、福祉資源の活用方法をアドバイスします。例えば傷病手当金の申請や障害者手帳をどうするか、リワークプログラムをやっている施設がどこにあるか、といった内容ですね。ちなみに当院の医師は私を含めて10人以上おり、当然ではありますが主治医制にしています。一人の患者さんを時系列で診て把握しなければ、治療の方針を決められませんから。それと、当院の母体は医療法人誠心会で、関連病院と連携しているので、希死念慮の強い方など入院が必要になった場合に病院へつなぎやすい点も強みといえます。

患者の訴えに謙虚に耳を傾け、共感することを大切に

治療の流れについてお聞かせいただけますか?

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口3

まず、患者さんが「何に困っているのか」という主訴を聞くことから始まります。主訴を聞いたら、「この病気じゃないだろうか」「あの病気かもしれない」と仮説を立てる。仮説に応じて、その病気の診断基準となる項目を一つ一つ詳しく患者さんに聞いていき、必要があれば心理テストをして、診断につなげていく、というのがおおまかな流れです。

患者さんのお話を聞く上で、大切にしていることは何ですか?

大切にしているのは、患者さんの訴えに謙虚に耳を傾けて共感すること。そして、患者さんを助けてあげたいというこちらの気持ちを表明すること。「あなたの今のつらい気持ちは、きっと治りますよ」「一緒に治療していきましょう」という気持ちをベースに置いておかないと、患者さんは心の悩みを話してくださいません。

なるほど。ほかに心がけていることはありますか?

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口4

患者さんが答えやすいような質問の仕方をすることですね。体の病気であれば「ここが痛い」と表現できるけれど、メンタルの病気の場合、多くの患者さんは症状を表す言葉を知りません。なぜなら、心の状態を表現する習慣がないから。「気分はどうですか?」といきなり聞いても、患者さんは答えられず、「気分て何だろう……?」と考えることになってしまいます。ですから、「気分はどうですか? 天気に例えてみましょう。晴れていますか? 曇っていますか? 雨ですか? どしゃぶりですか?」というふうに聞いていかないと、患者さんは答えられないのです。ただ、やりすぎると誘導尋問になってしまいますから、そうならない程度に導いて差し上げることを心がけています。

心の病気も体の病気と同様に、早期発見・治療が重要

先生のご経歴についても教えてください。

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口5

実は私はもともと、基礎医学といって、脳科学の研究をしていたんです。私の関心は基本的に脳にあって、「脳の謎に迫りたい」という想いで、九州大学医学部を卒業後、東京大学大学院で脳の研究をしていました。自我意識、つまり自分が自分であるという感覚は、脳の中でどのようにしてつくられているのか、それを知りたかったわけです。ただ、脳の研究というのは面白さはあるものの非常に難攻不落で……。朝から晩まで休みなく研究しなければなりませんから体力勝負でもあり、自分の今まで積み上げてきたものを臨床の場で生かすという道を選びました。国立病院機構の病院で11年勤めた後、富士見台病院の院長を経て、3年ほど前から当院に勤務し、2023年4月に当院の院長に就任して現在に至ります。

脳に関心を持ったきっかけは何だったのですか?

ノーベル医学生理学賞も獲ったあるイギリスの研究者が脳細胞の電気活動の謎を解明した本があるのですが、それを読んだ時に、こんなことまでわかるようになっているのかと、頭をがつんと殴られたような衝撃を受けました。200ページ以上あった本ですが、引き込まれてしまって、その場で一気に読み終えたほどです。25~26歳の頃だったでしょうか。あの衝撃は今でも忘れられません。

最後になりますが、読者へのメッセージをお願いします。

樋口誠逸院長 よりどころメンタルクリニック横浜駅西口6

昨今、特にうつ病はメディアでよく取り上げられるようになり、誰でも知っている病気になりました。そうした意味では、患者さんの受診に対するハードルは、昔と比べてかなり下がっている印象があります。ただ、メンタルのクリニックを受診するのにはそれなりの覚悟がいると思いますので、「いかに気軽に受診してもらうか」は常に積極的に取り組まなければならないことだと考えています。当院の場合、駅前でアクセスしやすいという点が、一つの強みになっているかもしれません。体の病気も心の病気も、人体が持つ機能が障害されている状態であり、早期発見・早期治療が重要という点で共通しています。症状を長い間抱えて重症化してしまうと治療も困難になってきますから、調子が悪いと思った時は気軽に訪ねていただきたいです。役所などさまざまな所に相談窓口もありますので、ぜひ活用してくださいね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

公認心理師によるカウンセリング/5,500円~

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