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池田 潔 院長の独自取材記事

池田バスキュラーアクセス・透析・内科

(福岡市中央区/薬院駅)

最終更新日:2024/01/26

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科 main

福岡市地下鉄七隈線薬院駅から直結、西鉄天神大牟田線薬院駅から徒歩1分の場所にある「池田バスキュラーアクセス・透析・内科」。腎臓病の治療から、人工透析のために必要なシャントを作製するバスキュラーアクセス治療、人工透析までを一貫して行い、2010年の開業から10年以上にわたって腎臓病を抱える人々を支えてきた。開業当初からエコー下での穿刺や体液量をもとにしたドライウェイトの測定など、先進の設備を活用し安全に配慮した血液透析を心がけ、患者のライフスタイルに合わせやすい在宅血液透析にも対応するなど、人工透析を必要とする患者の負担を軽減できるよう努めている。長年、福岡赤十字病院の腎臓内科に勤め、日本透析医学会透析専門医でもある池田潔院長に、クリニックの診療方針や力を入れている治療について話を聞いた。

(取材日2023年12月19日)

腎臓病の診療からシャント手術、人工透析までを担う

こちらはどのようなクリニックなのか教えてください。

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科1

腎炎や保存期腎不全などの腎臓病の治療と、人工透析のために必要なシャントの作製や修復を行うバスキュラーアクセス治療、そして腎臓病などによって低下した腎機能を補うための人工透析までを一貫して行うクリニックです。専門性の高い4人の医師が在籍し、通院や人工透析が必要な患者さんの健康を見守っています。当院は薬院駅からすぐと非常に通院しやすい場所にありますので、県内外から患者さんが通われています。保存期腎臓病の患者さんを長期的に診療していることに加えて、私が専門とするバスキュラーアクセス治療も数多く扱っています。シャント作製やシャントのトラブルなどの理由により、他のクリニックからの紹介で手術のみを受けに来る患者さんも多くなっています。

クリニックの特徴や強みは何でしょうか?

バスキュラーアクセス治療のトラブルで閉塞や狭窄が起こる原因の多くは、穿刺のミスによる血栓形成です。免疫が低い血液透析の患者さんは感染症を引き起こしやすく、医療スタッフには精密で安全重視の穿刺が求められます。当院では開院当初からエコーを見ながら血管に針を刺すエコー下穿刺を行い、穿刺ミスを減らすことに努めてきました。また、開院後から取り組んでいるのが、体液量を測定できる装置の活用です。人工透析後の体液量を測ることで、人工透析を受けることにより血液の過凝固を起こしたり、夏場の脱水によって血管が詰まったりしてしまう方がいるとわかったのです。人工透析後の目標体重をドライウェイトと言い、通常は血圧と心胸比、身体的な所見などをもとに決めますが、季節ごとにこまめに体液量を観察しながら、ある程度幅を持たせたドライウェイトを提示することで、さまざまなトラブルを防ぐことにつなげています。

開業当初から先進的な取り組みを行われてきたのですね。

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科2

私がもともと新しいもの好きということもあって、患者さんに有益だと感じた機器や医療は惜しみなく取り入れてきました。ただ、そういった取り組みが当院だけのことになってしまっては意味がないと思っています。当院をモデルケースとして、他のクリニックにも取り組みが広がり、地域全体で予防に努めていけるのが理想です。エコー化穿刺を例に挙げると、他院にも導入を推奨したことで、現在は市内の多くの人工透析のクリニックでエコー下穿刺が可能となりました。当院で人工透析を受ける患者さんだけでなく、腎臓病を抱える多くの方が安心して生活を送れるよう、地域の医療レベルを底上げしていく必要があると感じています。

福岡で在宅血液透析に対応するクリニック

患者さんの全身管理にも注力されていると聞きました。

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科3

腎臓病の患者さんは合併症やさまざまな疾患のリスクにさらされて生活しています。担当医として腎臓だけでなく体全体の変化を見落とさないためにも、透析に通っている患者さんには毎年、心エコーや腹部エコーをはじめ動脈硬化や骨粗しょう症、腫瘍マーカーなどの検査を受けてもらっています。2、3年に1度は外部の医療機関での消化器の検査も勧めています。患者さんの中には「自分は大丈夫」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、検査を通してがんが見つかることもあり得ます。どのような病気も早期発見・治療が重要です。習慣的に通うクリニックだからこそできる働きかけを、これからも続けていきたいと思います。

在宅血液透析も行っているのですね。

在宅血液透析は、クリニックで行っている人工透析をすべて自宅で行う人工透析の方法です。在宅血液透析にあたってトラブルを心配される方もいますが、相談の多くは機器の操作に関するトラブルです。当院ではすべての機器に遠隔カメラを取りつけることで、急なトラブルにも対応できる体制を整えています。導入して1ヵ月ほどたてば、ほとんどの方が操作にも慣れていただけると思います。在宅血液透析で注意しなければならないのは、患者さんご自身による穿刺です。感染症のリスクを下げながらスムーズな人工透析を行うためにも、在宅血液透析の患者さんにはカテーテルを用いた人工透析を選択肢として用意しています。カテーテルを用いた人工透析は、全国的にもまだ普及が進んでいない印象です。カテーテルを用いた人工透析に関する疑問や不安がありましたら、何でもご相談ください。

在宅血液透析はどのような方にお勧めですか?

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科4

在宅血液透析を行うためには機器の設置費用や水道代、電気代などの費用がかかるのに加えて、ご自身での穿刺や、付き添いの方が必要になるなどのさまざまな負担が生じます。また、清潔であることがとても重要ですので、正しい管理やこまめな消毒も必要です。その一方で、ライフスタイルに合わせやすい人工透析なので、生活や仕事への影響を減らすことにつながります。さらに、回数制限なく人工透析を行うことができるため、症状の改善や合併症のリスク低下も期待できるなどメリットも多い方法です。特に忙しい働く世代や通院を負担に感じている方で、先ほどの条件をクリアできるという場合には積極的に取り入れてほしいと思います。

負担の少ない人工透析で、患者の豊かな人生をサポート

クリニックを開業するまでの経緯についてお聞かせください。

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科5

大学卒業後、2年目に希望して福岡赤十字病院で腎臓内科で研修したことがきっかけで以後、合わせて19年間勤務しました。学生時代から関心のあったバスキュラーアクセス治療に力を入れながら、腎臓病や人工透析医療に関して幅広く経験を積み、本当に多くの患者さんを担当しました。開業を考えたのは、当時、私が福岡赤十字病院に勤務していた頃、福岡で血液透析をするためには入院が必要でした。こうした状況を変えたいと思い、私のこれまでの経験や技術を生かして日帰りでシャント手術を行い、外来で人工透析の導入が可能な施設をつくり、患者さんの生活を支えたいと考えるようになり、現在の場所で開業することを決めました。

診療において心がけていることを教えてください。

集団で行う透析室の感染対策です。透析室では時間別に1日3人の方が1つのベッドを使うことになるのですが、1回の人工透析終了ごとにすべてのシーツを取り換えるようにしています。さらに、個室の透析室を3室用意しているので、インフルエンザや新型コロナウイルスに感染している場合にも、周囲に感染を広げずに人工透析が可能です。あとは、患者さんを待たせないことも大切ですね。当院では透析の開始時間の10分前に来てもらい10分間で3人ずつスタートするシステムで、穿刺まで長時間待たずに済むようになっています。どれも基本的なことではありますが、こうした工夫が患者さんの安心感や人工透析に対するモチベーションにもつながると思います。

今後の展望と、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

池田潔院長 池田バスキュラーアクセス・透析・内科6

近年になって、カテーテルを用いた人工透析にようやく注目が集まりつつあります。今後は当院での実績をもとに、カテーテルを用いた人工透析の普及とエコー下でのバスキュラーアクセス治療に力を入れていきたいと考えています。また人工透析患者さんの中には過剰血流によって心不全を起こしてしまう方も多く、そうした方のシャントを縮小する修復治療にも取り組んでいます。私たちの願いは、人工透析を必要とする患者さんが通常の人と同じように人生を送ることです。そのためにも、引き続き新しい技術や知識を取り入れながら、人工透析が患者さんにとってのマイナスにならないよう、負担の少ない人工透析のシステムとトラブルの予防に努めていきたいです。

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