多々隈 貴之 院長、多々隈 久美 副院長の独自取材記事
医療法人 くま歯科・こども歯科
(春日市/春日駅)
最終更新日:2022/04/01
西鉄バス池の下バス停すぐ。白い壁にレンガ調のアクセントが映える建物が同院だ。院長の多々隈貴之先生が一般歯科を、副院長の多々隈久美先生が小児歯科を担当し、幅広い年齢層の患者が通う。治療のメリット・デメリットを伝えた上で、患者の意思を尊重する同院。「忙しくて今は治療に通えないという方には、現在の問題点や今後の起こりうる問題のリスクを説明した上でこれからの治療を提案しています」と患者が主体的に治療に臨めるように工夫を凝らす。小児歯科に通う子どもに対してもその子の意思を尊重し、どうしたいのか?何をされたら嫌なのか。一人ひとり向き合うことで信頼関係を深めている。気さくに話をしてくれる院長、副院長の両名に一般歯科・小児歯科の特徴や治療スタンスなどについて語ってもらった。
(取材日2021年4月21日)
一般歯科・小児歯科に対応。笑顔あふれる治療をめざす
まず先生方が歯科医師をめざしたきっかけからお聞かせください。
【院長】祖父や父、兄や叔父、いとこも歯科医師で、他にも母が歯科衛生士だったりと、歯科技工士なども含め、家族や親戚に歯科関係の仕事に就いている人がとても多いんです。なので私も歯科医師になるんだろうと自然と思っていましたし、ほとんど迷わずにこの仕事を選びました。
【久美先生】昔から子どもが大好きで、将来の職業を保育士、小児科医師、小児歯科医師の3つで悩み、小児歯科医師を選びました。自分も子どもの頃に歯科に通っていたので、歯科の医師がイメージしやすい職業だったんですよね。なので大学卒業後も小児歯科のクリニックに就職しました。
お二人は九州歯科大学の同級生だったと伺っています。
【院長】同じ授業を受けていた仲間です。でも卒業後の進路はまったく違っていて、私は一般歯科、久美先生は初志貫徹で小児歯科に就職しました。その後開業するにあたって、それぞれの専門性を持ち寄れば幅広い患者さんに対応できるクリニックにできる、と考えました。この場所を選んだのは、実家がこの近くにあり、私自身も子どもの頃からなじみのあるエリアだったということもあります。家族・親族も歯科に関わる人ばかりなので、近くであればいろいろな相談もしやすいのでは、という考えもあり、実際に助けられている部分もあります。今年で開業して10年、ありがたいことに地域の方に多く足を運んでもらっています。
小児歯科の魅力は、どんな点にありますか?
【久美先生】やはりお子さんの成長を間近で感じられる点でしょう。最初はできなかったお子さんが、通っているうちにだんだんとできるようになっていく。一人ひとりの成長の過程が見えるんですよね。特にお子さんには「歯医者を嫌いにさせない、好きになってほしい」という思いで接しています。どんなに泣いていても最後には笑ってくれたり、できるという自信、いわゆる成功体験を身につけてほしいとも思っています。本当に自分の子どもだと思って接していますから、叱る必要があれば叱ります。でもそういう思いって、子どもにも伝わると思うんですよね。だから子どもを信じて、一人の人間だと思って接することをしっかり心にとどめていますし、私たちが向き合った思いは、しっかり子ども側からも返ってくれるんですよね。
患者の体全体を診て、患者の意思を尊重した治療を提案
院長はどのような点を心がけておられますか?
【院長】人を診る、という点ですね。例えば痛みのある箇所があったとしても、歯だけではなく口全体、その方全体を診るようにしています。患者さんの環境や年齢、治療の流れを考え、その治療が今すぐに必要なのか、それとも5年後でも可能なものなのか……治療というのは、患者さんに無理に押しつけるものではないと考えています。今は人生90年、100年時代です。長いスパンで考え、患者さんが損をしない道を提案することが大切なのだと思います。当院であれば小児歯科で久美先生が流れをつくってくれているので、その子たちが大人になった時にもし歯が1〜2本なくなりそうだということになっても、それが大きな病気にならないように舵取りをしていくことも重要だと考えています。
患者さんの意思を尊重しておられるんですね。
【久美先生】通院していくうちに学び、その中で自分なりのやり方を考えてくださるようになるといいですよね。患者さんも一緒に治療について考える、という点が大事なのではないでしょうか。小児歯科では矯正も行っているんですが、歯並びが悪くなるには、頬の筋肉の力、座り方など、悪くなる原因が必ずあります。それらにアプローチしていかないことには、矯正をしたとしても結局また悪くなってしまいます。単に「矯正がありますよ」と伝えるだけではなく、姿勢や食べ方、抱っこの仕方、母乳のあげ方など、日常生活で気をつける点を知っておくことは大事だと思うんです。知っていればいつか必ず治療につながるはずですから、そういった知識自体も広めていきたいですね。
人生という大きな流れで治療を捉えておられるんですね
【院長】歯医者が怖いのはお子さんだけじゃないですよね。子ども時代の経験から、大人になっても歯医者が怖いという方も大勢います。当院が焦って治療を進めないのはそういう点もあるからです。小児歯科・一般歯科など年齢に関係なく、患者さんの意思やペースを尊重することは非常に大切です。噛み合わせや歯並びはとても大切な要素ですが、それを今すぐに治療できるかどうかは患者さん次第。子育てやお仕事で忙しい時期もあるでしょう。そういった場合は「お子さんがもう少し手を離れてからじっくり治療しましょうか?」などと提案をします。特に歯周病は一生の付き合いになる治療ですが、これには毎日の歯磨きが重要なポイントになります。できるだけ具体的な、想像しやすい提案をしますし、もし治療に来れない場合はどんなデメリットがあるのかという点も、包み隠さずお伝えします。選択権は常に患者さんにあるんです。
治療を通じ、歯科治療全体の底上げへ貢献していきたい
小児矯正ではどのような方法を導入されていますか?
【久美先生】ワイヤー矯正と、最近ではマウスピース型も増えてきました。それぞれにメリット・デメリットがありますから、それらを伝えた上で選んでいただきます。ワイヤーは痛みが生じますし、最近では幼くても見た目を気にしてマウスピースを選ぶお子さんもいます。一方でマウスピースだと外せる分、治りも遅くなることがありますから、そこは親御さんにも頑張ってもらわないといけません。矯正では特に「頑張ったね」と褒めるなど、モチベーションアップの言葉も大切にしています。それにご本人は気づかなくても、当院で撮った写真に変化の歴史が残っているんですよね。これは大人の方も同様で、歯周病治療での歯茎の変化なども実感していただいています。
印象的な患者さんはおられますか?
【久美先生】最近びっくりしたのが、「僕の矯正の治療に使ってください」と昨年の特別定額給付金の使いみちを提案した子がいたことです。自分なりに給付金のこと、矯正のことを調べて、お母さんにお願いしたそうなんです。大人以上にはるかに物事を考えているのだと実感した出来事でした。今後もそういった子どもが増えるといいなと思っているんです。院長先生ともよく「いつか患者さんの中から、くま歯科で働いてくれる人が出てくるといいよね」と話しています。当院がある種の“学びの場”であることで、患者さんが将来、歯科へつながる道を選んでくれることがあれば、歯科全体の底上げにもつながるだろうという思いは常にあります。そうすれば私たちもスタッフももっと、誇りを持って働き続けられると思うんです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
【院長】新型コロナウイルス感染症の影響で受診を控えている方もおられますが、口腔内が汚れていると他の病気のリスク、そして感染リスクが上がってしまう場合もあります。口腔内バキュームなども導入しているように、歯科はそもそも感染リスクにとても厳しい場所です。必要以上に恐れることなく、ご自身の体を守るためにも適切に診察を続けていただきたいと思います。小児歯科を含め、歯科は恐れ、こわばって来るような場所ではないのです。治療の中でつらい瞬間はあるかもしれませんが、それを乗り越えれば必ず、大人であってもお子さんであっても、皆さんの糧になる治療です。皆さんの頑張りのサポートをしっかり行うのが私たちの役目ですから、どうぞ気軽にいらしてくださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/ワイヤー矯正:38万5000円~
マウスピース型装置を用いた矯正:7万7000円~