多々隈 貴之 院長、多々隈 久美 副院長の独自取材記事
医療法人 くま歯科・こども歯科
(春日市/春日駅)
最終更新日:2024/10/02

「長年、心に思い描いてきたクリニックがようやく完成しました」と笑顔で迎えてくれた、「くま歯科・こども歯科」の多々隈貴之院長。2011年の開業から春日市郊外のこの場所で、多々隈久美副院長とともに一般歯科・小児歯科診療に尽力。今回、満を持して全面建て替え、2024年7月にリニューアルオープンした。1階は駐車場、2階は広々としたクリニック、3階はなんと同院で働くスタッフのためのフロアだ。「患者さんもスタッフも心地良く過ごせる空間に」とのコンセプトどおり、ここに通うのが楽しみになるような環境を整えた。診療においては一貫して患者の意思を尊重し、患者が主体的に治療へ臨めるようサポートする2人にリニューアルのポイント、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年8月28日)
2024年リニューアル。患者もスタッフも居心地良く
森の中にいるようなナチュラルな雰囲気のクリニックですね。

【貴之院長】窓が多くて木や緑があって、壁紙に動物、天井には青空と、五感すべてでくつろげるような空間をイメージしてデザインしてもらいました。駐車場からエレベーターで2階へ上がっていただくと、まず広い待合室があり、キッズスペースや授乳室、トイレ2つを設けています。診療室は小児歯科と一般歯科のゾーンを分け、雰囲気をガラリと変えました。小児のゾーンには半個室のユニットが2台、親御さんに抱っこされた状態でもお口の状態を観やすいフリースペース、親子で一緒に入れる個室のファミリールームがあります。大人のゾーンには半個室のユニット2台と個室の特診室。音や室温に敏感な患者さんには個室をご案内したり、室温を細かく調整したりすることも可能です。逆に、治療音や子どもの声がある程度聞こえていたほうが安心できる方もいらっしゃいますし、さまざまなニーズに応えられるようになりました。
コンセプトは「患者もスタッフも心地良く過ごせる空間」だとか。
【久美副院長】より良い歯科診療を提供するには私たちだけでは無理で、絶対的にスタッフの力が必要です。患者さんファーストは当然のこと、私は当院で働くスタッフも大事にしたいと考えています。今回、治療中に舞う粉じんなどを吸う口腔外バキュームを各ユニットに設置したり、滅菌レベルの高さにこだわったクラスB滅菌器や高圧洗浄器を導入したりしたのも、患者さんの安心、そしてスタッフの安全のためです。ほぼ一日をここで過ごすスタッフがより快適に過ごせるようにと、3階は院長室以外すべてをスタッフのためのスペースに。広いカフェのようなセミナールームや仮眠も取れる和室、見晴らしの良いベランダなどがあり、15人のスタッフには休憩中はここでリラックスしてもらいたいと思っています。
診療において院長が大事にされているポリシーは何ですか?

【貴之院長】人を診る、ということです。例えば痛みのある箇所があったとしても、歯だけではなく口全体、その方全体を診る。患者さんの環境や年齢、治療の流れを考え、その治療が今すぐに必要なのか、それとも5年後でも可能なものなのか。治療というのは、患者さんに無理やり押しつけるものではありません。今は人生90年、100年時代です。長いスパンで考え、患者さんが損をしない道を提案することが大切なのだと思います。当院は一般歯科を私、小児歯科を副院長が担当し、開業から10年以上ずっと当院に通ってくださっている患者さんも多いです。その方たちがもし歯が1〜2本なくなりそうになったとしても、そこから重大なトラブルにつながらないようかじ取りをしていくことも重要だと考えています。
患者の意思とペースを尊重した治療を提案
長いスパンで考えて治療を進めることを重視されているのですね。

【貴之院長】年齢に関係なく、患者さんの意思やペースを尊重することは非常に大切です。歯科医院が怖いのは子どもだけではありません。子ども時代の経験から、大人になっても歯科医院が怖い方は大勢います。当院が焦って治療を進めないのはそんな点もあるからです。また、例えば噛み合わせや歯並びは大切な要素ですが、それを今すぐに治療できるかどうかは患者さん次第。子育てやお仕事で忙しい時期もあるでしょう。そういった場合は「お子さんがもう少し手を離れてからじっくり治療しましょうか?」と提案します。特に歯周病は一生の付き合いになる治療ですが、これには毎日の歯磨きが重要なポイントになります。できるだけ具体的に想像しやすい提案をしますし、もし治療に来られない場合はどんなデメリットがあるのかも包み隠さずお伝えします。選択権は常に患者さんにあるのです。
小児歯科の患者さんも非常に多いと伺っています。
【久美副院長】私は昔から子どもが大好きで、九州歯科大学卒業後は小児歯科に就職し、当院開業後も小児歯科を中心に診療しています。診療では子どもの意思を尊重し、一人ひとりと真摯に向き合うことで信頼関係を深めることを重要視していますね。スタッフ一同、「歯科医院を嫌いにさせない、好きになってほしい」の思いで接し、どんなに泣いていても最後には笑って、できるという自信、いわゆる成功体験を身につけてほしいと願っています。子どもを信じて一人の人間として私たちが向き合った思いは、しっかり子どもから返ってきます。
歯列矯正にはどのように対応されていますか?

【久美副院長】小児の矯正は私か、月1回診療に入る矯正専門の歯科医師が対応します。当院が特に注力するのは矯正に至る前の、小さい頃からの咬合育成。歯並びが悪くなるには、頬の筋肉の力、座り方など、関連する要素があり、それらにアプローチしていかないことには、矯正をしたとしても結局また悪くなってしまうと考えます。唇と舌の力のバランスを整えることは、体全体の健康にもつながります。単に「矯正がありますよ」と伝えるだけではなく、姿勢や食べ方、抱っこの仕方、母乳のあげ方など、日常生活で気をつけたいポイントを知識として広めていきたいですね。大人の場合は信頼する矯正歯科を紹介しています。
地域の子どもたちの将来に貢献できるクリニックへ
院長が歯科医師をめざした理由、開業の経緯を教えてください。

【貴之院長】家族や親戚に歯科関係の仕事に就いている人が多く、私も歯科医師になるのだろうと自然と思っていました。九州歯科大学を卒業後は、約6年間志免市のクリニックで研鑽を積んだ後、2011年に当院を開業しました。私の一般歯科と副院長の小児歯科、それぞれの専門性を持ち寄り、幅広い患者さんに対応できるクリニックをめざしました。この場所を選んだのは実家が近くにあり、私自身も子どもの頃からなじみのあるエリアだったこと。開業時は平屋建てでしたが、ありがたいことに患者さんもスタッフの数も増えてきて手狭になり、別の場所で診療を続けながらリニューアル工事を進め、2024年7月に完成しました。私が長年構想してきた理想のクリニック像をほとんどすべて実現することができ、うれしく思っています。
今後挑戦してみたいことはありますか?
【貴之院長】3階のセミナールームでは、症例発表など歯科関係の勉強会ももちろん行いますが、私が一番やりたいのは、例えばファイナンシャルプランナーや税理士や保育士など他の業界の講師を呼んで、当院のスタッフ向けに話をしてもらうこと。患者さんとお話しする時の引き出しが増えるでしょうし、スタッフ自身の人生の中できっと必要になる知識だと思いますから。近い将来には、地域の子どもたちのための講座なども企画してみたいですね。そして、できるかどうかわからない夢ですが、いつか子どもと社会・仕事を結びつける相談に乗ったり、子ども食堂に関わったりと、地域の子どもたちの将来につながるような何かがしたいと考えています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

【貴之院長】当院はスタッフが多いとよく言われますが、それはスタッフが職場に気を使わずに休める環境を整えたいからです。私はスタッフに、仕事よりも自分の体、家族の体を優先してくださいと常に話しています。カツカツの人数で回すより、ちょっと人が多すぎるくらいのほうが休みやすいのはどこも同じですよね。今年新卒で歯科衛生士が2人入りましたが、先輩たちにゆとりがあるので丁寧に指導できるし、成長を見守る余裕がある点も大きなメリットだと思います。私たちが充実して仲良く働くことがクリニック全体の雰囲気を良くし、患者さんの歯科医院への恐怖心を和らげ、居心地の良さにつながる。それが歯を守ることにもつながると信じています。どうぞお気軽にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/ワイヤー矯正:38万5000円~
マウスピース型装置を用いた矯正:7万7000円~