石田 亜弓 院長の独自取材記事
あゆみ歯科
(横浜市西区/戸部駅)
最終更新日:2026/04/13
京急本線戸部駅から徒歩5分、大通りを直進した先のビル1階に「あゆみ歯科」はある。白とベージュを基調にグレイッシュグリーンを差し色にした院内は、歯科医院というよりも近所の家を訪ねるような穏やかな空気が漂う。院長の石田亜弓先生は、父が長年この地で営んできた歯科医院を2025年にリニューアルオープンという形で受け継いだ。ゆっくり話を聞いて治療するという良さはそのままに、丁寧な説明と新しい設備を加え、自分の色を重ねている。「患者さんが過ごしやすくなったとおっしゃるのが一番うれしい」と穏やかに語るその人柄は、治療中に眠くなるという患者の声が物語る。小児歯科や予防への取り組み、より良い歯科医院をめざして試行錯誤を続ける思いを聞いた。
(取材日2026年3月13日)
父から受け継いだぬくもりに、自分の色を重ねて
まず、こちらの開業に至った経緯を教えてください。

父が長年この地で営んできた歯科医院を受け継ぎました。父が高齢になるにつれ、「今後もここで続けてくださいね」とおっしゃる患者さんが何人もいらして、その声が大きな後押しになりました。うちは昔から、ゆっくりお話を聞いて治療するタイプなんですよね。スピーディーな治療を求める患者さんもいらっしゃる一方で、じっくりお話を伺える場を必要としてくださる方も確かにいらっしゃると感じています。私は大学でインフォームドコンセントの訓練をきちんと受けた世代です。父の寄り添う姿勢はそのままに、丁寧に説明するという自分の色を加えて、患者さんを大事にする歯科医院として続けていきたいと思い、開業に至りました。
先生がこれまで歩んでこられた道のりについてお聞かせください。
幼い頃から父の仕事を間近で見ていたので、歯科医師という職業には自然と親しみがありました。手先が器用で細かい作業が得意だったこともあり、自分に合う道だと思って進みました。ただ、卒業後に「自分には向いていないのではないか」と悩んだ時期が実はあったんです。しばらく父の歯科医院で手伝いをしながら模索していたのですが、香川の歯科医院で働く機会に恵まれ、そこで治療技術や患者さんとの接し方を集中的に学びました。朝から夜までとにかく必死に取り組む中で、「歯科医師としてやっていけるかもしれない」と自信を取り戻せたんです。その後、訪問診療の経験も積み、父の所に戻って、2025年12月にリニューアルオープンしました。
院内はとても落ち着いた雰囲気ですね。内装や設備のこだわりを教えてください。

以前はシルバーグレー基調で、どちらかというと近未来的な雰囲気だったのですが、白とベージュを基調にグレイッシュグリーンを差し色にしたやわらかい空間へ一新しました。天井は白い花柄にしてあります。治療中は上を向く時間が長いので、少しでもリラックスしていただけたらという思いからです。落ち着いて治療を受けられることを一番に考えて内装を決めました。設備面では、CTも撮影できるエックス線を導入し、必要に応じてより精密な診断ができるようになっています。口腔内カメラも新たに取り入れ、治療前後の写真を並べてお見せすることで変化が一目でわかるようになりました。以前からの患者さんに加え、リニューアル後は20代30代の若い方やお子さんの来院も増えてきています。
小さな不安も受け止め、子どもの未来まで見据えた診療
診療にあたって、大切にされていることは何でしょうか。

患者さんが「こんなこと聞かないほうがいいかな」と遠慮してしまわないよう、話しやすい雰囲気をつくることを心がけています。ちょっとした違和感でも、少し調整するだけで改善が期待できることは実はよくあるんです。ですから「それぐらい大したことないですよ」とは言わないようにしています。また、説明の際は一度にまとめず2回3回に区切り、その都度「わかりにくいところはありますか」とお聞きしています。絵を描いたり写真をお見せしたり、目で見てわかる工夫も大切にしていますね。いろんなお話を聞いた上で、患者さんが「過ごしやすくなった」とおっしゃってくださる瞬間が一番のやりがいです。治療中に眠くなるという方も結構いらっしゃるので、多少なりともリラックスしていただけているのかなと思っています。
小児歯科の診療について教えていただけますか。
一番大切にしているのは、お子さんが歯医者嫌いにならないことです。約束は必ず守るようにしていますし、逆にできない約束はしないよう気をつけています。2歳3歳の小さなお子さんにはまだ説明が伝わりにくいので、無理に治療はせず、まずは歯磨きだけでも通ってもらい、歯医者に慣れてもらうことをお勧めしています。実は20歳くらいで歯がボロボロなのに、歯医者が怖くて来られなかったという方もいらっしゃるんです。それは本当にもったいないことですから、小さいうちから通う習慣をつけておくことがとても大切です。また、離乳食の食べ方やお口の発達を確認する診察にも対応していますので、食べることや歯磨きのことは気軽にご相談ください。
予防やメンテナンスについての先生のお考えをお聞かせください。

歯周病を予防することで、糖尿病や脳梗塞、認知症といった全身の病気のリスクの軽減が期待できるというデータが出ています。国の保険制度でも歯科の予防に力を入れる方向へ動いていて、お口の健康が体全体の健康につながるという認識は広がりつつあります。私自身、歯は体にとって非常に大切なものだと考えていて、削らずに済む、抜かずに済む、痛くならないという状態を保つことが理想です。おいしい物を食べて笑っていられるのは、結局歯があってこそですから。来院された患者さんにはお掃除での定期通院をお勧めしていますが、歯は生まれつき生えてくるものだけに、ふだんはなかなか大切さを意識しにくいかもしれません。長い目で見た健康のために、ぜひ予防を習慣にしていただけたらと思います。
話を聞いてもらえる歯医者として、歩み続ける
患者さんが快適に通えるよう、工夫されていることはありますか。

以前は歯科衛生士が1人で大まかに把握をして回していたのですが、リニューアルを機に助手も加わり、誰が対応してもスムーズに進む仕組みづくりを進めています。スタッフ全員が状況を把握できる体制にすることで、患者さんをお待たせする時間を減らしたいと考えているんです。また、以前は対応に時間がかかってしまうこともあり、他の方をお待たせすることがありましたが、今は寄り添いながらも時間どおりに丁寧に治療を終えることを心がけています。カルテの記録も充実させて、患者さんのご要望や過去の経緯をきちんと残していきたいですね。まだ試行錯誤の段階ではありますが、患者さんにもスタッフにもわかりやすい歯科医院をめざして日々改善を続けています。
今後めざしていきたい歯科医院の姿を教えてください。
まずは小児の診療環境をもう少し整えたいですね。お子さんが安心して治療を受けられるような設備の導入を考えていますが、リニューアルしたばかりですので、一歩ずつ進めていくつもりです。それから、予防で歯医者に通う方がもっと増えてほしいと願っています。治療や歯科検診がきっかけで来院された方にも、定期的なお掃除の大切さをお伝えして、通いながら一緒にお口への意識を高めていけたらと思っています。以前から長く通ってくださっている高齢の患者さんのことを考えると、将来的には訪問診療も視野に入れたいところです。まだすべてが整っているわけではありませんが、地域の皆さんに長く頼っていただける歯科医院でありたいと、そこだけはぶれずに持ち続けていきたいと思います。
最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

当院は、歯医者に話を聞いてもらいたいという方にお勧めです。短時間でテキパキ終わらせるよりも、当院はじっくりお話を伺うことを大切にしています。歯医者が苦手だという方も、受付でひと言おっしゃっていただければ、より配慮して対応いたしますのでご安心ください。話を聞いてもらうだけでも気持ちが少し楽になることがありますから、不安なことを相談できる場所があるんだと知っていただけたらうれしいです。特に食べることや歯磨きのことに関しては専門ですので、お子さんの離乳食や歯の生え方が気になるといったことも気軽にご相談ください。ちょっとした心配事にも耳を傾けられる、そんな場所でありたいと思っています。

