子どもの風邪は何科を受診?
耳鼻咽喉科と小児科の違いを解説
佐々木耳鼻咽喉科クリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2024/08/08
- 保険診療
「どこの科を受診したらいいのだろう」。体調不良の際、このような疑問を持ったことはないだろうか。特に子どもの風邪症状の場合、耳鼻咽喉科と小児科のどちらを受診すべきか、悩んでしまう保護者も多いという。大学病院の耳鼻咽喉科で研鑽を積む傍ら、内科・小児科の診療所でプライマリケアを学んだ「佐々木耳鼻咽喉科クリニック」の佐々木知院長は、子どもの風邪症状に対し、耳鼻咽喉科領域に加え、呼吸器症状を中心に幅広く診療し、必要に応じて小児科を紹介している。小児の耳鼻咽喉科を専門とする佐々木院長に、耳鼻咽喉科と小児科の違いや、耳鼻咽喉科のかかりつけ医を持つメリットなどを教えてもらった。
(取材日2024年3月27日/情報更新日2024年8月6日)
目次
発熱・鼻水・咳・倦怠感……子どもの風邪で受診に迷う、耳鼻咽喉科と小児科の違いを解説
- Q子どもの場合、どんなときに耳鼻咽喉科を受診すればいいですか?
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A
まずはいわゆる「風邪」の症状があれば、耳鼻咽喉科を受診していただいて良いかと思います。具体的な症状としては、鼻水、咳、喉の痛み、発熱、体のだるさ、倦怠感など。鼻が詰まって息ができない・寝られない、夜中も咳が止まらず睡眠が妨げられる、熱が出てぐったりしているなどを主訴として、ご来院いただく方が多いですね。また、耳の痛みなども耳鼻咽喉科を受診していただきたい症状ですが、お子さんの年齢によっては「耳が痛い」と伝えられず、泣き続けたり、夜泣きであったりという形で表れることもあります。そのようなケースであれば、受診もご検討いただければと思います。
- Q小児科と耳鼻咽喉科、どちらにかかるべきか悩むことがあります。
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A
私は耳鼻咽喉科を専門としながら、内科・小児科の診療所に勤務し、総合診療いわゆるプライマリケアを学んだ経験があることから、当院では両領域についてワンストップでの対応を行っています。例えば風邪の症状で鼻水や咳、発熱がメインであっても、肺炎など呼吸器領域の病気を併発していたり、腹痛など消化器症状や発疹などの皮膚症状があるケースもあります。耳鼻咽喉科領域の診療だけでなく、肺の音を聞いたり熱と発疹の関係を診たりと全身的にチェックができ、必要時は地域の小児科をご紹介することもできます。小児科と耳鼻咽喉科の両方を予約し順番に受診するというご家庭もありますが、当院であれば一貫して診られるのは強みです。
- Q痛みに敏感な子どもには、どんなことを心がけて接していますか?
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A
お子さんの感じる痛みや恐怖心は、ほとんどの場合「何をするのかわからない」ことからくる精神的なものだと考えています。そのためまずは何をするのかを説明し「無理にはしないよ」「痛かったらすぐにやめるからね」などお声がけして、精神的な安心感を与えられるよう努めます。また当院で使用する診療器具は、すべて小児用の小さいサイズのもの。大学病院時代に小児の耳鼻咽喉科外来にいたときのご縁で、小さく特殊な器具をそろえているんですよ。そして頑張った子には、シールやラムネなどのプレゼントも用意しています。それを心の支えに診療を頑張っているうちに、徐々に慣れて痛みや恐怖心も薄れていくと思います。
- Q注意したほうがいい耳鼻咽喉科領域の症状はありますか?
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A
特に注意が必要なのがは「めまい」と「耳の痛み」です。というのも、めまいや耳の痛みがなくなってもまれに難聴が残ることがあるからです。耳は音を聞くためのもの。症状が治まったからいいのではなく、聞こえるかどうかまでをしっかり確認して、初めて「治った」といえます。次に注意が必要なのが「咳」です。気管支や肺に病変があれば酸素濃度が低下するなどして、状態が悪ければ即入院ということも。お子さんの場合は、保護者の方も付き添いで仕事を休まざるを得ないなど大変なこともあるため早めに受診してください。
- Q耳鼻咽喉科のかかりつけ医を持つメリットを教えてください。
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A
耳鼻咽喉科は、内科的な診察を行った上で、喉に消毒液を塗ったり、薬液を蒸気にして吸入させたり、鼻水を吸引したりと局所の治療を行う診療科です。直接アプローチできるため、服薬のみよりも治療完了までの期間が短くなりやすいです。現在の保険システムであれば、先ほど挙げた吸引などの処置をしても医療費が高額になることはまれです。またお薬が苦手で飲めないお子さんの場合も、こうした服薬以外の治療もある耳鼻咽喉科のかかりつけ医を持つと安心かと思います。