佐々木 知 院長の独自取材記事
佐々木耳鼻咽喉科クリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2024/09/02

阪急京都本線の茨木市駅から徒歩1分にある「佐々木耳鼻咽喉科クリニック」。大学病院や中核病院などで研鑽を積む一方で、内科・小児科の診療所でプライマリケアも独自に学んだという佐々木知(ささき・とも)院長が2010年に開業し、出身地である地元・茨木の人々の健康を守り続けてきた。検査の実施と適切な診断により「しっかり治す」ことを重視しながらも、患者の個性に合わせて柔軟に対応。カルテ記入など医師をサポートする医療クラークや、順番予約システムの導入など待ち時間の短縮に努め、患者の通いやすい環境を整えている。特に小児診療に強みを持つ佐々木院長に、クリニックの診療方針や体制、診療に際し心がけていることなどを聞いた。
(取材日2024年3月27日)
耳鼻咽喉科を専門に、内科・小児科で総合診療を学ぶ
耳鼻咽喉科を専門としながら、総合診療を学ぶため内科・小児科などでも研鑽を積んだと伺いました。

大阪大学医学部を卒業後、大学の耳鼻咽喉科・頭頸部外科医局に入局し、大阪大学医学部附属病院や住友病院などで勤務したのち、大学院に進学しました。学位取得後は市立豊中病院、八尾市立病院などで研鑽を積む一方で、医局のプログラムとは異なる独自の取り組みとして、内科や小児科の診療所で総合的な診療、いわゆるプライマリケアを学びました。これは開業後を見越してのこと。私の時代は、全診療科をローテーションして学ぶプログラムはなく、卒業と同時に耳鼻咽喉科に入っていました。専門家として耳鼻咽喉科だけの診療を行うつもりならそれで良かったのですが、耳鼻咽喉科以外の病気の人も受診される“町医者”をめざしていた私にとっては、内科や小児科を勉強していないことは不安だったんです。さまざまな診療所や病院でお世話になり通算で4年ほど勤めました。
耳鼻咽喉科を選んだ理由は何だったのですか。
治療の結果が目に見えやすいところに魅力を感じ、耳鼻咽喉科を選択しました。例えば、風邪や気管支炎などは、治療をして治ればまた普通の生活に戻れますよね。治療した結果がすぐに、わかりやすく出て、患者さんの社会復帰のサポートができるという点が選んだ最大の理由です。このほか同じく治療の成果が実感しやすい整形外科や、お子さん相手の仕事をしたいという思いもあり小児科も候補にありましたが、最終的には耳鼻咽喉科を選びました。今でもとても自分に合った診療科だと感じています。
クリニックの診療方針、特色などを教えてください。

当院は「治療」することに力を入れているクリニックです。診断がつかず「まずはこの薬で様子見しましょう」ということは一般的によくあることかもしれませんが、当院では検査して原因を突き止め、その原因に対し適切な薬を処方し、できるかぎり早期に治療できるよう努めています。鼓膜を切開して膿を出すような外科的処置は近年、積極的に実施するところが少なくなっているかもしれません。しかし当院では患者さんご本人にご承諾いただいた上で外科的処置も行っており、少しでも早く日常生活を取り戻せるようにサポートしていきたいと考えています。また当院の患者層は小さなお子さまからご高齢の方まで幅広く、ご家族全員でかかっていただいているご家庭もあります。
「治療」を基本理念に、患者の個性に合わせて診療
患者さんに接する際に心がけていることは何ですか。

小さなお子さんも多い当院では、特に怖がらせることがないよう注意しています。実際に処置で使用する器具をお子さんに触ってもらい、怖くないものであることを確認してもらうことも。また大人も共通して言えるのが「何をされているかわからない」ということです。そのため専門用語をあまり使わず、普段使用する言葉に置き換えて説明するようにしています。また、きょうだいのいる方は積極的に見学してもらい、後で本人が受診する際のイメージをもってもらいます。そして患者さんはお忙しい方なのか、この保護者の方は頻繁に連れて来られるのかなど、その方の社会的立場も考慮して、検査や診療を選択しています。当院では「きっちり治療する」という方向性はあるものの、それを無理に押しつけるつもりはありません。この患者さんは診断を希望しているのか、症状を抑えるための薬だけを受け取れたらいいのかなどを考えながら、患者さんごとに対応を変えています。
注力している診療はありますか。
新型コロナウイルス感染症が流行した際、行政からの要請もあって早くからPCR検査機能を立ち上げたり、新型コロナウイルスワクチンの接種に積極的に取り組んだりと、新型コロナウイルス関係にかなり力を入れてやってきました。ようやく落ち着いてきましたが、この数年のコロナ禍により、2010年の開業時から積み上げてきた当院の特徴が薄れてしまったと感じています。特に専門としてきた小児の耳鼻咽喉科はもちろん、プライマリケアを学んだ経験から、「熱が出た」「咳が出る」など耳鼻咽喉科領域外の可能性もある風邪などの診療を強みとしていることを、再度多くの方に知ってもらえるよう努めていくつもりです。
現在の診療体制と、患者さんが通院しやすくなるために取り組まれていることなどを教えてください。

診療枠の半分以上で、母校である大阪大学の医局から派遣される医師との二診制で診療を行っています。派遣医師は日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医の資格を有しており、「めまい」「副鼻腔」などそれぞれ専門を持ち、ご来院いただく理由となった症状をお聞きして、適切に振り分けてご案内しています。またご自宅にてウェブ受付をしていただくと、現在の待ち人数とその方の順番がわかる「ウェブ順番受付システム」を導入しています。受付後はご自宅でお待ちいただいたり、買い物を済ませたりと自由にお過ごしいただき、ご自身の前が残り数人になったらご来院いただければ、院内待ち時間を最小限にすることができます。ウェブ操作が難しいご高齢の方のために自動音声電話での順番受付も行っているほか、急な体調不良によるご来院にも対応できるよう順番受付なしの時間も設けています。
愛着ある地元に役立ちたい。どんな症状もまずは相談を
スタッフさんについて教えてください。

当院では「受付専門」「検査専門」など、スタッフの業務内容を固定していません。医療行為など法律で不可能なことは除き、全スタッフがどこのポジションの仕事でもできるようにしているため、病欠などがあっても医院の運営がスムーズに進むようになっています。例えば「検査の時間はどれくらいかかるの?」「持病でこんなお薬を内科でもらっているけれど飲んでも大丈夫?」といった患者さんのご質問にも即座に対応できるのは当院の強みですね。人員も余裕をもたせているため、例えばお子さんの診療時、一緒に連れて来られた兄弟姉妹をお預かりすることも可能です。またカルテへの入力をお任せする医療クラーク職を置いているため、診療時間の短縮につながり、その分お待ちいただく時間も短くなっています。
補聴器の外来も設置されていますね。
ご高齢の方のニーズにお応えして開設した外来です。ご高齢の方を中心に、補聴器のニーズは年々高まっていますが、高額な機器であるため、必要性や機種の選定は慎重に行ったほうが良いと考えています。当院では、聴覚障害や医療費控除の対象となるかについての審査も対応することができます。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

二診制の時間を全枠に拡大し、今まで以上に待ち時間の短縮を図りたいと考えています。複数の医師が外来を受け持っていますが、基本的に耳鼻咽喉科専門医を有する医師ばかりで、密に連携して当院の診療理念を共有していますので、安心してお越しください。私は生まれも育ちも茨木市で、この土地に強い愛着を持って開業し、地域の皆さんの健康維持へお役に立てることが喜びです。もし当院で対応できない症状の場合は連携病院にすぐにご紹介いたします。受診に際しては耳鼻咽喉科が適しているのか、内科や小児科がいいのかと悩むこともあるかと思いますが、地域医療の窓口として総合的な判断ができるのが当院の強みです。どのような症状でもまずはご来院いただき、ご相談いただければと思います。