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田中 千彦 院長の独自取材記事

たなかクリニック

(大和市/相模大塚駅)

最終更新日:2022/05/13

田中千彦院長 たなかクリニック main

大学病院や大和市立病院に勤め、脳神経外科で研鑽を重ねてきた「たなかクリニック」の田中千彦(たなか・ちひこ)院長。開業後は認知症や、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を中心に、風邪や花粉症、子どもの頭部打撲まで幅広く診療を行っている。脳の病気は治療後も後遺症が残る場合もあり、生活に支障を来すことから、生活支援を含めて「家族ごと診る」がモットー。特に認知症については患者や家族のサポートはもちろん、行政とも連携して地域の医療レベル向上に取り組む。「脳を診るためには全身に対する知識が必要。身につけた医療知識と技術を地域に還元したい」と語り、医療に対する確たる信念と患者家族への優しいまなざしが印象的な田中院長に、診療の特徴や、認知症への取り組みについて聞いた。

(取材日2022年3月31日)

風邪から脳疾患、認知症まで幅広く対応する医院

開業までの経緯を教えてください。

田中千彦院長 たなかクリニック1

私は鎌倉出身で、父が医師でした。父の背中を見て育ち、一生の仕事として誇りを持ってできると思い、私も医師を志しました。脳神経外科を選んだのは、ちょうどCTが登場した時期で、画像診断に興味を持ち、これから発展する診療科と感じたからです。その後、大学病院や大和市立病院で、脳卒中や外傷など手術を含めた脳神経外科の診療に携わっていました。その際、脳関連の病気は、治療後も後遺症が残ることがあり、日常生活に支障を来す場合が多いため、ご本人だけでなくご家族ごと診るという診療スタイルを心がけていました。しかし勤務医では限界もありましたので、もっと自由にご家族ごとケアしていきたいと開業を考えるようになったのです。

この地で開業されたきっかけは?

大和市立病院に勤務し、この地に縁があったというのもありますが、大和市には脳を診るドクターが少ないという事情があったからです。さらに、この地域にはクリニック自体が少なく、住民の方々は風邪や花粉症で気軽に受診することさえ難しいと知り、地域に貢献したいと考えたのです。もともと相模原市の北里大学出身で、その後も大和市に接する地域で診療してきて、このエリアの穏やかな雰囲気も好きでした。実際に開業して、住みやすく良いところだと感じています。

こちらの診療の特徴を教えてください。

田中千彦院長 たなかクリニック2

頭をぶつけた小学生から、物忘れに悩む高齢者、頭痛やめまい、しびれに悩む方、脳疾患手術後の経過観察など脳神経に関わる患者さん、生活習慣病の患者さんを中心に、風邪、花粉症などに対する一般内科診療まで幅広く診療しています。認知症の診断治療に力を入れており、早期発見、早期治療の啓発を行っています。診療面での大きな特徴は、院内にCTを完備しており、必要に応じて初診時にも迅速に検査を行い、速やかに結果をお伝えできることです。患者さんは何らかの不安を抱えて来られるわけですから、その日のうちにできる限り不安を解消することはドクターの務めです。そのため、検査結果も形式的なものではなく、患者さんの心配事に合わせた、わかりやすい解説とともにお伝えすることを心がけています。

行政と連携し、認知症啓発や患者家族のサポートに尽力

認知症の診療に力を入れられているそうですね。

田中千彦院長 たなかクリニック3

認知症は、脳の専門家でないと確定診断が難しいものです。すでに治療が必要なレベルの患者さんでも、「年齢相応」と判定されていることが多いように感じます。ただ実は、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫によって認知機能が低下している場合も少なくありません。こうしたケースでは原因となった疾患の治療により改善が見込めることもあるので、当院では迅速に頭部CT検査を行い、診断から適切な治療に進めています。認知症の一歩手前のMCI(軽度認知障害)と診断された方には、アルツハイマー病に進行させないために生活習慣病をしっかりと治療し、会話・運動などを積極的に行うよう指導もしています。治療では、その方に合わせ適切な薬を組み合わせて処方します。時には、漢方薬を取り入れることも。また神奈川県が運用する、かかりつけ医・専門医・介護事業所が認知症患者さんの情報共有を図るツール「よりそいノート」の活用も進めています。

自治体と連携しての活動について教えてください。

大和市医師会では認知症担当として積極的に活動しています。認知症初期集中支援チームで受診困難だった患者さんを医療サービスにつなげる取り組みもしています。認知症の方には、検査や投薬といった医療の提供だけでなく、必要な介護サービスを組み合わせて生活の質を向上させる支援も重要。それが介護者にあたるご家族の生活面や精神面のケアにもつながるのです。また、患者さんとご家族、医療・介護関係者と市民ボランティアなどが集い語り合える認知症カフェにも毎回参加し、知っておいてほしい知識や医療トピックを取り上げてミニレクチャーを行い、個別相談にも応じています。認知症の患者さんに適切な支援を届けるには、行政や介護との協力が不可欠と考えており、活動を通じて連携が強固になったと感じています。

多くの方と協力し、認知症の患者さんにより良い支援ができるよう活動をしているのですね。

田中千彦院長 たなかクリニック4

今参加している大和市の地域包括支援センター運営協議会も、市役所や大和市医師会、大和綾瀬歯科医師会、大和綾瀬薬剤師会、地域包括支援センターなどの代表者が集まる場です。ここで認知症初期集中支援チームの活動評価もするんですよ。さらに、要介護者の審査を行う介護認定審査会にも携わるなど、さまざまな側面から認知症の患者さんの支援に貢献できるよう努めています。こうした活動の結果、当院は神奈川県の連携型認知症疾患医療センターに指定されました。指定施設の中では小規模なのでできることは限られますが、引き続き関係機関と手を取り合い、大和市・県央地区の認知症診断治療の迅速化や、介護・行政サービスとの橋渡し、ご本人とご家族のケアといった支援を、より多くの患者さんに提供していきたいです。

脳と全身を診る医師として地域への貢献をめざして

認知症の予防として、生活習慣病予防を啓発されているそうですね。

田中千彦院長 たなかクリニック5

そうなんです。高血圧、糖尿病、脂質異常症の患者さんは、健常者の2~3倍、アルツハイマー病にかかりやすいことがわかっています。アルツハイマー病は、認知症の中で最も多い病気です。アミロイドという物質が脳の神経細胞を壊していく病気ですが、発症までにおよそ20年かかります。ですから、私たち医師が認知症予防としてできることは、生活習慣病を予防し適切に管理して、認知症の発症を抑えること。生活習慣病は脳卒中の原因にもなり得ますから、生活習慣病を診ることは脳卒中を診ることであり、認知症を診ることでもあると考えて、啓発に努めています。

今後の展望についてお聞かせください。

従来、認知症の治療は困難であるとされてきましたが、上手な対応法の集積や介護サービスの充実に伴い、生存率も生活の質も格段に向上してきています。認知症を発症しても悲観的になる時代ではなくなってきていると感じます。ですから私も認知症の診断・治療とともに、患者さんとご家族が適切な支援を受けられる体制づくりを進めたい。大和市の認知症対策には立ち上げから関わっているので、後進の医師も育成し、さらに発展させていきたいです。課題としては、当院は大和市の端に位置するせいか、海老名市や厚木市、相模原市などからの患者さんが多く、意外と大和市の方に知られていません。もっと大和市のお役に立ちたいですね。そして脳を診るためには、全身知識を深めることが欠かせませんので、ウェブセミナーにも参加して新しい知識を取り入れるなど、研鑽を重ね続ける所存です。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中千彦院長 たなかクリニック6

私は脳の診療に関わる中で、長い目で患者さんを診ることが務めでもあり、楽しみでもあると考えています。脳の機能と併せて全身状態を診る医師として、今後も患者さんとご家族の生活を支えていきたいです。認知症については「高齢になれば必ずついてくるおまけのようなもの」と捉えています。より良いサポートを実現するためには、認知症になった人を当たり前のように受け入れ、サポートしていける地域社会をつくることが大切です。また早期発見して適切な治療につなげることも大切ですから、「同じことを何度も聞く」「約束を忘れる」「そんな話は聞いてないと怒り出す」など、ご家族に気になることがあれば、「年だから」と片づけず気軽に相談してください。まだ適切な治療やケアを受けられていない患者さんをぜひ当院で診させていただきたいと願っています。

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