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田中 千彦 院長の独自取材記事

たなかクリニック

(大和市/相模大塚駅)

最終更新日:2019/08/28

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大学病院や大和市立病院で脳神経外科診療に携わり、脳神経外科の専門家である「たなかクリニック」田中千彦(たなか・ちひこ)院長。開業後は、認知症など脳神経科の診療を中心に、風邪や花粉症、子どもの頭部打撲まで幅広く診療を行っている。脳の病気は治療後も後遺症が残り、生活に支障を来すことから、家族ごと診ることをモットーとしてきた田中院長。特に認知症については患者や家族のサポートにも尽力し、行政とも連携して幅広く地域の医療レベル向上に取り組む。「脳を診るためには全身に対する知識が必要。幅広く身につけた医療知識と技術を地域に還元したい」。医療に対する確たる信念と患者家族への優しいまなざしが印象的な田中院長に、診療の特徴や、認知症への取り組みについて聞いた。
(取材日2019年3月9日)

風邪から脳疾患、認知症まで幅広く対応する医院

開業までの経緯を教えてください。

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私は鎌倉出身で、父が医師でした。父の背中を見て育ち、一生の仕事として誇りを持ってできると思い、私も医師を志しました。脳神経外科を選んだのは、ちょうどCTが登場した時期で、画像診断に興味を持ち、これから発展する診療科と感じたからです。その後、大学病院や大和市立病院で、脳卒中や外傷など手術を含めた脳神経外科の診療に携わっていました。その際、脳関連の病気は、治療後も後遺症が残ることが多く、日常生活に支障を来す場合が多いため、ご本人だけでなくご家族ごと診るという診療スタイルを心がけていました。しかし勤務医では限界もありましたので、もっと自由にご家族ごとケアしていきたいと開業を考えるようになったのです。

この地で開業されたきっかけは?

大和市立病院に勤務し、この地に縁があったというのもありますが、大和市には脳を診るドクターが少ないという事情もありました。さらに、この地域はクリニックも少なく、近隣住民の方々は風邪や花粉症で気軽に受診することが難しいということも知り、地域に貢献できる絶好の場所だとここを選びました。もともと相模原市の北里大学出身で、その後も大和市に接する地域で診療してきて、このエリアの穏やかな雰囲気もとても好きだったのです。実際に開業してみて、住みやすい良いところだなと実感しています。

こちらの診療の特徴を教えてください。

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頭をぶつけた小学生から、もの忘れに悩む高齢者、慢性頭痛に悩む方、脳疾患手術後の経過観察など脳神経に関わる患者さんを中心に、風邪などの感染症、花粉症などに対する一般内科診療、生活習慣病まで幅広く診療しています。認知症の診断治療にも力を入れており、早期発見、早期治療の啓発を行っています。子どもさんは小学生以上を対象としていますが、地域貢献として、近くの保育園児の健康診断は行っています。診療面での大きな特徴は、院内にCTがあり、必要に応じて初診時にも検査をすることができ、速やかに結果をお伝えできることです。患者さんは何らかの不安を抱えてこられるわけですから、その日のうちにできる限り不安を解消することはドクターの務めです。そのため、検査結果も形式的なものではなく、患者さんの心配事に合わせた、わかりやすい解説とともにお伝えすることを心がけています。

行政と連携し、認知症啓発や患者家族のサポートに尽力

認知症の診療に力を入れられているそうですね。

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認知症は、脳の専門家でないと確定診断が難しいものです。一般の内科などで認知症と診断されていても、実は脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、軽度の頭部外傷によって認知機能が低下している場合も少なくありません。こうした場合は原因となった疾患を治療すれば治癒が期待できますので、当院では頭部CT検査などさまざまな検査によってその原因を探り、正しく診断して適切な治療につなげています。認知症の一歩手前のMCI(軽度認知障害)と診断された場合には、アルツハイマー病になりやすいかどうかを判定する検査も行います。治療については、さまざまな薬をその方に合わせて組み合わせて使います。漢方薬も、穏やかな効き方など、西洋医学にはない良さがありますので、有効な患者さんには取り入れています。また神奈川県が運用している、かかりつけ医・専門医・介護事業所が認知症患者さんの情報共有を図るツール「よりそいノート」の活用も進めています。

自治体と連携しての活動について教えてください。

大和市医師会の活動でも認知症担当理事として積極的に関わっています。認知症初期集中支援チームにも加わり、初期認知症の患者さんを医療サービスにつなげる取り組みに力を入れています。認知症の患者さんには、検査や投薬といった医療の提供も必要ですが、必要な介護サービスを組み合わせて患者さんの生活の質を向上させることも重要なんですね。それがご家族のケアにもつながります。また大和市では認知症対策に力を入れており、認知症カフェや市民公開講座、介護者教室、認知症サポート教室などを開催していますので、それにも参加しています。認知症カフェは、患者さんやご家族、医療者や介護者、市民ボランティアなどが集い語り合う取り組みで、私は相談員としてミニ講演や相談会を行っています。いろいろな活動をしていますが、今後は認知症サポート医など、後進のドクターを育成することが私の今後の課題ですね。

認知症の予防として、生活習慣病予防を啓発されているそうですね。

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そうなんです。高血圧、糖尿病、脂質異常症の患者さんは、健常者の3倍、アルツハイマー病にかかりやすいことがわかっています。アルツハイマー病は、認知症の中で最も多い病気です。アミロイドという物質が脳の神経細胞を壊していく病気ですが、発症までにおよそ20年かかります。ですから、私たち医師が認知症予防としてできることは、生活習慣病を予防し適切に管理して、認知症の発症を抑えることなのです。生活習慣病は脳卒中の原因ともなることも。ですから、生活習慣病を診ることは脳卒中を診ることであり、認知症を診ることであると考えて、患者さんや住民の皆さんへの啓発に努めています。

脳と全身を診る医師として地域への貢献をめざして

本当にお忙しそうな毎日ですね。

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認知症カフェなどは土日に開催されますので、休みはほとんどないですね。もともとこれといった趣味もないですし、仕事が気分転換になっている感じです(笑)。でも、認知症カフェでは、クリニックとは異なる、患者さんの生き生きとした表情を見ることもでき、それが楽しみでもありますね。

今後の展望についてお聞かせください。

従来、認知症の治療は困難であるとされてきましたが、新薬も開発され、介護サービスも充実し、生存率も生活の質も格段に向上しています。認知症を発症しても悲観的になる時代ではなくなってきていると感じます。ですから、認知症の診断治療とともに、お困りの患者さんやご家族が適切な支援を受けられる体制づくりを進めていきたいですね。大和市の認知症対策には、立ち上げから関わってきましたので、後進の医師も育成し、さらに発展させていきたいと考えています。課題としては、当院は大和市の端に位置するせいか、海老名市や厚木市、相模原市などからの認知症の患者さんは多く来院されるのですが、意外と大和市の方に知られていないのです。もっと大和市のお役に立てるようにしたいと思っています。そして脳を診るためには、全身知識を深めることが欠かせませんので、脳神経外科以外のセミナーにも参加して、新しい知識を取り入れていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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私は、脳の診療に関わってきて、長い目で患者さんを診ることが務めでもあり、楽しみでもあると考えています。脳の機能とともに全身状態を併せて診ることができる医師として、これからも患者さんとご家族の生活を支えていこうと思います。認知症については「高齢になれば必ずついてくるおまけのようなもの」と考えるようにしています。認知症になった人を当たり前のように受け入れ、サポートしていける地域社会をつくり、認知症の患者さんとご家族を支えていくことが大切です。それには早期発見して適切な治療につなげることも大切ですから「同じことを何度も聞き返す」「約束を忘れる」「そんな話は聞いてないと怒り出す」など、ご家族に気になることがあったら、気軽に相談してください。まだ当院に来られていない、適切な治療やケアにつながっていない患者さんをぜひ診させていただきたいと願っています。

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