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篠原 立大 院長の独自取材記事

清水中央クリニック

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2021/12/06

篠原立大院長 清水中央クリニック main

国道10号線から1本入った公園の隣にある「清水中央クリニック」。待合室の本棚には院長の趣味である漫画本が並び、待ち時間も退屈せずに過ごせる。篠原立大(たつお)院長は、宮崎大学医学部附属病院、宮崎県立日南病院、宮崎県済生会日向病院での勤務医経験を経て、2010年に同院を開業。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、上下消化管内視鏡検査およびポリープ切除などの治療と、日帰り手術に対応した痔の治療を中心に、一般内科から小さなケガややけどなど外科治療まで、幅広い症例に対応した診療を行っている。がんをはじめとする病気の早期発見・早期治療に注力し、近隣住民の健康寿命を延ばす手伝いがしたいという篠原院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2021年9月21日)

消化管内視鏡検査でがんの早期発見と治療に注力

まず、この場所で開業した理由をお聞かせください。

篠原立大院長 清水中央クリニック1

開業する場所を探していたとき、ちょうど、この場所で開業していた先生が辞めるということでご紹介をいただいたのです。市内の中心部だから良いだろうと、あまり深く考えずに決めてしまいましたが、開業してみると、住んでいる人は減少傾向にあったり、近くに大きな団地などがあるわけでもなかったりして、開業当初は少し苦労しました。でも徐々に患者さんも増えてきてくれました。院名は住所からつけたんですが、診療科目を入れなかったので何科のクリニックかわかりにくいという面もあったようで、通りがかりの人から「この名前ではわかりませんよ」と意見されたこともありました(笑)。

どのような患者さんが多いですか?

いろいろな疾患で来られる方がいらっしゃいます。開業したばかりの頃は、風邪など一般的な内科疾患で来られる方が多かったのですが、徐々に消化器疾患や肛門外科など、専門とする分野の患者さんも増えてきました。と言っても消化器疾患に特化しているわけではなく、いわゆる「町医者」として、幅広い症例に対応しています。「町のなんでも屋さん」みたいな感じでしょうか。当院では難しい症例の場合は、大学病院をはじめとする専門の医療機関や先生に紹介しています。

消化器と大腸・肛門を専門に選ばれた理由をお聞かせください。

篠原立大院長 清水中央クリニック2

大学では外科を専攻し、総合的な外科の診療について学びました。医師になった頃、ちょうど大腸がんが増えてきた時期だったこともあり、大腸外科を専門に選びました。内視鏡が発達したことで、検査時にポリープを切除し、大腸がんへの進行を抑えることも図れるようになりました。食道がんも以前は治療が難しい病気の一つで、手術時間も長く合併症も起こりやすかったのですが、やはり内視鏡の発達によって早期発見・早期治療ができるようになってきました。

難しい判断には「できることはやろう」という気持ちで

医師として心に残っているエピソードなどはありますか?

篠原立大院長 清水中央クリニック3

国際医療活動で小説や映画にもなった柴田紘一郎先生から学ぶことができたことですね。たいへん人間愛にあふれた方で、「やらんよりやったほうが良い」という姿勢にも影響を受けました。いろいろな解釈ができますが、自分としては難しい選択を迫られたとき、できることがあるならやったほうが良いという意味に捉えています。例えばほとんど回復は無理だと思われる状況でも、可能な限りの手を尽くすことで、思いがけず快方に向かうこともあります。もちろんそういったケースばかりではありませんが、どんなときでも大切なのは患者さんと真摯に向きあうということだと思っています。だから病院に勤務していたときは、1日3回は病室まわりをしていました。

回復の可能性があれば積極的な治療を試みるべきだということでしょうか。

もちろん回復の可能性を信じて治療を施しても、結果としてうまくいかないこともあるでしょう。ただ、やらない理由が、前例がないからというのは避けたい。医療の歴史においてはすべてがそういったことの連続ですが、例えば種痘にしても、牛由来のワクチンを接種することで牛になってしまうという風評も出たりして、結果に不安を持つ人も少なくありませんでした。当時は誰も正解を知らないのだから当然ですよね。でもやってみた結果、天然痘を防ぐことにつながりました。そういった難しい判断を迫られたとき、結果がわからないからやらないというよりは、やってみて悩んで反省するのが良いのではないか、そういう意味だと解釈しています。今も大きな決定をするときは「できることはやろう」という気持ちで臨んでいます。

内視鏡検査は定期的にしたほうが良いのですか?

篠原立大院長 清水中央クリニック4

胃がんに関しては、95%はピロリ菌が原因だといわれています。宮崎市でも胃がんリスク検診を実施していますが、その結果ピロリ菌がいると判明した方は、毎年内視鏡検査を受けたほうが良いでしょう。大腸がんの検査は、50歳以上の方は定期的に行ったほうが良いでしょうね。体が老化するほど大腸ポリープができやすく、それががん化する可能性も高くなります。あとは家系的に大腸がんにかかりやすい人もいますので、家族に発病した方がいる場合は、定期的に内視鏡検査を受けたほうが良いでしょう。最近では女性の大腸がんも増えていて、当院でのがん発見症例でみると、女性の発見年齢が10歳程度遅いという傾向がありました。おそらく男性は企業健診等で早期にわかることが多いからだと思います。主婦の方にはそういった機会がなく、費用もかかりますし、恥ずかしいという気持ちもあるようで、受診の機会が少なく、発見が遅くなる傾向があります。

地域密着の医師として健康寿命の延伸に貢献したい

大腸内視鏡検査というと痛そうなイメージがありますが、そんなことはありませんか?

篠原立大院長 清水中央クリニック5

腸自体には知覚神経がないので、痛みはありません。ただ、大腸に空気を入れて広げるときに痛みに近い感覚を訴える方もいらっしゃいます。また、検査後も空気が残っていると不快感がありますが、吸収されやすい二酸化炭素を使うことで解消することが期待できます。鎮静用の静脈麻酔は希望があれば行っています。特に高齢者の場合は呼吸停止などのリスクもあるので、本人の希望があれば十分な注意をして使用しています。使用する時は血中酸素濃度モニターなどを使用し、安全に気を配り行っています。胃の内視鏡検査も経口内視鏡は吐き気を催すこともありますが、当院では経鼻で検査することで、そういった不快感を感じないようにしています。

医療についての勉強会にも積極的に参加されているとお聞きしました。

月に1回木曜日に行われる「宮崎木曜会」という勉強会に参加し、新しい医療情報などについて学んでいます。特に新型コロナウイルスが感染拡大する中において、常に新しい情報を得ることが大事だと思っています。つい先日も、長年使っていた薬と他の薬を併用することで意外な副作用があることを知り、驚いたことがありました。現在は薬剤師さんがチェックしてくれるので心配はありませんが、広く使われている薬でも相性が悪いものがあるので気をつけないといけません。そういったことも含め、常に学ぶ姿勢は持ち続けていきたいと思っています。

最後にメッセージをお願いします。

篠原立大院長 清水中央クリニック6

病気に関しては、がんに限らず早期発見、早期治療が重要です。そのためにも、病気とはまだ言えない「未病」の段階から対応していければ良いなと思っています。一般や企業向けの健康診断にも対応しているほか、予防医学として禁煙や睡眠時無呼吸症候群の相談も行っています。また、新しい治療法だけでなく、古典的なノウハウにも注目し、漢方の勉強もしています。今後も地域に密着した町医者として、健康寿命を延ばすためのお手伝いをしていきたいですね。

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