薗部 陽 院長の独自取材記事
しんゆり皮フ科クリニック
(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)
最終更新日:2021/10/12
新百合ヶ丘駅から徒歩1分。「しんゆり皮フ科クリニック」の薗部陽院長は、「何でも相談できるクリニックを」という志を持って開院をしたのが2010年。以来、近隣に住むファミリー層を中心に、乳児に近いごく小さな子どもから、上は90歳近い年齢の高齢者まで、幅広い世代の健康を支えてきた。クチコミにより医院の評判が広がり、時には2時間待ちになることもあるほど人気ぶりで、その対策としてクリニックではウェブにつながる端末やスマートフォンを通していつ自分の診療時間が来るのかを確認できるシステムを整備。カフェで時間を過ごしたり、スーパーで買い物したりすることもできるので、患者で込み合うときもストレスなく受診できるだろう。患者の満足度を第一とする診療方針について、薗部院長に聞いた。
(取材日2017年2月21日)
治療の選択肢を増やし、患者の満足度を上げたくて
2010年の開院から7年になります。感触はいかがですか?
新百合ヶ丘で開院したのは、ここが「これからの街」と感じられたからです。今後、さらに発展してゆくであろう街で一緒に成長していきたいと考えました。来院される層は地元、沿線にお住まいの方、電車でこちらを経由して学校や会社に行かれる方など。ファミリー層を中心にほとんどの世代の患者さんが来られています。それまで10年ほど経験を積んだ勤務医時代にはできなかった、1~2分などの短めの診療ではなくしっかり患者さんを診させていただきたい、というのが開院のコンセプトでしたね。開業医だからこそ、患者さんの満足度を上げるための取り組みに力を入れられると考えています。保険の範囲内でできる治療を基本としながらも、ニキビのようになかなか治らず、かつ患者さんの悩みも深いものに関しては保険外の方法も選択肢として導入するなど、少しでも治療の幅を広げるということを通して、患者さんの満足度を上げようとしてきました。
力を入れている治療法についてご説明いただけますか?
レーザー治療に力を入れています。例えば、ほくろやイボを取るCO2レーザー。病変部にのみ反応するため、患部周辺の損傷が少ないのですね。大きさにより個人差もありますが、9割近くが1回の施術だけで、女性ならばお化粧してしまえばほとんどわからない程度になります。しみ用、脱毛用などと症状に合わせて高性能のレーザー機器を使い分けています。レーザーにしても、他の薬剤にしても、私をはじめスタッフで実際に試してみることを基本としています。そうすることで、患者さんに現実味のある説明ができますから。最近ではエステティックサロンでも脱毛ができますが、医療機器のレーザーを用いることができるのは医療機関のみ。医療機器によるレーザー脱毛は効率もよく、部位にもよりますが、エステだと通常2年かかるケアが、クリニックだと5回ほどで完了します。何より、皮膚のトラブルに際して医療者が近くにいるほうが安心であると考えます。
ほかにも新しい機器を導入し続けていますね。
総合病院、大学病院など大きめの医療機関には置いてあるものの、個人クリニックにはまだ設置しているところが少ないエキシマライトという紫外線を患部に照射する機器も備えています。尋常性白斑、アトピー性皮膚炎などの疾患に有効で、保険適用となるので治療費も安価で、受けやすい治療といえるでしょう。尋常性白斑の場合にはお顔などにできると外見的に自信が持ちづらくなった際に、そして、アトピー性皮膚炎の場合には薬を飲んだり塗ったりしていてもなかなかかゆみが取れない際に用います。紫外線照射治療によって肌色が増したり、あるいはかゆみが取れて楽になる事例も出ており、患者さんにとても喜ばれています。
急に大きくなったほくろは要注意。がん予防の助言も
皮膚のトラブルに関して気を付けておいたほうがいいことは何でしょうか?
やはり保湿が大事ですね。夏であれば、しみ、しわ、皮膚がんの予防のために日焼け止めも不可欠です。ほくろについて心配されて来院される患者さんもおられます。ほくろならば何でもかんでも悪いというわけではないのですが、中には、メラノーマ(悪性黒色種)という、色素細胞ががん化した腫瘍が見つかる場合もありますので、短期間で急激に大きくなったというようなケースであれば受診されたほうがいいかもしれません。検査に際しては、ダーモスコープと呼ばれる皮膚用顕微鏡・拡大鏡を、ほくろやしみなどの箇所にかざして診ていきます。病変部を照らすと10倍の大きさで真皮上層を観察でき、悪性かどうかが判断できるというわけです。勤務医時代に腫瘍に接した経験も多く、もう少し初期の段階で来ていただいてれば、さまざまな対応ができたのにという思いもありましたから、皮膚の健康についても、気になったら検査を受けてみることをお勧めします。
休日は、各種の勉強会に出られては知識や技術のアップデートに励んでおられるとか。
忙しくて、行ってみたいもののすべてに参加できるわけではないのですが、患者さんに最新に近い医療知識を還元できるよう、知識や技術はアップデートし続けて、治療の選択肢を増やしていけたらなと思っています。しみのレーザーの照射方法ひとつ取っても、同じ機械でも操作のやり方を工夫することで治療効果も変わってきますからね。しみにもいろいろな種類がありますし、患者さんのご要望もそれぞれですので、なるべくその多様さに対応した治療を進めていけたらいいなと考えております。例えば、レーザー機器を用いる際には、施術してから回復するまでの間に赤く腫れたりするため、照射した部分にばんそうこうを貼る「ダウンタイム」という場面もあるのですが、周りにレーザー治療を受けていると知られたくない患者さんのためには、このダウンタイムがなるべく短くなるよう、照射の強さや方法に工夫を施しています。
39種類ものアレルギーのチェックが可能な血液検査も行っているそうですね。
花粉、食べものなど、1度でいろいろなアレルギーのチェックをしていただくことが可能です。ご家族の食べものなどに関して心配されている方も多いですから、これは気軽に受けていただきたい検査ですね。
皮膚の悩みはもちろん、花粉症、風邪などにも対応
アトピー性皮膚炎など皮膚の悩みが長引いている患者にはどのようなアドバイスをしていますか?
気がついたらハンドクリーム代わりにお薬を塗るといいですよ、というようなことを塗り方も含めて基本的なところから説明しています。生活で皮膚を傷つけていないか、紫外線を気にせずいつの間にか日焼けしているようなことはないか、とも伝えます。アトピー性皮膚炎では汗を放置した結果、湿疹が悪化する場合もあるので、汗を吸いやすい下着を身に着け、清潔なハンカチでそのつど汗を拭うようにも伝えていますね。また、食べものとしては刺激物は控える、ストレスをなるべく減らすよう心がける、睡眠をきっちり取るといった生活指導も行い、長期的に健康をサポートしています。
診察をする中で、市販薬のトラブルの多さに驚かれているそうですね。
お仕事などで忙しく、なかなか医療機関に通院できない場合、どうしても市販薬でどうにかしようと思われる方も多いのではないでしょうか。ひどいかゆみに、まずは市販薬でと対処するのも仕方がないとは思いますし、実際、市販薬で良くなるケースもあります。しかしその一方で、合わない市販薬を使うことで症状が長引いたり悪化したりしているケースも少なくありません。虫さされにしても、アトピー性皮膚炎にしても、水虫にしても、そういう患者さんがとてもたくさんいらっしゃることに驚いています。当院が会社帰りに寄ることができる時間帯まで診療しているのは、忙しくて病院に行けず、悪化させてしまうという悪循環をなくしたいという思いもあるからなのです。忙しくてなかなか病院に行けなかったけれど、先生のところで治って良かった、と言っていただけたら本当にうれしいですね。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
当院は、保険診療で治すことを基本方針としています。ただ、治りの良くないものに関しては、保険外の治療法や、保険適用の漢方薬を取り入れるなど、治療の選択肢を増やし、症状の改善を第一にめざしています。一般診療をメインにしている皮膚科だからこそ、保険診療のついでにしみ、吹き出物、花粉症、風邪までいろんな症状を相談していただけたら、と思うのです。よそでうまくいかなかった皮膚の悩みを相談していただくことも大歓迎です。いつでもお待ちしております。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/5000円~、脱毛(両ワキ)/3000円~、薄毛対策/7000円~、皮膚疾患の自費診療の一例/1万3000円~