藤川 英津子 院長の独自取材記事
藤川眼科
(藤沢市/善行駅)
最終更新日:2021/10/12

小田急線善行駅より徒歩10分ほどの国道沿いに佇む、「藤川眼科」。父が開院した「関本医院」の隣に、藤川英津子院長が2000年に開院した。子どもの頃から育ってきた地元の住民に、恩返しをする形だ。藤川院長のモットーは、“親切丁寧な診療”に尽きると言う。「一人ひとりの患者さんに時間をかけて対応させていただくため、待ち時間も長くなりがち。けれど、患者さんたちはそこをわかってお越しくださるので、たいへんありがたいですね」と柔らかく微笑む。そんな藤川院長に診療のことやクリニックのことについて話を聞いた。
(取材日2017年11月14日)
地元にて、眼科クリニックを開院
こちらを開院されるまでの経緯について、教えてください。

1983年、東京慈恵会医科大学を卒業し、内科の医師として2年間研修しました。その間に今の主人と結婚。その後、眼科学教室に入り、在籍中に日本眼科学会の眼科専門医資格を取得しました。その頃ちょうど出産と重なり、子どもが小さい間は家にいる時間をできるだけ長くとりたかったので、大学病院を辞め、地域のクリニックや病院に勤務しながら、また、母校の基礎医学の研究室に通うなどして勉強を続けてきました。そして、子どもが小学校に入学し、本格的に仕事を再開しようと思った時に診療時間や自由のきく仕事として開業しようと思いました。幸い実家の敷地内に土地があったので2000年に当院を開院しました。
開院当初と今の変化や現在の患者層について教えてください。
開業当時と変わったのは世の中のIT化です。病気についてネットで調べてから来院する患者さんも増えましたが、誤った認識や先入観をもって来られる方もいて、少し困ることもあります。患者層については、周りが住宅地なので地元の方が多いです。子どもの頃からお越しの方が結婚してお子さんを連れてきてくださったり、おばあちゃんになってお孫さんと一緒にいらっしゃったり、長いお付き合いの患者さんもいます。国道沿いで駐車場が広いため、やや遠方からいらっしゃる方もいますね。学校や幼稚園の健診にも行くので、小さなお子さんの受診もあります。
子どもさんも受診されるということですが、何か気になることはありますか?

小さい子は、地域によっては3歳半検診などがありますよね。中にはこのタイミングで弱視と診断されるケースもあります。弱視とは、日本の基準ではレンズで矯正しても1.0に満たない状態のことを指します。やっかいなことに、お母さんが気をつけて見ていても、それとはわからないことが多いんですよ。気づかないまま小学生くらいまで放置しておくと、治らなくなってしまいます。予防策として、必ず4、5歳までに医療機関で視力検査を受けることをお勧めします。弱視の治療の際、目を保護するシール型の眼帯で良好な目を隠して視力の出ないほうの目で見る訓練をする方法を用いるケースが多いと思いますが、当院では北里大学の半田教授が開発された治療用具を導入しております。週1回30分間、画面を見ながらゲームの要領で遊ぶだけで良いので、ドロップアウトすることなく続けられます。ぜひお試しいただきたいと思います。
常に、親切丁寧な診療を心がける
クリニックの特色について、教えてください。

全体に明るくやわらかい雰囲気のクリニックになるよう心がけています。患者さんに対しては親切第一に接するようスタッフにも協力してもらっています。午後は予約制にして、時間の余裕を持って組んでいます。その理由の一つは、緑内障患者さんのためでした。緑内障はとても多い病気ですが、病名を聞いただけで落ち込んでしまう方も中にはおられます。ゆっくりお話をし、定期受診をしていただくことで治療を続けていきやすくなると思います。そのほか車いすの方や障がいのある方などにも遠慮なくお越しいただきたいということもあります。どんな方も来院しやすいよう院内をバリアフリーにしたこともこだわりの一つですね。
スタッフさんたちは、どんな方ですか?
現在はスタッフ4人で、みんな仲がいいと思いますね。開院当時からスタッフの入れ替わりがほとんどないため、「いつも同じ人がいてくれるから安心して通える」と言っていただけることもあります。患者さんへの対応についても、ベテランぞろいのためか上手に対処してくれています。皆、私がこうしてほしいと思っていることもよくわかってくれていて心強いです。また、患者さんも私には言いづらいこともスタッフには話せるようで、そのあたりも安心して任せられますね。スタッフと私との間で連絡ノートをつくり、スタッフ間やスタッフと私とのコミュニケーションに努めています。
診療の際、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?

親切丁寧な診療を心がけています。患者さんのお話をできるだけよく聞くようにしています。そして、患者さんが一度は必ず笑顔になってくださるように。たとえ悪い病気が見つかったとしても、その不安を取り除いてさしあげたいですね。母校の慈恵会医科大学の理念が「病気を診ずして病人を診よ」というもので、医学生の時から大切なものだと教えられてきました。高い専門性をもって、目の診療を行いつつも、目は人の一部であり、その人全体をとらえる必要もある。そのバランスを大切にしています。「もう年だから手術してまで良くならなくていい」という方もいらっしゃいますが、人生を大事にしつつ生きていただくためにも、目はよく見えたほうがいいですよね。患者さんの生活全般を考えながら、最適な治療をお勧めしたいと思っています。
眼科のかかりつけ医の下、定期検診をしてほしい
先生が医師をめざすようになったきっかけは、どのようなことでしょうか。

当クリニックの隣にある関本医院は、今は兄が院長を務めておりますが、もともとは父が50年前に開院しました。また、両親が医師で私にとって一番身近な仕事でしたね。もともと私は生き物や人が好きで、暇な時は生物図鑑を見ているような子どもでした。ただ、数学が苦手で……。そんな私でしたが、母の「あなたには医師が向いていると思う」という言葉に背中を押され、医学部に進むことにしました。大学付属病院にいた頃、先輩ドクターの説明が患者さんにうまく伝わっていない様子を見て、私は患者さんの立場に立ってもう少しわかりやすくお話したいと思うようになりました、今、自分の思い描いていた診療が実現できることに一層やりがいを感じています。
お忙しい中、休日はどのようにお過ごしでしょうか。
そうですね……、まずは家事をこなすことですね。中でも掃除や片付けが好きで、しばらくできないとストレスになるくらいです(笑)。また、動物が好きで、今は猫3匹と犬1匹を飼っておりまして、猫の世話や犬の散歩などしていると時間がどんどん過ぎていきますね。あとは本を読んだり、音楽を聞いたりするのが好きです。スポーツは苦手ですが、外の空気に触れているのが好きなので、散歩など外で過ごしている時間も好きです。
ドクターズ・ファイルの読者にメッセージをお願いします。

眼科は症状や違和感があってからかかるイメージがあるかも知れませんが、ぜひかかりつけのクリニックをもっていただきたいと思っています。例えば、急性の症状を繰り返す方もいらっしゃいますし、疾患によってある年代でリスクの高まるものもあります。かかりつけ医が定期的に診ることで、患者さんの変化もわかり、データも積み重なっていきます。小さな異常を早く見つけることもできます。目の公的な検診というのは、残念ながらまだ藤沢にはありません。ご自身で病気の予防や早期発見をしていく必要がありますが、そのためにも眼科専門医のチェックを時々受けることをお勧めしたいです。