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石田 一雄 院長の独自取材記事

新百合ヶ丘石田クリニック

(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)

最終更新日:2020/04/01

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新百合ヶ丘駅南口のデッキを歩いて2分のビルにある「新百合ヶ丘石田クリニック」には、多くの喘息患者が訪れる。大学病院の呼吸器内科で臨床経験を数多く積んできた院長の石田一雄先生が、熱の入った説明や治療を行う。院内は、咳などで悩む患者が快適に過ごせるようにと複数の空気清浄機が稼働している。また診察室の棚を天井まで伸ばし、扉をつけるなど埃のたまらない造りにし、院内の設備を患者の生活環境のアドバイスにも活用している。そんな石田院長に、最近気になる喘息患者の傾向や啓発したいことなどたっぷりと話を聞いた。
(取材日2017年3月1日/更新日2019年7月26日)

喉もとの違和感といった症状の「隠れた喘息」に警鐘

開院からまもなく9年ですね。

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そうですね。開院以来、こちらで非常に多くの喘息患者さんを診てきました。今は来院する患者さんのほとんどの方が、喘息の症状を訴えて来院されます。6歳から高齢の方まで世代は幅広いですが、喘息の状態はさまざまですね。喉をヒューヒュー言わせて明らかに喘息であろう方もいらっしゃいます。当院は大学病院にあるような検査機器もそろえていますので、他の医療機関からの紹介患者さんもいらっしゃいますよ。そのように、何らかの呼吸器の疾患であろうという方のほかに、咳が妙に続くとか喉もとが詰まった感じがするといった症状で他の病院にかかられたけれど原因がわからず当院にたどりつかれる方も少なくありません。

ずっと咳の症状に悩まれている方が多いのですね。

喘息かどうかは検査をすればわかります。喘息以外で多いのは、マイコプラズマ感染症や、大人の百日咳感染症ですね。百日咳はもともとは乳幼児の病気で、日本では生後のワクチン接種で備えてきました。成長につれてその効果がなくなってくるので、高校生以上でも百日咳を発症するケースがあるのです。これらは抗生物質で治療できますが、喘息の場合には薬で症状を抑えながら、長く様子を観察していきます。そもそも喘息というのは、気管支にアレルギー性の炎症が慢性的に起きることから始まります。それで、気道が過敏になり、さらに、だんだんと気道が狭くなり、咳や胸苦しさといった症状に悩まされるようになるのです。

喘息だと気づくきっかけはどのようなものでしょうか?

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やはり、咳が長引いて治まらない、胸が苦しいといった訴えでわかることが多いですね。胸や背中に痛みが出る場合もあります。風邪やインフルエンザにかかって、初めてひどい喘息の発作を起こしてしまい、病院に駆け込むケースも見受けられます。ただ、私が長年喘息治療に携わってきて思うのは、相当な自覚症状が出てくる以前に「隠れた喘息」の患者さんがかなりいらっしゃるのではということです。サインはあります。喘息は胸の病気と思われますが、最初は喉もとの詰まった感じなどの違和感から始まることが多いのです。また、普段は違和感がなくてもお線香や花火の煙、強めの香水の香り、工事現場などの臭い、シンナーや埃の気配などの刺激を感じると、嫌な感じがするものです。それで激しく咳き込むまではいかなくても、苦手だなと感じるようであれば喘息の予兆かもしれませんから、一度検査をしてみてはいかがでしょうか。

検査機器で、喘息の状態を精密に把握

喘息の検査はどのように行うのですか?

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通常、呼吸器疾患の検査に用いるのは「スパイロメーター」という、呼吸機能の測定機です。最近のスパイロメーターは、肺機能が何歳程度かわかる肺年齢を測定する機能がついています。当院ではそれに加え、気管支内側の空気の通り具合を測定することで、気管支の狭窄の程度を観察できる「広域周波呼吸抵抗測定器」を導入しています。これらを併用することでより精密な診断につながります。また、呼気中の一酸化窒素ガスを測定する「呼気ガス分析装置」では気道のアレルギー性炎症の状態がわかります。「呼気ガス分析装置」は、以前は特別な専門施設で巨大な機器を使用して測定する保険外検査でした。今は測定機器がコンパクトになり保険適応となったので、当院でも早速導入しました。そのほか、喘息を重症化する恐れのあるインフルエンザ感染症の検査機器も、発症直後でも反応の出るタイプを2台導入しています。

喘息における、検査の重要性はなんでしょうか?

はっきりとした自覚症状が出る前の「隠れた喘息」の方に、検査結果を示すことでご自分が喘息だと認識していただくのに役立ちます。もちろん、検査によって気管支の空気の通り具合や狭窄の度合い、炎症の状態などを精密に把握できるので、それに合わせて吸入薬を処方していくことになります。喘息は、かつては年間7000人以上が亡くなっていた病気ですが、90年代に革新的な吸入ステロイド剤が開発されて患者数が激減したのです。今は薬のおかげで致死的な発作も激減し、日本でこの20年ほどで死亡者が最も激減した病気といわれています。

薬による治療が大切なのですね。

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そうです、継続的な治療が大切ですね。喘息の治療薬で、特に、吸入ステロイド薬と吸入気管支拡張薬が重要な薬です。以前は、別々に吸入が必要でしたが、今はこの2種類の吸入薬の合剤が出て扱いやすくなりました。喘息治療で大事なのは症状をなるべく早く落ち着かせることで、その後は24時間365日、お線香の煙を吸ってもインフルエンザや肺炎を併発しても、発作が出ないようにするのが理想です。暖かい時期は症状が出にくいので安心ですが、冬場や花粉の時期は発作が出やすく、苦労します。喘息患者さんが花粉症を併せ持つ確率も高く、花粉症でアレルギー性鼻炎が出ると気管支のアレルギー症状も悪化してしまうので大変なんですね。他にも激しい運動後や深夜から明け方の時間帯、暖かい所から急に寒い所に行った時などに発作が出やすいですが、当院ではそういう喘息患者さんに厳しい条件下でも症状が出ず快適に生活できるよう治療を行います。

治療の鍵となる薬の説明は、マニアックなほど尽くす

喘息の薬で注意点はありますか?

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薬が効いてくると症状は治まるでしょう。ただし、治ったと勘違いして薬を止めてはいけません。抑えていた症状が出て再発するだけでなく、喘息では「リモデリング現象」といって気道が構造変化を起こし、効いていた薬が効かなくなってしまうことがあるのです。なるべく薬は使いたくない気持ちはわかりますが、自己判断で服用を止め悪化して再治療して、というのを繰り返してしまうと、どんどん薬を強くしていかなければなりません。当院には中~重度の喘息の方が多いのですが、そのような方には先進的な皮下注射薬を用いたりもします。その他の治療法としては、気管支に熱を加えて物理的に広げる気管支熱形成術というのがあり、その場合は、私が呼吸器内科講師を務めていた聖マリアンナ医科大学病院などに紹介しています。

こちらの診察室には、喘息の薬が各種並べてありますね。

実際の薬を、患者さんにお見せするために置いています。処方箋を持っていけば薬局で使い方も含めて説明はしてくれますが、当院では、初めて吸入薬を使われる患者さんに、私やスタッフが実際に使って吸ってお見せします。そうすることで怖い薬ではないのだと安心いただければと思っています。また、薬の使い始めには、説明を受けたようにきちんと使おうと皆さん思っていただけますが、しばらく使っていると何となく我流が出てきてしまうものでしょう。でも、喘息の薬の効果を最大限にするには、正しい吸引が欠かせません。ですので、患者さんには何度でも私やスタッフが吸入法を指導します。吸入薬の種類にもよりますが、力いっぱい、胸いっぱいに吸い込んだら、秒針で確認しながら10秒間たっぷりと息を止めます。そして鼻からゆっくりと吐き出すのが、当院が指導するやり方です。実際に吸入指導を受けると、なるほどという表情をされる方が多いです。

目の前でやっていただけると、わかりやすいですね             

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鼻から吐くのにも理由があって、口からだとせっかく入れた薬が外に出てしまいやすいのと、もう一つ副次的なものとして、鼻に存在するアレルギー症状を抑えることも期待できます。空気が通る箇所の粘膜の内側の性質は、鼻腔も咽頭も気管支も皆共通しているので、喘息の人はそのどこにでもアレルギー性の炎症を起こしやすいのです。とにかく、喘息の治療の鍵となる薬については、実際にやって見せたり説明を丁寧にしていったりして理解を深め、症状の改善、そして快適な日常生活につなげていきたいですね。

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