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小野 文明 院長の独自取材記事

三保町内科・循環器クリニック

(横浜市緑区/中山駅)

最終更新日:2021/10/12

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック main

健康的な毎日を送るにあたり、さまざまな悩みを抱える人は多いことだろう。医療を通じて、地域住民に安心を提供するべく「三保町内科・循環器クリニック」を開業した小野文明院長は、循環器疾患を専門に急性期医療に長年携わってきたキャリアの持ち主。常に命と隣り合わせという緊張した日常の中でも、患者のつらさ、そして生きる喜びに共感するという姿勢で医療現場に臨んできた情熱あふれるドクターだ。その精神とともに、専門性を生かしながらも地域に寄り添う医療を第一に、患者とともに歩んできた小野院長。取材では、患者の人生に寄り添える喜びに、目を細める場面もあった。そんな小野院長に診療への思いをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2010年11月5日/再取材日2018年6月6日)

地域のことを地域で受けとめる診療をめざし開業

開業の経緯をお聞かせいただけますか?

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック1

開業前は心臓病や肺高血圧などの循環器疾患を専門に、国立循環器病研究センターや横浜市立大学附属病院などで急性期医療に携わってきました。急性期医療は、まさに生命に直接関わる緊張感のある現場。たいへんやりがいのある毎日でしたが、一方で退院後の患者さんの生活が気になるようになっていったのです。助命することだけでなく、退院後の患者さんの生活を受けとめ、支える医療をやっていきたいという気持ちが芽生えたことが、一番のきっかけとなりましたね。開業当初より、専門的な医療を地域に還元していくことを目標に掲げ、地域でできることは地域の中で解決していく、というスタンスで歩んできました。町のクリニックであっても循環器疾患については高いレベルの医療が提供できる、そのことを地域の住民の方にもご理解いただき、共通認識として浸透していければうれしいなと思っています。

一方で、現在もなお大学病院に足を運ばれているとか。

つい先日も大学病院に顔を出していたんですよ。クリニックと病院の橋渡し役として、それぞれに携わっていくことは、私にとってはとても重要なことなんです。急性期医療が必要と判断される場合には迅速に専門的な医療機関に紹介できるよう体制を整えていますし、もしも治療が必要となった場合は、紹介先の病院の医師と治療について相談し合うようにしています。病院勤務時代に担当していた患者さんの治療後のフォローも行っていますよ。診療の場がどこであれ、患者さんにとって“いい医者”であることが、何よりも大事なこと。医師がいるから患者さんがいるのではなく、患者さんがいるから私たちが存在するんです。そういう意味では開業後も、病診連携がしっかり取れた体制が確立できたのではないでしょうか。すぐ身近に、橋渡し役がいる。その安心感を患者さんに提供できればと思います。

そもそも先生が医師を志したきっかけは?

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック2

私は自然豊かな山梨県の生まれで、子どもの頃から基本的におせっかい焼きの性格でしたね(笑)。自分の知っていることや勉強を、友達に教えてあげては喜ぶ顔を見るのがうれしかったんです。両親は小さな町工場をやっていて、医療とはまったく関係のない環境で育ったのですが、両親も私の世話焼きの性格を理解していて、応援してくれました。当時憧れていたのは、私の近所のホームドクターの先生でした。すごく物静かな先生なのですが、診断も治療もとても的確だったのを覚えています。「この先生がいれば大丈夫」、そんな安心感を患者側に与えてくれるような、とても立派な先生でした。私も「こんなお医者さんになりたい!」、そんなふうに思っていましたね。

何よりも大切なのは、生活を守ること

診療で先生が一番大切にされていることは何ですか?

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック3

クリニック理念にも掲げている「病める人のつらさと、生きる喜びに共感する」ということです。人間は病気になって初めて、健康のありがたみに気づくということがありますよね。患者さんの隣にいる医師の側も、そうした患者さんの気持ちに共感するということが大事だと思っています。どうすれば患者さんの気持ちが和らぐのか、悩まれていること、困っていることの根本に何があるのか、それらをできるだけくみ取っていけるように。そして、患者さんとともに解決策を見つけていきたいですね。

生活習慣病のケアや生活の質の維持にも力を入れているそうですね。

はい。私の専門とする循環器の領域は、生活習慣病との関わりがとても強いですから。生命そのものに大きな影響を与える可能性の高い循環器疾患を予防するためには、まず高脂血症や脂質異常症、糖尿病といった、発症の引き金になり得る生活習慣病の管理が非常に重要となってきます。薬による治療を継続することはもちろん、日々の習慣を改善していくことも重要視しています。何でも薬で解決しようとすると、体への負担が大きくなりますから。食生活の指導では管理栄養士に大いに活躍してもらっていますね。そして万が一心筋梗塞や脳梗塞を起こしてしまった後も、再発を予防することが非常に大切。健康的に、生活の質を落とさず生活できるようサポートすることもまた、私たちの役割と考えています。

診療では検査による早期発見・早期治療も非常に重要となってくると感じます。

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック4

もちろんです。とりわけ、開業当初より力を注いでいる検査の一つが、心臓の動きや弁の構造などを観察するのに有効な超音波検査。効率的な検査を行っていくために、専門の検査技師の方に週に2回来ていただくようになりました。長らく大学病院に勤めていた経験豊富な方で、些細な異変にも気づいてくださる場面もあり、私もとても心強いと感じています。他にも、24時間分の心電図を記録できるホルター心電図検査にも対応しています。不整脈の発見・観察に有効で、脳梗塞の予防にも大きく役立つものなんですよ。不整脈が起こると血管内に血栓ができやすくなるため、不整脈が確認された段階で予防していけば、脳梗塞のリスクを避けることができるんです。場合によってはアブレ―ション治療という方法で根治治療も可能ですから、治療に関する見極めにも欠かせないものですね。

患者一人ひとりの、健やかで楽しい毎日を支えていく

医師としての歩みを振り返り、印象に残っているエピソードをお聞かせください。

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック5

やはり国立循環器病研究センターでの思い出は数多くあります。その中でも特に印象的だったのは、ある妊婦さんのことです。重い肺高血圧を持つ方で、別の大学病院で受け入れを拒否されて循環器病センターに搬送されてきたのです。運び込まれた時には、お母さんもおなかの赤ちゃんも心臓が止まりそうな状態でしたが、外科や産婦人科、集中治療室の先生方と力を合わせて、母子ともに元気に退院することができたんです。今も定期的に治療を続けておられるのですが、退院後年賀状を頂きましてね。その時は本当にうれしかったですね。

超高齢社会に向けた対策について、実施されていることを教えてください。

今後、医療と介護の連携の重要性は、より一層高まってくることでしょう。当院でも訪問看護ステーションや在宅医療支援室の方々と積極的に顔を合わせるなどして、地域連携に力を注いでいるところです。また当院では訪問診療にも取り組んでいますが、訪問診療を通して患者さんが通院できるまで回復すれば、また通院に切り替えるといった方針を取っているんです。“寝たきり”をゴール、とはしたくありませんから。他にも、運動や食事に関する指導にも力を入れていますね。大切にしているのは、「続けること」。毎日の生活の中で、患者さん一人ひとりが何か楽しみを持って生活されていると思います。それをできる形で継続していくこともまた、楽しく健康的に日々を送る上で大切なことと思います。もちろん不摂生は正す必要がありますけれど(笑)。

今後の展望をお聞かせください。

小野文明院長 三保町内科・循環器クリニック6

小児科も標榜していますから、開業当初はまだ小さかった患者さんも、今では大きくなってきていて。そうした成長を見守り続けてこられたことに、医師として喜びを感じています。一方で、待ち時間が長くなる傾向にもあり……。この課題を解消すべく、予約システムの導入に向けて調整をしているところです。医師の数も2019年春からの増員が決まりました。現在は水曜日の午前中のみ二診制の体制をとっていますが、医師の増員がかなえば、よりスムーズに診療を進めていけるでしょうから。診療体制を改善していくことで、今後もより一層患者さんの生活を守る存在となっていけたら、と考えています。命をつなぐだけではなく、生活を守る。これが一番大切なことですから。

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