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小野 英彦 院長の独自取材記事

おのクリニック

(久喜市/久喜駅)

最終更新日:2023/10/11

小野英彦院長 おのクリニック main

JR宇都宮線・久喜駅から車で約5分。大型スーパーなどがそろう大通りから少し入ったところにある「おのクリニック」は、大学病院や海外の研究者のもとで循環器疾患や高血圧、腎疾患などについて学びを深めた小野英彦院長が、2006年に開院したクリニックだ。院内はとてもアットホームな雰囲気で、広い待合スペースにはどっしりとしたソファーが何脚も置かれ、さまざまなテイストの絵画や書が飾られており、まるで院長宅のリビングのような空気が漂っている。通常の診察では白衣を着用しないという小野院長は、穏やかな語り口と優しい笑顔がトレードマーク。そんな穏やかな人柄の小野院長にさまざまな話を聞いた。

(取材日2019年12月6日/情報更新日2023年10月3日)

できる限り透析の導入を遅らせるための治療を

どのような患者さんが来院しているのですか?

小野英彦院長 おのクリニック1

高血圧や糖尿病、肝疾患、腎疾患などの患者さんが多いですね。私は腎臓の疾患や高血圧の分野について長年研究を続けてきました。現在の日本では腎臓に問題が起こると透析治療を行う場合が多いのですが、実は欧米をはじめとする諸外国では日本ほど透析患者は多くないとされています。その理由の一つには、欧米などの諸外国では移植治療が積極的に行われていることが挙げられます。日本はなかなか移植治療が一般的になりませんから。そんな中でも私は、できる限り透析治療を導入する患者さんを少なくするべく、食事内容の見直しなどを先手先手で行っていく方針を採用しています。透析治療は患者さんやご家族にとっていろんな面で負担がとても大きい治療ですから、とにかく導入を避けたいと思っているのです。

高血圧や腎臓の疾患に関する研究に国内外で長く携わられてきました。

心臓に関する研究にも専門的に取り組んできましたが、人間の持つ自然治癒力というのはとても素晴らしいもので、例えば、心筋梗塞になっても梗塞巣が少なければ新しい心筋に置き換えられて修復されていき、梗塞の跡がなくなってしまうことがあるんです。では腎臓はどうでしょう。悪化が進み完全に腎臓全体が悪くなってしまうと難しいのですが、正常な部分があればそこを足がかりに改善へと向かうこともあるとわかってきました。しかし、腎臓というのは非常に状態がわかりにくい臓器で、全身の血圧を治療によって下げることができたとしても、腎臓の中の血圧がきちんと下がっているかを確かめることは難しく、生体検査を行うべく穿刺(臓器に直接針を刺し組織を取る処置)を行った時にもし腎臓の血圧が高い状態であれば出血し、大事故につながってしまうことも。ですから、さまざまな検査結果や状況から判断して治療を行う必要があるのです。

腎臓疾患の治療はとても難しいものなのですね。

小野英彦院長 おのクリニック2

私が独協医科大学で研究と診療に携わっていた時は、担当したすべての患者さんに行った治療法から、こういうタイプの患者さんにはこのような治療法が適している、または今一つ効果が見込めなかったなど、細かく分析を行いました。もちろん治療のセオリーとして教科書に記載していることはありますが、個々の患者さんに対する適応や治療の実際の場面での細かなところ、深いところまでは書いてありませんでしたので、知る必要があったのです。例えば漢方薬ですが、腎疾患の場合、クレアチニンのある値を境に逆の作用をし始めることがあるのです。ある瞬間から腎臓で薬に対処できなくなり、漢方薬を飲めば飲むほど悪化していくことがあるんですね。そんなことを研究していくうちに、もっと深く勉強する必要があると思い、アメリカの高血圧に精通する先生のもとへ向かいました。とても充実した研究生活を送り、論文も数多く発表しました。

幼い頃から塩分摂取には気をつけることが大切

現在取り組んでおられる研究テーマはありますか?

小野英彦院長 おのクリニック3

大学を定年退職後の開業では、患者さんとふれあいながら臨床医として活動する期間が短くなってしまうと思い、48歳の時に開業しました。今は学校に通う子どもたちの塩分摂取や味覚障害、血圧に関する調査を行っています。最初は、いつから日本の子どもたちはポテトチップスのような塩分の強いものを習慣的に食べるようになったのか、という疑問からでした。いろいろ調べてみると、親の手を離れて自分のお小遣いで自由に買い物をするようになる小学校3年生くらいから、急にいわゆるジャンクな食生活になるようで、遺伝や家族が塩分の強い食事が好きといった家族性の因子だけではないことがわかってきました。日頃から塩分摂取量の多い食事ばかりを続けていると、ちょっとしょっぱい、ちょっと甘いといったような繊細な味がわかりにくくなり、味覚障害に陥りやすくなります。それが長じて、高血圧をはじめとする生活習慣病につながると考えられるのです。

では、幼少期から減塩は意識すべきなのですね。

現在、さまざまな自治体が給食や外食産業へも呼びかけて、減塩対策が取られるようになってきていますが、ぜひご家庭でも減塩を意識した生活を心がけていただきたいですね。将来の高血圧を予防する意味でも、幼少期からの食生活はとても大切ですからね。

日々の診察ではどのような点に気をつけていますか?

小野英彦院長 おのクリニック4

まず血圧や塩分の話、味覚障害についての話をさせていただいています。高齢化社会を迎え、ご高齢の患者さんがとても増えてきましたので、認知症であるかどうかも気にしています。患者さんご自身は当然ご自分が認知症であるというご自覚がない場合がほとんどです。ですから、付き添いのご家族の方ともよく話をさせていただいています。ご家族と一緒に暮らしていない方も多いですが、そんなときは、冷蔵庫やトイレをチェックして、古くなって駄目になった食品がいつまでも入っていないか、トイレはきちんと衛生的に使えているかなど、いくつかのチェックポイントをお教えして現状の把握をお願いしています。

高血圧には早めの対処を

検査機器に強いこだわりをもっていらっしゃるとか。

小野英彦院長 おのクリニック5

当院には度々、胸が気持ち悪い、という訴えの心筋梗塞の患者さんが来院されます。私は長年循環器内科での診療を続けてきましたから、開業するにあたり、心筋梗塞の患者さんが急に来院されても約15分程度で診断できるような検査機器をそろえました。短時間で確定診断できますので、救急車で搬送される前に症状と検査結果を搬送先の病院に伝えることができます。到着後迅速な治療を開始できますし、搬送先にも受け入れてもらいやすいのです。搬送までの間に、この後どのような時間でどのような経過をたどるか、ということも患者さんにお話しできるので、少しでも安心していただけると思います。

往診や訪問診療にも取り組んでおられます。

今も曜日限定で無料の巡回バスを回していますが、それでも来院できない方が出てきましたので、往診でも訪問診療でも、患者さんの状況に応じて対応させていただいています。これまでかかっていた医師が継続してご自宅でも診療を行いますので、高齢の方には喜んでいただいています。安心感を届けるのも私たちの大切な役割ですからね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

小野英彦院長 おのクリニック6

私はこれまで多くの方の定期検診を行ってきましたが、高血圧との所見を書いて報告しても、実際に治療を行う方は想像以上に少ないのです。日々の生活で困ることがないからでしょうが、高血圧は寿命を縮めることもあるということを知っていただいて、食生活やストレスなどにも気をつけながら治療をしていただきたいと思います。ぜひ自分の健康にもっと関心を持ち、若い方には今からでも塩分に気をつけた生活をしていただきたいですね。ご自分の健康を守れるのは、自分自身です。「長く健康で生きたい」という思いを強くしてください。そして、タバコとお酒はほどほどにしてくださいね。

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