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山口 力 院長の独自取材記事

医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック

(瀬戸市/瀬戸口駅)

最終更新日:2024/05/21

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック main

愛知環状鉄道線・瀬戸口駅から徒歩2分、ビル2階にある「せとぐち心療内科クリニック」。向精神薬を服用する患者が少なくないため、車を運転せずとも来院できるようにと駅から近い場所に開業したという。外観・内装ともに濃いめの茶色を基調とし、院内には観葉植物が置いてあり落ち着いた雰囲気が漂っている。山口力院長は、心療内科の医師として長い間大学病院に勤めていた経験に加え、漢方診療にも精通するベテランドクターだ。現在はトラウマ・ケアにも注力し、アメリカで積極的に取り組まれているカウンセリング技術を学ぶなどグローバルな療法の提供に努めている。心療内科の医師をめざす契機となった自身の病気のことや日々の診療のことなど詳しく話を聞いた。

(取材日2017年9月7日)

自身の持病をきっかけに出会うこととなった心療内科

医師を志す中でどのような医師になりたいと考えましたか?

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック1

人助けのできる医師をめざし、研鑽を積んできました。スポーツや勉学に励んでいた大学1年生の夏に内分泌の病気をして、隣接する大学病院にかかることになったんです。幸い、学業への影響を少なくしながら治療を進めていただけたので、内科的には速やかに改善に向かいました。しかし合併症の眼症状は、なかなか良くならない難治性の経過をたどり、東京都内にある眼科病院に入院することに。度重なる手術の中で「まな板の上の鯉」になったような受け身の、心細い患者の気持ちを体験しました。また同時に、執刀医の先生の優しい声かけが希望の光に思えました。他の入院患者さんとの交流を通して、患者さんの気持ちに寄り添う大切さを身にしみて感じたわけです。そのとき初めて、「人助けのできる医師になりたい」と心から思えたのです。

病気が契機となって心療内科へと進まれたのですか?

そうですね。ただ、初めは消化器内科の分野で修練させていただいたんです。1991年に愛知医科大学第四内科に入局し、その後研修医を経て、1993年から1996年まで東海産業医療団中央病院に勤務。内視鏡検査やカテーテル治療など内科の中でもどちらかというと外科的な手技や治療を行っていました。しかし心理や精神の領域への関心も日ごとに高まり、母校の大学病院に帰還することに。そこで心療内科の医師として、のちには精神科医として、本格的な修練を積み重ねた次第です。心療内科の医師にとって、心の問題からアプローチして身体の状態も良くしたいということは一つの真意であり、手術を受けた痛みや心細さなど自らの体験を忘れず、患者さんに寄り添える医師としてこの地域で働こうと思いました。

この地に開業した理由を教えてください。

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック2

実は、愛知医科大学病院に勤務していた時期までは、大学に残り臨床・研究・教育の道に進もうと考えておりました。そこで担当している患者さんをずっと診ていきたいという責任感もありましたからね。しかし患者さんを地元の医療機関に紹介しようと探すものの、心療内科の医院がほとんどなく、歯がゆい思いをしたことが何度かありました。そんなさなかに、医科大学の変革の時を迎えていたこともあり、退職を決意。2010年3月の開業に至りました。生まれも育ちも瀬戸市でしたので、この地で医療貢献したいという気持ちはかねてから強くありましたね。瀬戸はご存知のとおり名産品の「瀬戸物」で有名ですが、街全体が繁栄した時代から思えば、現在は活気のない印象もありました。「何とかこの街を住みやすい街にしたい。少しでも力になれたら」という思いもあったのです。

治療の効果は、信頼関係があってこそ

患者層や主訴を教えてください。

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック3

患者層は幅広く、小学生から高齢の方まで来院されます。小学生は不登校や心身症、近年増加している発達障害の方が多く、高齢者は認知症などで社会生活に支障を来した方や、パーキンソン病を合併したうつ病の方なども来られます。中高年の男性の方で、職場の異動などを契機に突然眠れなくなった、気持ちがふさぐ、楽しめないといったうつ症状を訴えて来院される方は多いです。また、子どもが巣立った後の更年期症状を訴えるご婦人も少なくありません。最近では「大人の発達障害」の患者さんも多くなっております。特に初診の方には時間をかけ、30~60分、あるいはそれ以上にお話を聴いたり、簡単な心理テストをしたり、場合によっては身体所見を取るためにベッドで丁寧に診察させていただくこともあります。

診療の際に心がけていることは何ですか。

患者さんのお話をできるだけ聴くことです。きちんと話を聴いて信頼関係を築かなければ、本来効くはずの薬も効かなくなるものだと思っています。来院して真摯に話を聴いてもらって楽になった、という声を聞くとこちらもうれしいですからね。ただ、ときには緊急を要する病態の患者さんが来院されることもあり、どうしても優先順位をつけなければいけないこともあります。それでも忙しさから効率重視に傾いてしまい、話を聴いてくれないとお叱りを受けることもありました。そんな時は素直に反省します。当院には医療事務兼受付が4人、看護師が3人おりますが、みんな待合室での患者さんの様子などを見て、気がついたことがあれば教えてくれます。そういったスタッフ間の連携に日々助けられています。

3階にはカウンセリングルームがありますが、どのように連携していますか。

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック4

3階のカウンセリングルームには3人の臨床心理士が在籍していて、心理カウンセリングや心理検査を担当してもらっています。心理検査は、内科でいうところのレントゲンや血液検査のようなもので、心療領域における疾患をきちんと診断するために欠かせないものです。例えば、最近話題の発達障害の検査で欠かせない知能検査や特性別評価法(MSPA)、投影法といわれる人格検査、そしてPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)や解離症状の評価検査などがあります。保険が適用するかの判断も必要ですので、一度私が診察し、適当と判断した患者さんだけをご紹介。特に、トラウマ・ケアを行える心理カウンセリングは当院の特徴の一つです。同じ建物内で臨床心理士と連携できることは、正確な診断や病状把握、さらに適切な対応を行うためにも、また患者さんの移動の負担を減らす意味でもメリットがあると考えています。

トラウマで悩む人を助けるための取り組みに注力

消化器内科での経験は現在の診療に生かされていますか?

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック5

問診だけでなく、身体症状もふまえて診断できる、これは消化器内科を経験した私の強みだと思います。多くの精神科ではおそらく問診が診療の中心だと思いますが、当院の場合は患者さんの状態に応じて聴診、打診、触診などを行って、診断に役立てているのです。おなかに違和感がある、手足が冷たいなど、実際に触れることでわかる所見もあります。患者さんの生活習慣の自省の一助になればと思い、2017年に超音波装置を導入しました。内臓器の悪性腫瘍の早期発見にもつなげられる点は、一般的な精神科医院とは大きく異なるのではないでしょうか。

PTSDなどのアプローチ法にも着目されているそうですね。

ええ。例えば、生命や生活を脅かす衝撃的な出来事がトラウマ記憶となり、何度もフラッシュバック症状が出ることがあります。そういった方に対するアプローチとして、眼球運動に着目した取り組みに注目しています。特にアメリカでは、さまざまな精神科疾患に対する先進的な取り組みを行っています。トラウマ・ケアの方法を学び、患者さんのために力を尽くしていきたいと思っています。

今後の抱負をお聞かせください。

山口力院長 医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック6

これまで13年以上にわたり、多くの患者さんを診てきました。地域には、思っていたより多くの自閉障害の方々がいます。知的・精神障害に伴って就労が困難な方の診断書を記載することが最近は増えていますが、これも大事な役目の一つと考えしっかりと対応しています。また、回復された方がおられる一方で、救うことができなかった方もいます。そのようなことを繰り返したくないという思いから、現在訪問看護ステーションとの連携に注力。訪問看護師に患者さんのご家庭での様子や服薬状況などのチェックの実施と共有をしてもらい、患者さんのことをより細かく診られるように体制を整えました。私一人で患者さんの生活全体を把握することは困難ですので、医療スタッフやご家族、さらには福祉機関などと協力しながら少しでも改善につながるサポートをしていきたいです。

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