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山口 力 院長の独自取材記事

医療法人創彩会せとぐち心療内科クリニック

(瀬戸市/瀬戸口駅)

最終更新日:2019/08/28

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「せとぐち心療内科クリニック」は、愛知環状鉄道線・瀬戸口駅から徒歩2分の「健康陽だまりビルディング」の2階にある。向精神薬を服用する患者が少なくないため、車を運転せずとも来院できるようにと駅から近い場所に開業したという。外観・内装ともに濃いめの茶色を基調とし、院内には観葉植物を飾るなど落ち着いた雰囲気が漂っている。長い間、心療内科の医師として大学病院に勤めた経験に加え、漢方診療にも精通する山口力院長。現在はトラウマ・ケアにも注力し、アメリカでEMDRと呼ばれるカウンセリング技術を学ぶなどグローバルな療法の提供に努めている。心療内科の医師をめざす契機となった自身の病気のことや日々の診療のことなど詳しく話を聞いた。
(取材日2017年9月7日)

自身の持病をきっかけに出会うこととなった心療内科

医師を志す中でどのような医師になりたいと考えましたか?

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スポーツや勉学に励んでいた大学1年生の夏に内分泌の病気をして、隣接する大学病院にかかることになったんです。幸い、学業への影響を少なくしながら治療を進めていただけ、内科的には速やかに良くなっていきました。しかし合併症の眼症状は、なかなか良くならない難治性の経過をたどり、東京都内にある眼科病院に入院することに。度重なる手術の中で「まな板の上の鯉」になったような受け身の、心細い患者の気持ちを体験しました。また同時に、執刀医の先生の優しい声かけが希望の光に思えました。他の入院患者さんとの交流を通して、患者さんの気持ちに寄り添う大切さを身にしみて感じたわけです。そのとき初めて、「人助けのできる医師になりたい」と心から思えたのです。

病気が契機となって心療内科へと進まれたのですか?

ただ、はじめは消化器内科の分野で修練させていただいたんです。1991年に愛知医科大学第四内科に入局し、その後研修医を経て、1993年から1996年まで東海産業医療団中央病院に勤務。内視鏡検査やカテーテル治療など内科の中でもどちらかというと外科的な手技や治療を行っていました。しかし心理や精神の領域への関心も日ごと高まり、そんな中で母校の大学病院に帰還することに。そこで心療内科の医師として、のちには精神科医として、本格的な修練を積み重ねた次第です。心療内科の医師にとって、心の問題からアプローチすれば身体の状態も良くなるということは一つの真意であり、手術を受けた痛みや心細さなど自らの体験を忘れず、患者さんに寄り添える医師として、この地域で働こうと思いました。

この地に開業した理由を教えてください。

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実は、愛知医科大学病院に勤務していた時期までは、大学に残り臨床・研究・教育の道を進もうと考えておりました。担当する患者さんをずっと診ていく責任感もありましたからね。しかし患者さんを地元の医療機関に紹介しようと探すものの、心療内科の医院がほとんどなく、歯がゆい思いをしたことが何度かありました。そんなさなかに、医科大学の変革の時を迎えていたこともあり、退職を決意。2010年3月の開業に至りました。生まれも育ちも地元の瀬戸市でしたので、この地で医療貢献したいという気持ちはかねてから強くありましたね。瀬戸はご存知の通り地産品の「瀬戸物」で有名ですが、街全体が繁栄した時代から思えば、現在は活気のない印象もありました。「何とかこの街を住みやすい街にしたい。少しでも力になれたら」という思いもあったのです。

治療の効果は、信頼関係があってこそ

患者層や主訴を教えてください。

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患者層は幅広く、小学生から高齢の方まで来院されます。小学生は不登校や心身症、近年増加している発達障がいの方が多く、高齢者は認知症などで社会生活に支障を来した方や、パーキンソン病を合併したうつ病の方なども来られます。中高年の男性の方で、職場の異動などを契機に突然眠れなくなった、気持ちがふさぐ、楽しめないといったうつ病の症状を訴えて来院される方も多いです。最近では「大人の発達障がい」の患者さんも多くなっております。特に初診の方には時間をかけ、30分ほど、あるいはそれ以上にお話を聴いたり、簡単な心理テストをしたり、場合によっては身体所見をとるためにベッドで丁寧に診察させていただくこともあります。

診療の際に心がけていることは何ですか。

患者さんのお話をできるだけ聴くことです。話を聴いてほしくて来院される患者さんは多いですし、きちんと話を聴いて信頼関係を築かなければ、本来効く薬も効かなくなるものだと思っています。たまに効率重視で診療をすると、話を聴いてくれないとお叱りを受けることもありますが、そんな時は素直に反省します。やはり来院して真摯に話を聴いてもらって楽になった、という声を聞くとこちらもうれしいですからね。ただ、時には緊急を要する病態の患者さんが来院されることもあり、どうしても優先順位をつけなければいけないこともあります。当院には医療事務兼受付が3名、看護師が3名おりますが、みんな待合室での患者さんの様子などを見て、気がついたことがあれば教えてくれます。そういったスタッフ間の連携に日々助けられています。

3階にはカウンセリングルームがありますが、どのように連携していますか。

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臨床心理士が在籍し、主にカウンセリングや心理検査を担当していただいています。心理検査は、内科で言うところのレントゲンや血液検査のようなもので、心療領域における疾患をきちんと診断するために欠かせないものです。例えば、最近話題の発達障がいの検査で欠かせない知能検査や特性別評価法(MSPA)、投影法といわれる人格検査、さらに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の評価で使われるPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)や解離症状の評価検査などがあります。保険が適用するかの判断も必要ですので、一度私が診察し、適当と判断した患者さんだけを紹介しています。特に、トラウマ・ケアを行える心理カウンセリングは当院の特徴の一つです。同じ建物内で臨床心理士と連携できることは、正確な診断や病状把握、さらに適切な対応を行うためにも、また患者さんの移動の負担を減らす意味でもメリットがあると考えています。

EMDRを活用してトラウマに悩む人の力になりたい

消化器内科での経験は現在の診療に生かされていますか。

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問診だけでなく、身体症状もふまえて診断できる、これは消化器内科を経験した私の強みだと思います。多くの精神科ではおそらく問診が診療の中心だと思いますが、当院の場合は患者さんの状態に応じて聴診、打診、触診などを行って、診断に役立てています。おなかが冷えている、あるいはパンパンに張っている、手足が冷たいなど、お話だけではなく実際に触れることでわかる所見もあります。当院の診察室にはおなかを触診するためのベッドが用意してありますが、これは、一般的な精神科とは異なる点だと思います。

こちらで取り組むEMDRとはどのようなものですか。

EMDRとは、PTSDをはじめさまざまな精神科疾患などに対する療法です。例えば衝撃的な出来事がトラウマとなり、何度も症状が出ることがあります。EMDRはそういった方に対しての治療法です。私たちはアメリカから伝わってきたその治療法を習得するためトレーニングを受け、現在も継続的にEMDRやその他のトラウマ・ケアの治療技法を積極的に学んでいます。現在は、通常診療の合間の昼休みの時間を利用して、週に1~2回、1時間前後の時間を設けて治療にあたっているほか、EMDRを広めるために知人の臨床心理士に紹介したり、みんなで講習を受講しスキルアップにも注力。今後はトラウマ・ケアを支柱にして、さらに多くの患者さんの手助けになれればと思っています。

今後の抱負をお聞かせください。

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これまで多くの患者さんを診てきました。さまざまな診療科を転々として最終的に当院に行き着き、回復された方がおられる一方で、中には救うことができなかった方もいます。その度に後悔の念にさいなまれました。そういったことをなくしたいという思いから、現在は訪問看護ステーションと連携して、家庭での様子や薬が飲めているかなどのチェックをお願いして、患者さんのことをより細かく診られるように努めています。今後はデイケアや就労支援施設との連携も、より積極的に考えていきたいですね。患者さんのことを私一人ですべてを把握することは困難ですので、医療スタッフや患者さんのご家族などと協力しながら少しでも良くなるようなサポートをしていくつもりです。

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