山内 佑 院長の独自取材記事
東岡山ながけクリニック
(岡山市中区/東岡山駅)
最終更新日:2026/06/24
東岡山駅から徒歩10分、この地で20年近くにわたり透析治療を中心に提供している「東岡山ながけクリニック」。2025年秋、主に大学病院で診療や後進の指導に携わってきた山内(やまのうち)佑先生が院長に就任した。先代院長の時代から地域医療に尽力してきた同院で、山内院長は多くの住民の健康を支えるべく、一般内科全般に対応する外来を新設。透析治療を受ける患者以外の診療にも幅広く対応している。「人が好きで、患者さんと会話を楽しんでいるときに、クリニックでの診療は自分に向いていると実感します」と山内院長。大学病院の後輩から退職祝いとして受け取ったというメッセージ入りの白衣がよく似合う山内院長に、地域医療や患者への思い、クリニックのスタンスなどを語ってもらった。
(取材日2026年5月8日)
内科を新設し、深く地域に寄り添うクリニックへ
院長に就任される前からこちらのクリニックで診察されていたそうですね。

はい。5年ほど前から、出身大学である川崎医科大学附属病院に勤務しながら、週に1回、透析治療を受ける患者さんを診に来ていました。そんな中、当院の本院にあたる「ながけクリニック」の院長である長宅芳男(ながけ・よしお)先生が、当院の院長職として声をかけてくださったことがきっかけでした。大学病院にだいぶ長く在籍していたことと、節目の40歳を迎えたこともあり、新たなキャリアを築く良いタイミングだと思いました。何よりも、スタッフが良い方ばかりで患者さんも親しみやすく、診療していて居心地の良さを感じていたことが、受諾した一番の理由です。
先生が院長になられて、クリニックで新たに取り組んだことはありますか。
それまではほぼ透析専門のクリニックでしたが、透析治療を受ける患者さん以外にも相談に来てもらえるよう、内科の外来を新設しました。以前から開業医として、「風邪かもしれない」「血圧の薬を出してほしい」といった身近な相談に応じる、いわゆる「町のお医者さん」的な立場で地域の役に立ちたいという気持ちは強かったんです。まだ地域の方々には十分に知られていない面もありますが、他の地域から来た一人暮らしの学生さんなどは、内科診療に来てくれるようになりました。当院の内科の外来は比較的スムーズにご案内でき、ゆっくりお話できる時間もありますので、もっと気軽に相談していただければと思っています。
地域に密着したクリニックをめざしておられるのですね。

大学病院の入院患者さんは、症状が落ち着くと転院してしまい短期間しか診療できないことも多かったんです。当院では、特に透析治療を受ける患者さんの場合はとても長いお付き合いになります。患者さんとしっかりとコミュニケーションを取りながら、良好な関係をつくっていければと思っています。入院患者さんたちとは違い、外来の患者さんは日々の過ごし方が人それぞれです。透析患者さんに限らず、検査結果だけを機械的に見るのではなくその背景にある生活状況を踏まえて判断し、診療するように心がけています。僕自身、これまで以上に患者さんの生活や人生に深く関わらせてもらっている気がしています。年配の患者さんが多いこともあり、地域医療に携わっていることを実感している毎日です。長宅先生は地域への貢献に熱い思いを抱いている方で、僕もそのお気持ちを継承していきたいと思っています。
初期の腎臓疾患と透析治療、2つの面から患者を支える
こちらのクリニックの透析治療には、どのような強みがあるとお考えですか。

設備面はもちろんですが、スタッフのきめ細かなサポートが当院の大きな強みです。2階の透析治療室に30床の透析治療用ベッドをそろえており、看護師と臨床工学技士を中心に治療を支えてくれています。実はひとくちに透析といっても、方式など種類はさまざまです。当院では、常に患者さんにとってより良い透析治療を提供できるよう、治療内容や体制を見直しながら取り組んでいます。透析治療は長く続く治療ですので、患者さんができるだけ元気に日常生活を送れるよう、スタッフとともに日々工夫を重ねています。普段は僕がそれぞれの患者さんを回診し、その後は外来診療にあたっているので、患者さんは僕よりもスタッフと過ごす時間が多く、距離も近いのではないでしょうか。スタッフはベテランの方が多く、とても安心感があります。患者さんのことを考えて自ら動ける方ばかりなので、大いに頼りにしています。
透析治療以外の腎臓疾患の相談も受け入れておられるのですか。
僕は日本腎臓学会腎臓専門医として、透析治療だけでなく、透析に至っていない段階の腎臓疾患についても診療しています。透析治療が必要と判断される病状の場合は入院設備のある病院での治療になるため、むしろ、尿検査異常や腎機能低下が見つかった早い段階の患者さんを当院で受け入れる形で、近隣の病院と連携できればと考えています。腎臓疾患は、健康診断の尿検査や血液検査の異常をきっかけに見つかることが少なくありません。特に尿の異常は早期発見の手がかりになることがあるため、指摘された段階で詳しく調べることが重要です。大学病院で診ていたからこそ、クリニックで経過を見てよいのか、病院に紹介するべきかという判断を適切に行うことができると考えています。健康診断や尿検査で気になる結果が出た場合などは相談してもらいたいですね。
腎臓疾患は特に長期的なケアが求められる印象があります。腎臓分野を専門に選ばれたのはなぜですか。

僕が大学生の時、身内が腎臓の病気を患い透析治療が必要になったのがきっかけです。どのような治療を受けているのか関心があったため、研修医として腎臓内科をローテートしました。そこで出会った指導医の先生に憧れたこともあり、腎臓内科に進むことにしました。透析治療を受ける方の家族になった経験のある腎臓内科の医師も、多くはないと思います。週に複数回の治療を続けていくのは、患者さんはもちろんご家族も本当に大変です。患者さんの家族を経験した立場から、本人やご家族に寄り添うことはできるのではと思い、日々診療にあたっています。
第二の家族としてスタッフ一丸で患者をサポート
患者さんと接する中で、どのようなことを心がけておられるのですか。

一人ひとりの患者さんのお人柄をつかみ、その方に合わせた接し方を考えるようにしています。どんどん話しかけて距離を縮めるのを喜んでくれる方もいれば、ある程度の距離を保ちたい方もいると思うので。患者さんの気持ちを尊重して工夫することが大事だと思っています。そして、特に透析治療を受ける患者さんに対しては「患者さんと第二の家族になる」ことが当院のスタンスです。話し相手になるだけではなく、患者さんの様子がいつもと違うことに気づくなど、コミュニケーションは医療面でも大切です。患者さんが少しでも居心地の良い環境でストレスなく治療を受けることができるよう、僕も含めスタッフ皆で常に意識してコミュニケーションを取っています。
先ほども地域との関わりについてお話いただきましたが、今後の展望を教えてください。
患者さんにとってプラスになることは積極的に取り入れて、さらに活気のあるクリニックに発展させたいです。当院は、僕が来た時点ですでに、透析治療を安全に行い、患者さんの負担を少しでも軽減するための体制が整っていましたが、これまでの良さを大切にしながら、今後も世の中の流れや地域のニーズに合わせて、新しい取り組みにも前向きに挑戦していきたいと思っています。透析治療が必要になった患者さんから「このクリニックで治療を受けたい」と選んでもらえるのが理想です。これからも引き続き、本院の「ながけクリニック流」を踏襲しつつ、さらに自分の色を出しながら、先にお話しした内科外来のような新しい要素を取り入れていくつもりです。
読者へのメッセージをお願いします。

僕自身、人と接することが好きで患者さんやスタッフとの会話を大切にしています。大学でも講義や研修医・新人医師の指導に長く携わりましたが、本当にまわりの人に恵まれたおかげでここまでやってこれたと実感しています。地域のクリニックでの診療は、大学病院時代からの長年の夢でした。これからも「患者さんとも、もちろんスタッフともコミュニケーションを大事にするクリニック」を目標に診療に励んでいきます。腎臓疾患だけではなく、「この症状はどの病院に行けば良いのかわからない」と悩んでいる方の入り口にしてもらえたらうれしいです。来院のハードルは大きな病院よりも低いと思うので、ぜひ気軽に足を運んでみてくださいね。

