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米湊 裕 院長の独自取材記事

こみなと整形外科

(松山市/福音寺駅)

最終更新日:2021/10/12

米湊裕院長 こみなと整形外科 main

松山市中南部、商店と住宅が混在する郊外の町で、2009年から診療を続けている「こみなと整形外科」。院長を務めるのは地元出身の米湊裕(こみなと・ゆたか)先生。学生時代に打ち込んだバレーボールがきっかけでスポーツ障害を患い、手術を受けた経験のある米湊院長には、患者のつらさや焦り、時に自暴自棄になる気持ちがよくわかるのだそう。将来のリスクを理解することの大切さを患者に伝え、回復へのモチベーションを奪わず、信頼関係を築きながら診療に取り組むスタンスだ。2019年からはリハビリテーションも開始。理学療法士のサポートを得ながら、機能の回復と患者自身が自己管理できるようになるのを目標にしている。米湊院長に、これまでの道のりやクリニックの診療内容について話を聞いた。

(取材日2020年10月17日)

自らの手術経験から学び、専門に選んだ整形外科の仕事

開業のいきさつを教えてください。

米湊裕院長 こみなと整形外科1

出身は松山で、この周辺は地元なんです。父が北井門で内科医院を開業していたので、自然とその道を選び、最初は自分も内科に進もうと思っていました。ところが、小・中・高校を通して学生時代に続けていたバレーボールで椎間板ヘルニアになってしまい、手術を受けることになったんです。そこで整形外科に興味が湧き、大学院にも進みました。その後は症例数の多い関係先病院で臨床経験を積み、2009年に開業しました。開業準備中にこの建物を見つけたのですが、ちょうどその頃、父の内科医院が築30年を超えて耐震上の問題があったので、当院の2階に移転してもらいました。父は内科医師として現役で、今は弟と一緒に診療しています。

先生ご自身は、整形外科のどのような分野に取り組まれてきたのでしょうか。

自分自身のヘルニア経験もあり、医学部生の頃から脊椎疾患については積極的に学んできました。医師になってからは、勤務先が地元サッカーチームのチームドクターをしていた関係で、脊椎だけでなくスポーツ障害について広く学び、多くの症例に携わってきました。あと、先ほど椎間板の手術を受けたとお話ししましたが、実は僕、椎間板ヘルニアの手術を2度受けているんです。開業してから体重が増えたので、ダイエット目的でウォーキングから始めてフルマラソンにも出場するようになったのですが、椎間板ヘルニアが悪化してしまい、マラソンも引退せざるを得ないことに。若い頃から運動が趣味でしたから、無趣味になってしまいましたね。

患者さんの傾向やクリニックの特徴を教えてください。

米湊裕院長 こみなと整形外科2

骨折や脱臼、捻挫やスポーツ障害、交通事故、労働災害による外傷、急性・慢性の肩凝り、腰痛、神経障害、しびれなどの訴え、健診で引っかかった骨粗しょう症の再検査や治療など、整形外科が一般に扱う疾患や症状を広く診察しています。足や関節の痛みから痛風やリウマチが見つかることもありますが、原因が内科的なものと考えられる場合は、専門の医療機関を紹介しています。主な治療の流れとしては、まず問診で患者さんから症状を伺い、エックス線やエコー、血液検査などで原因を探り、診断がついたら注射や内服薬・外用薬の処方、電気的・物理的治療やリハビリテーションの処方を行います。

患者ひとり一人に合わせたトレーニングメニューを提供

リハビリテーションも院内で行っているのですね。

米湊裕院長 こみなと整形外科3

院内でのリハビリテーションは、2019年5月から開始しました。高齢の患者さんは活動性が落ちていますので、対症療法中心の治療では改善しにくいことがあります。そこでリハビリテーションで、これ以上は動かせないという限界をスタッフの手でサポートすることで、少しずつ可動域を広げます。こうして機能強化を進め、やがてはサポートなしで生活できるようにするのが目標です。患者さんの状況は理学療法士をはじめとするスタッフと共有し、小さな訴えも把握しています。僕1人で治療にあたっていた時は、それぞれの患者さんにかけられる時間が少なく、ずっとモヤモヤした気持ちを感じていたのですが、リハビリテーションを始めてからは、きめ細かに医療サービスを提供できるようになり、少し安心しています。

具体的なリハビリテーションの流れを教えてください。

当院では医師と理学療法士が日々コミュニケーションをとり、個々の患者さんに合ったリハビリメニューを考え、運動機能の強化と回復をめざしています。具体的には、僕が診察・診断して指示書を出し、理学療法士が患者さんの動きを細かくチェック、痛みの原因を確認しながら運動に取り組んでいくという流れです。理学療法士は現在3人在籍しており、経験豊富なベテラン療法士、スポーツ障害に詳しい療法士、相談しやすい女性の療法士と、それぞれ個性豊かです。例えばスポーツ障害の場合、投げるフォームやジャンプの着地など、理学療法士が患者さんの動きを見てチェックできます。また、3人の理学療法士は、柔軟性や運動能力、トレーニング内容を数値化してくれますので、僕も患者さんの状態が把握しやすく、助かっています。

こちらの医院のリハビリテーションの特徴は何ですか?

米湊裕院長 こみなと整形外科4

介護保険が使える方はデイサービスでの運動をお勧めされることも多いようですが、専門知識を持つ医療従事者がいない施設では、体の限界まで使うような運動はなかなかできません。その点当院では、その人の状態に合わせて、少しきつめのトレーニングも組み込むことができますし、リハビリ以外に投薬や電気療法、けん引なども組み合わせ、痛みに配慮しながら進めることで機能回復をめざしていくことが可能です。あと、明るい気持ちで治療に取り組めるよう、院内も絵や飾り物、植物を季節ごとに入れ替え、病院っぽくしないよう工夫しています。筋肉は年齢に関係なくつけられますから、患者さんのやる気を引き出しながら、楽しんで通ってもらえるようにと思っています。

変化を実感できれば、意欲を失わずに治療を続けられる

診療で心がけていることは?

米湊裕院長 こみなと整形外科5

問診の際は患者さんの年齢や性別に合わせて言葉を選んで、気軽に話せる雰囲気をつくり、詳しく聞くことが大切ですね。症状が重く手術が必要な患者さんの場合は、術後は完全に元のようにならない場合があることも、隠さずにお伝えします。一方で、治療が患者さんのモチベーションを奪わないことも大切です。特に運動に打ち込んでいる方は、ドクターストップをかけても動いてしまう場面があるものです。ですから、頭から「ダメ」と否定しないで、その人の状況を理解し、信頼関係をつくる必要があります。その上で、リスクをわかっていてもやりたいなら患者さんの気持ちに添うこともありますが、その代わりちょっとでもおかしくなったら迷わず来院してくださいねとお話ししています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか?

勤務医時代は手術が多かったので、術後、患者さんが退院される時にやりがいを感じましたね。退院されることで、治療が間違っていなかったと思うことができますし、「ありがとう」と言われると素直にうれしいです。開業してからは、患者さんが元気な様子を見せてくれた時ですね。例えば当院では、リハビリを受けている患者さんのやる気を引き出すため、家でできる訓練を「宿題」として出しています。そして「できるようになったら教えてくださいね」とお伝えするのですが、できるようになると、診察室に入る時の足取りから違うんですよ。喜ぶがあふれているんです。そんな姿を見ると僕もとてもうれしいです。

最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお願いします。

米湊裕院長 こみなと整形外科6

痛みやしびれなどの不調は体からの合図です。整形外科以外の原因で痛みが発生する疾患もありますから、安易な自己診断は禁物です。それ以上悪くしないためにも、医療機関で検査と診断、適切な治療を受けてください。挫折しがちなリハビリテーションは、変化を実感できれば続けられると思います。75歳でも80歳でも、自分で歩いて生活でき、自分で健康管理できるようになるまで一緒に頑張って続けていきましょう。肥満が原因で膝や腰が痛い方、生活習慣病を指摘されている方も、お気軽にご相談ください。当院はこれからも地域のホームドクターとして、患者さんたちの健康な生活を維持できるよう、導いていきたいです。

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