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坂井 裕之 院長の独自取材記事

ひろ内科

(春日市/春日駅)

最終更新日:2025/04/07

坂井裕之院長 ひろ内科 main

気管支喘息などのアレルギー疾患、肺気腫などの呼吸器疾患のスペシャリストとして、専門性を生かした診療を提供する「ひろ内科」の坂井裕之院長。生活習慣病を含めた一般内科診療にも取り組むゼネラリストとしての一面も持ち、穏やかな口調でわかりやすく説明を尽くす診療姿勢が印象的なドクターだ。開業以来、院内感染対策を徹底し、発熱や咳、咽頭痛などの風邪症状が1つでもある人は来院前に必ず電話で予約するよう求める。「当院にはさまざまな要因で免疫が落ち、もし感染症にかかったら重症化が懸念される患者さんもいらっしゃいます。そういう方たちを絶対に守りたい。ご協力をお願いします」と話す坂井院長に、同院の診療の特徴や今後の展望を聞いた。

(取材日2024年10月24日)

長引く咳の原因を突き止め、治療するスペシャリスト

2009年に開業されるまでの経歴を教えてください。

坂井裕之院長 ひろ内科1

私は長崎市の出身で、父は小児科の勤務医でした。父の背中を追いかけ、長崎大学医学部に進学。2年間の研修期間を経て同大学院に進み、その後は長崎大学系列の地域の基幹病院に勤務していました。教授の推薦もあって呼吸器内科を選び、特に気管支喘息と肺気腫の診療に注力。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本内科学会総合内科専門医としての専門性を生かし、検査から診断・治療までを大きな病院よりコンパクトに提供できるクリニックをつくりたいと考え、縁あってこの春日市に開業しました。徐々に呼吸器内科の専門クリニックとして認知が広がり、遠方からわざわざ通院される方や他院からのご紹介で来られる方も増えてきました。

どのような症状の患者さんが多く来られますか?

咳のある方が一番多いです。咳の原因には、風邪などの感染症や気管支喘息、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群、肺がん、COPD、間質性肺炎などさまざまありますが、3週間以上咳が続いているかどうかが一つの目安になります。感染症が原因なら3週間以内にそのうち治まっていくものですが、それを超えて続くようなら、他の疾患の可能性を考えなければなりません。適切な検査をして咳の原因を突き止め、その疾患に対応する専用薬の服用・吸入などの治療を行うことが重要です。市販の咳止め薬では治療は難しいと思いますので、専門の医療機関の受診をお勧めします。当院には咳の症状の検査に必要な器具はほとんどそろっていますし、胸部CTは同じ春日市内の提携病院に連絡すれば、その当日に撮ってもらうことができるよう連携体制を整えています。当院でデータを確認・診断し、すぐに治療につなげることができます。

3週間以上長引く咳には要注意ということですね。

坂井裕之院長 ひろ内科2

そうです。咳だけがいつまでも続くような場合は呼吸器内科の受診をお勧めします。特に夜に咳が出る方は喘息の可能性を一番に疑います。夜間に咳がひどくなるのは、気管支の狭窄に関与する副交感神経が優位になるためで、朝4時が一番つらい時間帯、逆に一番楽になるのは夕方4時頃といわれています。喘息の診断は、臨床症状、聴診所見に加え、肺機能検査と一酸化窒素測定検査によって行い、さらに何が原因で喘息が起きているかを探るためアレルギーの原因検査を行います。そもそもアレルギー疾患とは、生まれつきアレルギーの素因を持っていて、それがある日突然症状として現れるものです。肺に現れれば喘息、鼻に現れればアレルギー性鼻炎、目に現れればアレルギー性結膜炎、皮膚に現れればアトピー性皮膚炎といった具合で、どこに症状が出るかは人によって違います。ただアレルギー素因を持っていても、一生症状が出ない方もおられます。

喘息などのアレルギー疾患、生活習慣病の診療に尽力

喘息について詳しく教えてください。

坂井裕之院長 ひろ内科3

実は日本人の10人に1人は喘息だといわれるくらい、診断を受けていない人も含めると非常に多い疾患です。喘息は子どもの病気というイメージが強いかもしれませんが、実際は20歳以下の小児喘息と診断される人は4割足らずで、20歳以降で初めて喘息と診断される人の方が多いのです。しかも小児喘息の7割は治療をすれば、症状がない状態、つまり寛解が望めますが、大人の喘息で寛解に至る患者さんは1割程度といわれ、予後が悪いです。喘息は治癒できるものではなく、専用薬を使いながらうまく付き合っていく病気だと考えてください。アレルギー原因検査を受けておけば、いつ頃に喘息が出そうかを推測できますし、喘息の既往がある方は風邪をひいたら直ちに受診して、最初から風邪と喘息の治療を同時スタートすれば重症化しにくいと思います。ちなみに子どもの喘息は大人とはやや治療法が違うので、小児科をご紹介しています。

大人の喘息は長く付き合っていく病気なのですね。

薬はステロイドの吸入薬が主体となります。ステロイドに対して拒否感を持たれる方もいますが、飲み薬と違って血液中にはほとんど入らず、肺の気管支自体で薬が分解されるので、副作用の懸念はかなり少ないとご説明しています。吸入は喘息の症状が出ていない時も継続することを勧めています。本来、気管支喘息の患者さんの気管支は、慢性的な炎症を起こしている状態です。喘息が出ていない時もずっと炎症は続いているわけですから。しかし症状がなくなったら通院したくなくなる方も多いでしょう。そのお気持ちもわかりますが、ただそういう方が次に風邪をひいた時、ひどい喘息を起こすケースが多いのです。それでもどうしても続けられない方はせめて、スギやヒノキにアレルギーがあるなら春だけは、秋の花粉やダニが原因なら秋だけは吸入を続け、そしてもし風邪をひいたら即受診してください。

生活習慣病の治療にも取り組まれています。

坂井裕之院長 ひろ内科4

総合内科専門医として、高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の診療にもあたっています。生活習慣病になってしまったら、これを自然に自力で治すのはまず無理なので、薬を適切に調整しながら治療を続けていくことが大切です。薬が嫌で「自分で生活習慣を変えて治療したい」と希望される方もいらっしゃるでしょうが、なかなか難しいのではないでしょうか。「薬の力を借りても別にいいのではないですか? 科学の力を使って長生きをめざすことも悪くないと思いますよ」というスタンスですね。

患者を守りたい、その一心で徹底した感染症対策を貫く

風邪症状がある人は、必ず電話で予約してから来院するようにとホームページなどで告知されています。

坂井裕之院長 ひろ内科5

発熱、咳、喉の痛みなど、何らかの風邪症状が1つでもある方は来院前にお電話いただくようお願いしています。専用の隔離室が限られているので、そこに順番にご案内するためで、問診後に必要であれば感染症の検査を行った上で薬を処方しています。私が院内感染対策を決して緩めることなく徹底しているのは、当院をかかりつけにされている患者さんを守りたいから。院内には、免疫抑制剤や抗がん剤を使っている間質性肺炎や肺がんの患者さんや、重度の糖尿病などで免疫が落ちている患者さん、またステロイド薬を使っている喘息の患者さんなど、もし感染症にかかってしまったら大変な方が多くいらっしゃいます。そういう患者さんに絶対、感染症をうつしたくないからです。他にも、院内に菌などの作用抑制を図る装置や空気清浄機を入れられるだけ入れて、壁もアルカリ性の高い漆喰を採用するなどさまざまな対策を取っています。

院長ご自身の健康法は何ですか?

最近注目しているのは腸内細菌です。今まで無駄と思われた食物繊維が、心身の健康に重要な役割を果たしているといわれるようになってきました。積極的にゴボウ、アボカド、もち麦、大麦など、とにかく繊維質が多いものを食べるようにしています。また大豆製品やキノコ類も大事。妻がそんな食事を作ってくれるので、ありがたく腹八分で頂くことを心がけています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

坂井裕之院長 ひろ内科6

私は専門医資格を複数持っていて、これを維持するのはとても大変なのですが、先進の知見を診療に生かし、患者さんに還元していくには必要不可欠なことだと思っています。開業して15年になりますが、特に糖尿病の治療薬や、不整脈に対する考え方は以前と大きく変わりました。そういった総合診療の分野でもしっかり研鑽を続けてまいります。今後は、私の子ども2人も医師になりましたので、そのうちここで一緒に仕事ができればと思っていますが、まあこれは本人次第ですね。これからも一人ひとりの患者さんに誠実に向き合い、その方に合ったオーダーメイドの治療を提供していきたいと考えていますので、お気軽にご相談ください。

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