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都甲 武史 院長の独自取材記事

とごう皮フ科形成外科クリニック

(枚方市/枚方市駅)

最終更新日:2026/06/09

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック main

枚方市駅から徒歩1分。駅のすぐ南側に「とごう皮フ科形成外科クリニック」はある。2009年に開業した院内はゆったりとしており、窓からの日差しも心地良い。キッズスペースやパウダールーム、エステルームも備え、0歳から高齢者まで幅広い年齢層が通う。院長の都甲武史先生は、中性的な穏やかな雰囲気の持ち主。さまざまな症状を抱えて来院する患者に、治療のための計画を立て、「ここをゴールに頑張ろう」と勇気づけてくれる。時にはユニークな例え話で、時には厳しい助言を与えながら、患者のモチベーションを下げないように、細かく知恵を絞るという都甲院長。薬も、「ただ渡すだけでなく、塗り方、量、頻度まで、細かく説明する」と語る、診療のスタンスや治療へのこだわりなどを、たっぷりと聞いた。

(取材日2018年11月1日)

安心させるためだけに「治る」という言葉を使わない

診療内容を教えてください。

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック1

当院は形成外科、皮膚科、美容皮膚科を標榜するクリニックです。一般皮膚科においては、アトピー性皮膚炎、にきび、水虫、イボなどの治療から、スキントラブルの治療まで、幅広く行っております。 私は開院までの間、京都大学医学部附属病院と、その提携先の総合病院で日本形成外科学会形成外科専門医として長きにわたり勤務してまいりました。手術の内容によっては、現在非常勤で勤務している枚方市の佐藤病院へお越しいただいて、私の外来枠で手術を行ったりもしています。

明るくてとても居心地の良いクリニックですね。

0歳の赤ちゃんも来られますから、お母さんがお子さんを寝かせながら診察を待てるように、キッズスペースは畳敷きにしています。半円形のテーブルを置き、椅子の間隔や通路も広く取ることで、ご高齢の患者さんでも移動しやすいように考えています。皮膚科の診察では、女性にお化粧を落としていただく場合もございますのでパウダールームと、奥にはエステルームも設置しております。診察室は2室あり、両方の診察室に患者さんにお入りいただいて準備してもらい、私がバックヤードを行き来することで待ち時間短縮にも気をつけています。ところどころに、私の趣味のアニメや特撮、宇宙に関連したグッズや絵を飾っています。患者さんの緊張を和らげることが目的ですが、これに関しては実は、私が一番楽しんでいるかもしれません(笑)。

先生の診療方針を教えてください。

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック2

形成外科は生まれながらの異常や、病気やケガなどによってできた見目のよくない状態の改善をめざす外科です。崩れていたものを本来あるべき形に戻してあげるために、私たち形成外科の医師は働くわけです。けれど戻すことができるレベルが、患者さんの理想と一致しないこともなくはありません。ですから私は、長年の経験から、どの程度までの結果が見込めるか、というお話を最初にきちんとさせていただくようにしております。これは皮膚科の診療にもいえることですが、患者さんが過度に期待して、「もっと治ると思っていたのに」と、がっかりするようなことになってはいけないと、強く思っているからです。絵を描いたり言葉を尽くして、一生懸命に説明をしますし、納得していただけるまで治療も行いません。「形成外科専門医が縫って残る傷は、誰が手術するよりも見た目に気遣っているから、これ以上は望めないよ」とはっきり申し上げることもあります。

最初にゴールを設定し、患者のやる気を高める

どのような症状の患者さんが多いですか?

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック3

患者さんの8割ほどが皮膚科疾患で来院されます。皮膚科においては、ゴールのある疾患とない疾患があります。後者の場合、良い状態をキープするために持続的な治療を必要とするのですが、それは糖尿病疾患に似ていると私は思います。持続的な治療の場合、患者さんが疲れたり、途中でやめてしまったりすることがあります。患者さんも先が見えないので、継続が難しいのです。ですので、例えばアトピーの患者さんの場合、私は「最初に6週間、いい状態をキープしたら解剖学的に改善に向かっていくので、まずそこが最初のゴールです」と申し上げます。それがクリアできたら次の6週間へと進み、トータルで3ヵ月ぐらい良い状態がキープできたら、そこから先は自分で自己管理していけるので、そこまで頑張りましょうね、とお伝えします。途中のゴールを設定することで、治療に取り組める人が増えると考えています。

どの患者さんも、うまくいくのでしょうか?

それがなかなか、うまくいかない人もいます。私はカルテにすべて記録していますから、しばらくたって患者さんが来院された時に、きちんとできてないと、医師受験勉強を指導する塾の講師に役柄を変えて、怒ることもあります。さながら“とごう受験塾”です(笑)。塾が宿題を出すだけで、学生の成績は上がらないのと同じです。2週間後にチェックをして、ちゃんとできているかを見てあげないと。自己学習ができるようになるまで、講師のサポートが必要なのと、皮膚科で医師がサポートするのは同じだと私は思います。薬についても、「塗っておいてね」と渡すだけではなくて、この面積に対してどのくらいの量を、どんな頻度で塗るのがいいのかを、しっかり説明します。症状を改善するためには、始めからきちんと説明することが重要なのです。

先生にとって、心に残る患者さんはいらっしゃいますか?

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック4

京都大学医学部附属病院で研修医をしていた頃にお会いした患者さんです。テロメアという遺伝子異常で、通常より早く老化が進行する早老症で入院しておられました。筋肉の拘縮で目が閉じられなくなり、形成外科で手術を受けられました。23歳で発症された上に、根治療法のない病気ですし、長い闘病生活でおつらいだろうと思いました。何とか励ましたくなり、その頃、人気のあった俳優兼ミュージシャンの真似をしてギターを抱えて病室へ行き、演奏をして教授に叱られた記憶があります(笑)。数年して、亡くなってしまわれたのですが……。その時から、医学的な治療以外にも、心の琴線にふれるスパイス的な治療をしていきたいと思いました。自分は、結構おしゃべり好きなのだなと気づいたのも、その時です。将来、開業したら、患者さんをメンタル面からもサポートしたいと思った出来事ですね。

短期的視野と長期的視野を患者にも持ってもらいたい

先生が形成外科の医師になろうと思われたきっかけを教えてください。

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック5

子どもの頃に、事故で切断された指が手術で見事につながったという映像をテレビで見た時に、すごいことができるもんだなあと思ったのがきっかけです。和歌山県立医科大学に入学したのですが、形成外科がなく困っていたところ、教授が京都大学医学部附属病院の形成外科の教授を紹介してくださったのです。喜んで行ったのですが、すぐに「これは大変なところへ来てしまった」と思いましたね(笑)。形成外科の手術は、何十時間にも及ぶことが多く、体力的に難しいと思ったのです。何度か形成外科医を諦めようと教授に相談したのですが、そのたびに引き止められたのと、新しいことへのチャレンジには自分の予想を上回る新しい出会いがあるという持論から、結局大学の医局に残り、形成外科で研鑽を積むことになりました。

先生が日々心がけておられることは、どんなことですか?

楽しい診察を心がけています。私が大学院生だった頃に研究の指導をしてくださった先生の影響が大きいと思います。とても尊敬できる先生で、いつも患者さんを楽しませる外来診療をされていました。残念ながら昨年、急なご病気で亡くなり、もう先生の背中を追いかけることができなくなりました。あんなに素晴らしく、元気だった先生でも急逝されるのだから、人生何があるかわからないなあ、短期的視野と長期的視野を持って生きないと、人生後悔するなあと思いました。それからは、「現状は治療しないといけないけれど、治療にかかりきりになってはいけないよ」と患者さんにもお話ししています。

開院してちょうど10年ですね。今後の展望はいかがでしょうか?

都甲武史院長 とごう皮フ科形成外科クリニック6

これからも、学会などで、たくさんの有益な情報を得て、自分自身を少しずつバージョンアップし、どんどん自分の診察を良くしていきたいと思っております。1ヵ月前よりも良い診察ができるように、と日々努力を続けていけば、高いレベルまで行けると思います。患者さんのために努力する、というと少し横暴な気がするので、自分の診察や手術がうまくいって、診療に喜びを感じたいから、ということにしておきます(笑)。