耳鼻科と小児科どっちを受診すべき?
上手な使い分けのポイント
安城ささめ耳鼻科
(安城市/新安城駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
子どもが熱を出している、鼻水もひどい。こんな時、あなたなら耳鼻咽喉科と小児科、どちらに連れて行くだろうか? 中には「子どもの体調不良=小児科」と考えている人もいるようだが、実は耳鼻咽喉科を受診したほうが、治療がスムーズに進むケースもあるといわれている。今回話を聞いたのは、「安城ささめ耳鼻科」の林秀雄院長。耳鼻咽喉科の疾患全般とアレルギーの治療に精通しており、中耳炎や副鼻腔炎、花粉症などの診断・治療を専門的に行っているドクターだ。林院長いわく、「耳鼻咽喉科と小児科、それぞれに受診のメリットがある」とのこと。実際にどのような基準で使い分けると良いのか、詳しく話を聞いてみた。
(取材日2017年11月21日)
目次
二者択一ではなく、それぞれの良さに注目して受診することが大切
- Q子どもの場合、どんなときに耳鼻咽喉科を受診すると良いですか?
-
A
▲耳鼻咽喉科ならではの各種専門的な機械を備えている
その名のとおり、耳・鼻・喉に関するあらゆる症状をご相談いただけます。鼻と耳は奥でつながっているので、特に小さいお子さんは鼻水が出始めると中耳炎になりやすいですね。しかし耳や鼻の奥は見えづらく、何が起こっているのかを一般の方が知るのはなかなか難しいでしょう。小児科との違いは使用する器具にあります。耳鼻咽喉科では顕微鏡やファイバースコープ(内視鏡)をはじめとする専門的な機械を備えており、奥までしっかり観察できます。耳垢が溜まっても耳の奥は観察できませんが、耳鼻咽喉科では耳掃除もできます。また、黄色い鼻水が出たときも、鼻の中をきれいにする吸引処置やネブライザーなどの治療を受けることができます。
- Q風邪のときはどちらにかかれば良いか迷います。
-
A
▲耳・鼻・喉に関するあらゆる症状を相談できる
いわゆる風邪は「鼻かぜ」「喉かぜ」と呼ばれるように鼻から喉にかけての気道の炎症から始まります。つまり風邪は本来、鼻や喉を専門とする耳鼻咽喉科の得意分野なのです。一方で、喘息や心臓の病気などの持病をお持ちの場合や、高熱と激しい咳が続いていて肺炎が疑われるとき、腹痛や下痢があるとき、皮疹(湿疹)が出ているときなどは、まず小児科で診てもらうと良いでしょう。ただし、中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿症)を繰り返している子は、風邪をひくとまた悪くなりやすいですので、小児科を受診した後にでも耳鼻咽喉科で耳や鼻を詳しく診てもらうことをお勧めします。
- Q中耳炎と副鼻腔炎について、それぞれ詳しく教えてください。
-
A
▲鼻の中をきれいにする吸引処置やネブライザーも
中耳炎、副鼻腔炎と言っても、急性のもの、慢性のものなどさまざまです。一般的に中耳炎は痛いというイメージですが、例えば滲出性中耳炎の場合は痛みが出ないことが多く、小児の場合は異常を訴えないこともあります。副鼻腔炎も「黄色い鼻水が出る鼻の病気」と思いきや、鼻水は多くはないのに、喉のほうへ流れた鼻水が痰となって咳の原因になることも。汚い鼻水が溜まっていても鼻をすすってしまえば鼻水が出てこないので、副鼻腔炎でも鼻は良さそうに見えてしまいます。風邪薬を飲んでもなかなか治らず、耳鼻咽喉科で診たら副鼻腔炎だったということも珍しくありません。中耳炎や副鼻腔炎は、外側から見ただけではよくわからない病気なのです。
- Q中耳炎や副鼻腔炎を放置するとどうなるのですか?
-
A
▲同院長は早めの受診を推奨している
急性中耳炎を繰り返すと、聞こえが悪くなってしまうことがあります。また、滲出性中耳炎を長い間放っておくと、聞こえが悪くなるだけでなく、耳の奥に真珠腫というできものができて手術が必要になったりすることも。一方、急性副鼻腔炎もそのままにしておくと慢性化して治りにくくなったり、場合によっては鼻の中にポリープができてしまったりすることもあります。病気が悪化してからだと治るまでの治療期間がどうしても長くなってしまうので、早めの受診を心がけていただきたいですね。
- Qこちらではインフルエンザの検査も受けられるそうですね。
-
A
▲患者同士がなるべく隣り合わないよう待合室は広くなっている
はい。高感度検査機器を導入しています。インフルエンザの検査では鼻の奥まで綿棒を入れて粘膜をこするのですが、痛そうですよね。当院ではできる限り痛い思いをさせずに済むよう、スプレータイプの痛み止めを鼻の中に吹きかけてから綿棒を入れるようにしています。ほかにも、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌、マイコプラズマなど、各種迅速検査用のキットをそろえていますから、お子さんの急な発熱にも対応していますので気軽にご相談ください。当院では患者さん同士がなるべく隣り合うことがないように待合室を広くしていますが、他の患者さんへの飛沫感染を防ぐためにも、咳が出る場合にはマスクをしてご来院ください。