医療と児童福祉が密に連携し
多職種で子どもの成長を支援する
つくだクリニック
(奈良市/新大宮駅)
最終更新日:2025/09/02


- 保険診療
子どもの発達に不安を感じたときに何でも相談できる場所をめざしている「つくだクリニック」。同院は、同フロアに「児童発達支援・放課後等デイサービスなないろ初伝舎」を併設し、チームで子どもの成長を支援していることが特徴だ。同院および同施設では、佃宗紀(つくだ・としのり)院長を筆頭にさまざまなエキスパートが集結し、連携してサポートにあたっている。中でも、作業療法士であり児童発達支援管理責任者でもある久保千尋さんは、園や学校などに直接意見しにくい保護者に代わって教育機関に出向き、両者の橋渡し的な役割も担う。また、言語聴覚士の西村悦子さんは、子どもがコミュニケーションを図れるように言語領域からの支援に注力している。今回は久保さんと西村さんの2人に、医療機関と児童福祉施設が併設する意義などについて尋ねた。
(取材日2025年7月24日)
目次
クリニックと児童発達支援・放課後等デイサービスが連携し、子どもの成長を多角的かつ長期的にサポート
- Qお二人の役割や、具体的な支援内容について教えてください。
-
A
▲言語コミュニケーションの支援を担当する言語聴覚士の西村さん
【西村さん】私は言語聴覚士として、主に言葉の発声や読み書き、人とのコミュニケーションに困難のあるお子さんの訓練を担当しています。サ行を「たちつてと」と発音してしまうケースなどです。また、言語コミュニケーションに関しては、インリアルアプローチを重視した訓練で学習とコミュニケーションの向上をめざします。
【久保さん】私は作業療法士として、スプーンを持つといった日常的な動作や、体のバランスを整える運動能力に関する支援を行っています。また、児童発達支援管理責任者として子どもたちとの関わり全般を統括しているほか、保護者の相談窓口となり、お子さんが通う園や学校に出向いて助言させていただくこともあります。
- Q医療と福祉を併設するメリットはどういう点にありますか。
-
A
▲施設内は支援の内容に応じたスペースが充実
【西村さん】保護者の方から投薬の相談など、医療的なアプローチが必要な場合、スムーズに診療につなぐことができることです。また、心理的なアプローチが必要な場合も同様にスムーズにつなぐことができます。
【久保さん】医療と福祉が密に連携することで、お子さんの成長を多角的に見守っていくことができます。また従来なら、専門用語の多い医師の所見を保護者の方が記憶して施設職員に伝えなければならないところ、その必要がないことも医療機関と福祉施設が併設する利点でしょう。
- Qさまざまなエキスパートと、どのように連携しているのですか。
-
A
▲作業療法士でもあり児童発達支援管理責任者を務める久保さん
【久保さん】こちらでは、医師を筆頭に言語聴覚士、作業療法士、公認心理師、保育士など多職種がそれぞれの領域から子どもたちの成長を支援しています。意外かもしれませんが、運動能力の向上が気持ちのコントロールにも影響を与えることがあるので、多角的に支援することは意味のあることなんです。ただし、言語聴覚の分野に重きを置いて訓練するのか、それとも作業療法を中心に取り組むのかは、佃院長の指示のもとで全員で相談してプログラムを組んでいきます。その際に大切なのは、保護者の方の意見も取り入れながら決めていくということです。不安や要望を伺い、お母さんやお父さんに安心していただくことも私たちがめざすところなんです。
- Qチーム力向上のために、何か工夫していることはありますか。
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A
▲月2回全職種が集い一人ひとりの子どものカンファレンスを実施
【西村さん】なないろ初伝舎とつくだクリニックは同じフロアにあるので、全職員が日常的に行き来して、情報を共有するようにしています。
【久保さん】スタッフが直面している課題や悩みを何でも率直に相談できるような雰囲気づくりを大切にしています。全職員がざっくばらんに意見を交換し合うことで、例えば遊具や机一つをとっても、お子さん一人ひとりの状態に適した配置ができ、個々の特性に合わせたこまやかな支援につながるからです。月に2回は全職種が集まって、一人ひとりのお子さんについてカンファレンスを行うようにしているんですよ。
- Q今後、どのような支援をしていきたいとお考えですか。
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A
▲子どもの成長に合わせて一人ひとりに寄り添いサポート
【久保さん】幼児から高校生まで幅広い年齢のお子さんが通ってくれているので、成長に伴い将来の夢なども当然出てきます。その一つ一つに寄り添い、将来につながるサポートを行っていくことが今後の課題だと感じています。当施設には教員免許を有する職員も在籍しているので、それぞれの専門性を生かした支援で子どもたちの可能性を開花させてあげられたらと考えています。
【西村さん】お子さんにできることが増えていくと、保護者の方の表情も明るくなります。お子さんが楽しく成長できるようにサポートするのはもちろんですが、保護者の方も笑顔になれるような支援を今後も続けていきたいと思っています。