山下 健 院長の独自取材記事
KENレディースクリニック
(生駒郡斑鳩町/法隆寺駅)
最終更新日:2024/10/25
大和路線・法隆寺駅から徒歩3分の「KENレディースクリニック」は、歴史息づく街に根差した産婦人科専門のクリニックだ。もとは新谷雅史先生が約15年前に開業した「新谷レディースクリニック」を受け継いだ医院を、2022年1月に名称変更してリニューアル開院。院長を務める山下健先生は長年、県内の基幹病院の産婦人科部長を務め、分娩や女性特有のがん治療に携わってきた。骨粗しょう症治療や婦人科内分泌治療についても多く学んできた山下先生は「幅広い分野で患者さんを診られる産婦人科医」をめざし、あらゆる年代の女性の悩みに対応するとともに、助産師による外来や骨粗しょう症の治療にも力を注ぐ。大切に言葉を選びながら話す山下先生に、クリニックのコンセプトや診療について聞いた。
(取材日2024年8月20日)
女性の一生に誠実に寄り添う、地域のかかりつけ医
クリニックのコンセプトを教えてください。
「貴女(あなた)の『つらい』に応えます」というキャッチフレーズを掲げています。当院には10代から90代まで幅広い年代の患者さんがいらっしゃいますが、女性の体は初潮を迎える思春期から成熟期、更年期、老年期と年齢を重ねるごとに、さまざまな変化が起こります。その時々の「つらさ」を和らげるよう導き、女性の生涯にわたる心身の健康をサポートする、地域のかかりつけ医でありたいと考えています。勤務医時代は妊娠・分娩のサポートはもちろんのこと、女性特有の疾患や骨粗しょう症、女性内分泌学についても研鑽を積んできました。勤務医時代の30年間の経験を生かして、地域の皆さんに満足していただけるような「安心」で「わかりやすい」医療をめざしています。
患者さんの年齢層は?
10代から90代まで幅広い年代の患者さんにいらしていただいています。勤務医時代に新谷先生と一緒に手術をした患者さんや、分娩に携わった患者さんなど、長いお付き合いの患者さんも多いです。「先生のおかげです」と言ってくださるのを聞くと、感慨深いですね。
月経の悩みから、母乳や育児、更年期まで幅広く対応
どのような悩みで受診されるのでしょうか。
主訴は実に多彩です。特に10代は月経の悩みで来院される方が多く「周期がバラバラ、月経前や月経中に気分が落ち込む、月経痛が強い、経血量が多い」といった悩みをよく聞きます。重症だと仕事や勉強もできず、はいつくばってトイレに行くような方もいらっしゃいます。昔は我慢しなさいという風潮もありましたが、今は低用量ピルや漢方薬などの治療で十分に治療が可能です。また、月経困難症には、子宮内膜症や子宮筋腫などによる器質性のものと機能性のものがあり、器質性の場合は原因疾患の治療も必要です。超音波検査などで診断できますので、受診していただいて病気が隠れていないか確認をお勧めします。
20代以降の方はいかがでしょうか。
20代以降の性的活動期には「おりものが増えた、におう、陰部のかゆみ」などの症状が多いですね。細菌性膣症やカンジダ膣外陰炎、クラミジアや淋菌、トリコモナス感染症などの可能性が考えられますので、検査の上で迅速に治療を行っています。また、結婚が決まられた方や出産を希望されている方には「プレコンセプションケア(ブライダルチェック)」も実施しています。「コンセプション」とは「受胎」という意味で、自分の体が妊娠できる状態かどうか、妊娠や分娩を妨げる問題がないかをチェックして心身を整えていくものです。当院には禁煙の外来もあり、「妊娠する前に禁煙したい」「健康のために禁煙したい」方のサポートもしていますから、気軽にご相談ください。妊婦健診については妊娠30週台前半まで対応し、分娩や手術は信頼できる施設をご紹介しています。
産後のケアにも力を入れているそうですね。
リニューアル開院に伴い、完全予約制で助産師が対応する、産褥ケア、母乳の外来、育児相談その他各種相談などの助産師による外来を開設しました。以前、勤務医時代に一緒に働いていた助産師が担当します。母乳のトラブルをはじめ、産後の育児相談や心の悩みなど、全般的に対応しています。母乳の外来は乳房マッサージなどで母乳のトラブル解決を図り、必要があれば医師の診察や薬の処方を行います。近辺に母乳相談を行っているクリニックがあまりないこともあり、大和郡山市や奈良市などから通われている方もいますよ。また、育児相談では沐浴方法や夜泣きなど育児の不安や悩みにお答えします。どこに相談すればいいかわからないといった些細な悩みも、ぜひご相談ください。
更年期にもさまざまな悩みが出てきますね。
閉経前後の40代後半から50代前半にかけては、女性ホルモンの分泌が減少することで、「のぼせやほてり、動悸、めまい、しびれ、頭痛、肩凝り」などの、いわゆる更年期障害の症状が現れます。当院では、患者さん一人ひとりの症状や希望に応じてホルモン補充療法や漢方治療、プラセンタ治療などで対応しています。更年期以降は血圧やコレステロールの値が高くなる方も多いのですが、そういった内科的疾患の管理も行っています。産婦人科の医師は妊娠・出産のサポートだけでなく、女性特有の疾患の治療やライフステージごとの体の悩みにも対応するのが使命だと考えています。もし男性医師には話しづらいとか、女性医師による診療を受けたい方はスタッフにお声がけください。木曜日と第3土曜日の診察は奈良県立医科大学附属病院に所属する女性医師が担当しています。また、新たな取り組みとして「お待たせしない初診予約枠」も設けています。
女性の生涯にわたる心身の変化に対応する治療
独立前から注力し、熱意を持って骨粗しょう症治療に取り組まれているようですが?
閉経により女性ホルモンが減少すると、骨がもろくなりやすくなり骨粗しょう症になりやすくなります。これを閉経後骨粗しょう症といいます。骨粗しょう症女性の3人に1人は骨折するといわれています。「骨折ぐらいで済んで良かったね」といわれることがありますが、高齢者が骨折すると、スムーズに歩けなくなるなど著しく生活の質が落ちてしまします。それにより要介護や寝たきりの原因になります。当院での骨密度測定は、多くの病院で採用され世界中で高いシェアを誇る、高制度の測定機器を使用して行います。DEXA法という方法で腰椎と大腿骨頸部の2箇所で骨密度を測定します。その結果、治療が必要だと判断した場合は、年齢や状態に合わせて骨粗しょう症のエビデンスに基づいた治療を提供しています。
受診へのハードルを減らす、仕組みづくり「お待たせしない初診予約枠」とはどういうものでしょうか?
診療ではしっかりお話を伺うことを大事にしていますが、その一方でどうしても患者さんをお待たせしてしまうのが気がかりでした。そこで、初診の方向けに「お待たせしない初診予約枠」を設けて、電話予約ができるようにしています。予約時にスタッフが症状を詳細にお聞きするので、予約時間直前に来院していただければ、すぐに診察を受けることができます。多くの方にご利用いただいていて、取り組みを始めて良かったと感じています。また以前に受診されている方でも期間が開いている場合には、「お待たせしない初診予約枠」をご利用いただけます。
それはありがたいですね。また最近新しい取り組みをされているとか?
2024年5月より医療脱毛を開始しました。若い方を中心に、無駄毛処理の手間を省きたい方や毛深いとお悩みの方などを中心に、脱毛のケアを受ける方が増えています。さらに、40歳代から60歳代のミドル世代の方では、将来自分が介護を受ける際に介護者の負担にならないための準備としての、「介護脱毛」を受けられるケースも多いです。当院では痛みが少なく高い効果が期待できる機器を使用し、専用個室内で熟練した女性看護師が施術しますので、安心して受けていただけます。半年足らずで多くの方が受けられています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
名称は変わりましたが、地域に根差したかかりつけ医でありたいという理念は何も変わっていません。分娩以外は、すべての女性の悩みに対応できるよう尽力しています。「先生のおかげです」と言ってくださる長いお付き合いの患者さんもいらっしゃってうれしい限りです。私自身、定年もありませんから、70歳、80歳になっても元気に長く診療を続けていきたいと思っています。「安心」で「わかりやすい」医療を常にめざしていますので、不安なことや疑問があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは脱毛/両ワキ4500円~(カウンセリング1回1000円)