全国のドクター9,189人の想いを取材
クリニック・病院 158,628件の情報を掲載(2024年4月28日現在)

  1. TOP
  2. 広島県
  3. 東広島市
  4. 西条駅
  5. たにぐち脳神経外科クリニック
  6. 谷口 栄治 院長

谷口 栄治 院長の独自取材記事

たにぐち脳神経外科クリニック

(東広島市/西条駅)

最終更新日:2023/03/31

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック main

2009年に開業した、広島県東広島市にある「たにぐち脳神経外科クリニック」。院長を務める谷口栄治先生は、1989年に広島大学医学部を卒業後、同大学医学部脳神経外科教室に入局。その後は国立呉病院(現・呉医療センター)、世羅中央病院、東広島医療センターに勤務し、臨床経験は30年を超える。勤務医時代は脳卒中などの治療にあたってきたが、それらの豊富な経験から、病気発症前の予防や早期発見の重要性を強く実感。「脳卒中を発症する手前でなんとか食い止めたい」と思ったことが開業のきっかけだったという。取材では、患者への思い、予防や早期発見の大切さ、私たちが普段生活する上で気をつけるべきことなどについて聞いた。

(取材日2023年2月6日)

病気の予防と早期発見に力を注ぐ

予防や早期発見を重視されているそうですね。

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック1

私は国立呉病院(現・呉医療センター)や東広島医療センターに勤務していたのですが、こういった基幹病院へは脳卒中など重篤な状態になってから運ばれてくる人が少なくありませんでした。しかし脳卒中を発症してしまってからですと、手術が必要になったり後遺症の可能性があったりと患者さんの負担がとても大きくなります。これまでにさまざまな患者さんを診てきましたが、「発症前にこうしていたら良かっただろう」「ここに気をつけておけば……」と思うことが何度もありました。それが、予防や早期発見の大切さを強く実感したきっかけですね。病気になってから治療を行うのはもちろん大事ですが、それよりもまず病気にならないようにするのが一番大事だと考えています。

開業されたのも、そういった思いがあったからでしょうか。

ええそうです。東広島医療センターにいた時はたくさんの患者さんが来院されましたが、一人ひとりに対して責任を持ってもっとしっかり診たいという気持ちがありました。患者さん側でも、こういった基幹病院ですと、受診が半日や一日がかりになってしまって大変ですよね。じっくり話ができないという思いも少なからずあると思います。ただ、医師がもっとしっかり話を聞くことができれば、そこから「あれ?」と思うことを見つけられたり、前兆となるようなものに気がつけたりすることがあるかもしれません。ここは東広島医療センターから近いのですが、この辺りだと他に脳神経外科のある医療機関がほとんどないんです。東広島医療センターなどで大きな手術をされた患者さんの、その後のケアをさせていただきたいという思いもあって、こちらに開業しました。

患者さんと接する上で大切にされていることはありますか?

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック2

当院にはさまざまな年代の方が来られますが、よく話を聞くことと時間をかけることを特に意識しています。なぜかというと「ここが気になっていて」という訴え以外にも、話を聞いていると少し気になる部分が出てくることもあるからです。その場合は必要だと思われる検査をするようにしています。当院ではCT検査、頸動脈超音波検査、脈波図検査ができるのですが、そこで問題がなければそれでいいんです。でもMRI検査も必要だと思われたり、手術の可能性も考えられたりする場合は、専門の医療機関にご紹介します。脳神経外科というとどうしても受診しづらいイメージがあるかもしれません。しかし私はせっかく来てくださったのですからしっかり診て、不安なところはきちんと解消し、必要な情報はしっかり伝えたいと思っています。

頭痛や睡眠時無呼吸症候群などさまざまな相談にも対応

どういった主訴で受診される方が目立ちますか。

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック3

頭痛を訴えて来られる方は多いですね。頭痛の中で特に気をつけないといけないのは、いきなり発症するタイプの頭痛です。ただ、頭痛に関しては基本的には全部気をつけたほうがいいと思って診ています。話を聞いていて「これは大丈夫だろう」と思っても、検査をしてみると驚く結果が出ることもありますからね。例えば脳梗塞の初期症状が現れていたり、血管が解離していたり、そういったことはCT検査やMRI検査をしないとわかりません。症状が軽ければ普通に過ごせてしまうというのも、怖いところですね。また、頻繁に起こる頭痛でも気をつけないといけないケースもあります。ですので、頭痛を訴えておられる方についてはまず脳のCT検査で異常がないかを確認し、気になる所見がある場合は専門の医療機関を紹介して、そこでMRI検査を受けてもらうようにします。

脳卒中について、私たちが知っておくべきことはありますか?

そもそも脳卒中というのは、遺伝性のものもありますが、むしろ普段の生活習慣が深く関与する病気なんです。血圧が高いと発症リスクが高くなりますから、血圧に気をつけることが大事です。普段から通院をされていれば医師が予防のための薬を処方できますし、患者さん自身もより健康を意識して生活することが期待できます。とはいえ、どんなに気をつけていても何があるかわからないのが怖いところです。中高齢になると血圧が上がってきますから、検査をしてその時は大丈夫でも、次の日急にということもあります。その辺りを踏まえると、やっぱり大事なのは基本的な生活習慣。なるべく病気の発症につながるリスクを下げるように意識して生活することが大切です。

他にも気をつけたほうがいいことがあれば教えてください。

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック4

神経質だとストレスになるから良くないと言われたりもしますが、個人的には少し神経質くらいのほうが大ごとにはなりにくいという側面もあるのではないかと考えています。一番気をつけていただきたいのは生活習慣病ですが、睡眠時無呼吸症候群にも注意してほしいですね。というのも、睡眠時に無呼吸になっている最中に、脳卒中や心臓の発作が起こることもあるんです。これらはご本人よりもご家族が気づかれる場合が多いのですが、気づいて気になってはいても、どこで診てもらおうかと悩まれることも多いようです。当院で専門的に診られるというわけではないのですが、相談をお受けすることはできます。もしご家族のことで「あれ?」と思ったときには、まず一度相談に来てもらえるといいですね。

些細なことでも気軽に相談できる脳神経外科へ

クリニックについてあらためてご紹介ください。

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック5

当院には現在、私のほか看護師3人と事務1人が在籍していますが、患者さんをそれほどお待たせせずに診療できていると思っています。このことに関しては本当に看護師のチームワークに助けられているところが大きいですね。診療方針として皆に共有しているのは「親身になり過ぎても問題が起こることがある」ということ。ある程度はつかず離れずしっかり話は聞くけれど、入り込み過ぎず適度な距離感を保ってしっかり向き合う。私はこういったことが大切だと考えているのですが、そのあたりをうまくやってもらっているので本当に助かっています。それから、高齢の方ですと通うのが大変な場合もあるので、往診や訪問診療も実施しています。現時点ではそういったことも含めてスムーズに行えていると思いますので、制度面や設備、発信する情報などを必要に応じて更新したり変えたりしながら、この状態で続けていきたいなと思っています。

先生ご自身のことについてもお聞かせください。

私自身はアウトドアよりもインドア派で、休日は読書をするなどリラックスして過ごすことが多いですね。他には、今は新型コロナウイルス感染症の流行下ということもありオンラインでの開催が多いのですが、自分の勉強のためにも、講演会や勉強会などに参加するようにしています。先進の医療技術をきちんと学び、知識をアップデートしていくことも医師の大切な仕事ですから。予防や早期発見のサポートをしっかり行うためにも、現状にとどまらず、常に研鑽し続けたいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

谷口栄治院長 たにぐち脳神経外科クリニック6

脳神経外科というと、どうしても受診のハードルが高いと思われてしまいがちですが、当院へは気軽に来てもらえたらいいなと思います。頭痛やめまい、物忘れなど、何か気になることがあれば遠慮せずにお越しください。手足のしびれもそうです。しびれは整形外科を受診される方も多いのですが、実は脳卒中で起こり得る症状ということもあって、整形外科から脳神経外科に紹介されることもあるんです。「まあいいか」「何とかなるだろう」などと思って放置したままにせず、なるべく早めに専門家に診てもらうことが大事です。検査をして原因がわかれば安心にもつながりますし、早期に見つかれば対処のしようがあることもありますから。重症化を食い止めるためにも、気になる場合はまず受診してもらいたいですね。

Access