西蔭 誠二 院長、西蔭 美和 副院長の独自取材記事
西蔭メディカルクリニック
(鹿児島市/天文館通駅)
最終更新日:2021/10/12
天文館通電停から徒歩3分と通いやすい立地の「西蔭メディカルクリニック」。院長の西蔭誠二先生が血管外科と内科を担当。副院長の西蔭美和先生が形成外科と美容皮膚科を担当し、夫婦2人で診療にあたっている。2008年の開業以来、近隣のみならず離島や県外からも訪れる患者たちに向け、専門性にこだわった医療を提供している。中でも西蔭院長が積極的に取り組んでいるのが下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の治療。一方、美和副院長は女性医師ならではの視点で、皮膚や外形の悩みに向き合っている。やわらかな笑顔と、明るく穏やかな人柄が印象的な2人に、診療や患者に対する思いなどを聞いた。
(取材日2021年1月9日)
鹿児島に、気軽に通える血管外科・形成外科の医院を
お2人はなぜ、それぞれの科の医師を志したのですか?
【西蔭院長】もともと外科志望で、東京大学医学部を卒業後は東京大学医学部附属病院の第一外科に入局し、胃がんや乳がんなど、さまざまな外科疾患の手術に携わってきました。その中で、血管の病気を抱える患者さんが増えてきたこと、また、動脈硬化など欧米型の病気が今後も増えていくであろうことを肌で感じ、血管外科を志しました。
【美和副院長】形成外科は体表面の先天的な奇形や、ケガの痕などを、機能面だけでなく見た目の美しさにも配慮して治療する科です。患者さんが毎日を前向きに生活するための手助けをし、QOL(生活の質)の向上に貢献できればと形成外科を志しました。東京女子医科大学を卒業後は、東京女子医大病院の形成外科などに勤務しながら、美容皮膚科のクリニックでも経験を積みました。そこでニキビに悩む若い患者さんが、診療を続けるうちだんだんと明るさを取り戻す姿を見て、美容皮膚科の必要性も感じるようになりました。
開業したきっかけを教えてください。
【美和副院長】2人とも東京で勤務医として働いていたのですが、鹿児島の医療に貢献したいという思いから、2008年に私の地元・鹿児島へ戻り開業しました。当時は私たちの子どももまだ小さかったので、環境の良い鹿児島で子育てしたいという思いもありました。
【西蔭院長】最初は、鹿児島市の電車通りに面したビルに小さなクリニックを構え、診療を始めました。血管外科や形成外科を標榜する医療機関は、大学病院などの大きな病院が多いので、当院のようなクリニックは鹿児島ではまだ珍しかったですね。その後2016年に、現在の場所に移転しました。新しいクリニックは、患者さんが快適に過ごせるよう待合室を広くつくり、手術の後に休める回復室も設けました。診察の前に着替えてもらうことも多いので更衣室も設置し、患者さんが受診しやすい医院づくりに努めました。
扱っている疾患について、また診療の際に心がけていることを教えてください。
【西蔭院長】私は、下肢静脈瘤や動脈硬化の疾患を中心に、生活習慣病の管理や風邪の診療なども行っています。中でも力を入れているのが、脚の静脈がこぶのように膨れる「下肢静脈瘤」の治療です。診療の際は、患者さんが何に困っていて、どう治療するのが適切かを正確に見極めるため、患者さんの話をさまざまな方向からよく聞くようにしています。また納得して治療に臨んでもらえるよう、病状や治療方針をできるだけわかりやすく説明することも心がけています。
【美和副院長】私は、粉瘤や脂肪腫、ほくろなどの皮下・皮膚腫瘍の摘出手術から、傷、巻き爪の診療、ニキビケア、しみなどのエイジングに関することまで対応しています。保険診療のほか、自由診療も扱っていますので、患者さんの希望や悩みをよく聞いて、じっくり相談しながら診療方針を決めるようにしています。
下肢静脈瘤や動脈硬化の診療に注力
下肢静脈瘤とは、どんな病気で、どんな治療法があるのか詳しく教えてください。
【西蔭院長】下肢静脈瘤は、脚の静脈が膨れ上がって血管が浮き出たり、クモの巣状に血管が広がって見えたりする病気です。むくみやこむら返り、皮膚の色素沈着などの症状も見られます。多くの場合その進行は緩やかですが、残念ながら自然に治ることはありません。徐々に進行してしまうので、悪化する前の早めの処置が大切です。主な治療法は、下肢静脈瘤専用のレーザー治療器やラジオ波の治療器を用いた血管内焼灼術です。静脈瘤の原因となる血管に細い治療器具を挿入し、レーザーやラジオ波の熱で静脈の閉塞を図り、改善をめざします。手術は日帰りででき、その日のうちに帰宅できます。下肢静脈瘤は女性や立ち仕事をする人に多く見られますが、男性に生じることも珍しくありません。超音波検査ですぐ診断できますので、気になる症状がある人は放置せず、早めに受診してください。
動脈硬化の診療にも力を入れているそうですね。
【西蔭院長】当院では、動脈硬化によって脚の血液の流れが悪くなり、痛みなどを引き起こす「末梢(まっしょう)動脈疾患」の診療も行っています。しばらく歩くとふくらはぎが痛くなり、少し休むと痛みが引く、という症状を繰り返す間欠性跛行(かんけつせいはこう)が特徴の病気です。この疾患は同じく動脈硬化を原因とする心筋梗塞や脳卒中などを合併することが多いため、全身の動脈硬化症にも目を光らせておく必要があります。動脈硬化は進行すると、死に至る病気を発症することもある、とても怖い病気です。そのため当院では、動脈硬化の改善や予防をめざし、高脂血症や高血圧といった生活習慣病の管理にも力を入れています。
形成外科・美容皮膚科では、どのような症状の患者さんが多いですか?
【美和副院長】できものを取りたいという方が、家族や友人から紹介されて来院されることが多いです。爪の疾患も多く、爪の角が周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こす陥入爪(かんにゅうそう)や、巻き爪に悩まれる方も目立ちます。巻き爪は、実は処置方法があるということを知らずに、痛みを我慢している方も意外といらっしゃるんですよ。また、転んだ、彫刻刀で切ったなどの、一般的な外傷で来院するお子さんも目立ちますね。そのほか、肌トラブルでの来院も多く、ニキビに悩む方にケミカルピーリングの処置を行ったり、しみのお悩みにはレーザーを使ったケアを施したりしています。診療では患者さんが満足いく結果が実現できるよう努めていますので、患者さんが笑顔で帰っていく姿を見ると大きな喜びを感じますね。
話しやすい、相談しやすい医師でありたい
異なる専門性を持つお2人が、1つのクリニックで診療を行うメリットは?
【美和副院長】下肢静脈瘤で通院しながら一緒にしみのケアもできるなど、患者さんにとっては1度の来院でどちらの診療も受けられるのは大きな利点だと思います。足の爪が痛いと形成外科を受診したけど、実は血流が悪いのが痛みの原因だったなど血管疾患が見つかる方もいらっしゃいます。
【西蔭院長】私たち側のメリットとしては2人とも外科医師なので、1人でやりにくい処置などはお互いに手助けできたり、事例によっては相談できたりする点でしょうか。開業医って1人でやっていると、まれに判断に迷うことがあったときにも、なかなか相談する相手がいません。その点は心強いですよね。
休日はどのように過ごしていらっしゃいますか?
【西蔭院長】トライアスロンが趣味なので、自転車で走ったり、ランニングや水泳を楽しんだりしてリフレッシュしています。仕事中は座りっぱなしなので運動不足を解消しようと始めたんですが、目標を持つために大会へ出場もしています。中でも自転車で走るのがすごく気持ち良くて、1日に100kmくらい走ることもあります。
【美和副院長】私はゴルフが好きで月に3回くらいプレーしています。始めて6年ほどですが、健康にも良いですし、いい息抜きになりますね。
最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
【西蔭院長】血管外科や形成外科を標榜する医療機関は、大学病院などの大きな病院が多く、気軽に受診しづらい面もあると思います。当院では、そうした病気にお悩みの患者さんに、もっと気軽に専門的な医療を提供し、鹿児島の地域医療に貢献したいと考えています。紹介状もいりませんので、気になる症状がある方はぜひ受診してほしいです。
【美和副院長】私たちは、通ってくださる患者さんが、話しやすい、相談しやすい医師でありたいと思っています。患者さんのお話を十分にお聞きした上で、一緒に治療方針を考えていきますので、気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは巻き爪矯正/7000円〜(保険診療もあり)
ケミカルピーリング/8000円〜
しみのケア/1万5000円〜