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武田 定典 院長の独自取材記事

武田脳神経外科

(今治市/今治駅)

最終更新日:2021/10/12

武田定典院長 武田脳神経外科 main

県道38号線沿い、鳥生小学校のすぐ近くにある「武田脳神経外科」は、愛媛大学大学院を修了後、松山の貞本病院を経て、済生会今治病院で長らく勤務医を務めた武田定典院長が2009年に開業。専門の脳神経外科だけでなく、内科的診療にも携わっているクリニックだ。今治に住んで約30年、大阪出身の明るく快活な武田院長は、地域住民のかかりつけ医として親しまれている。大学の準硬式野球のOB会会長を務め、四国内の大学の交流を活発に行ったり、休日にはフットサルやゴルフを楽しんだりしているという武田院長に、高齢化が進む今治の地域医療について語ってもらった。

(取材日2020年6月3日)

今治に根づき30年、神経疾患も扱える町の医師

医療の道をめざしたきっかけと、脳神経外科を専門にされた理由は?

武田定典院長 武田脳神経外科1

高校時代は哲学に興味があったのですが、父親が理系の人で「文系はだめだ」と(笑)。それで、人の生き方に関わる、という意味では医学かなと思って進路を決めました。母親は「自分がやりたいとことを何でもやりなさい」という人だったので、背中を押された感じです。外科系を選んだ理由は、周りのスタッフの協力はもちろん必要ですが、自分一人でも完結できて、研鑽を積んでいくことで切り開いていける分野かなと思ったから。私が学生の頃は、くも膜下出血の患者さんは待機手術をするような時代でしたが、ちょうど顕微鏡が導入され始めて急性期手術にも対応できるようになってきた変革期でした。意識もなく運ばれてきた方が元気に退院していく姿を見れるってすごいことだと思い、せっかく医者になったのだからと、最終的に脳神経外科を選びました。

患者さんはどのような方が多いですか?

地域柄もあって、認知症の方などご高齢の方が多いです。勤務医時代は脳疾患を診るだけでなく、脊椎の手術をするなど、神経内科も含め診療していました。開業してからもその経験を生かし、幅広い診療をしていますので、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が持病の方も多くいらっしゃいます。パーキンソン病やてんかんの患者さんで、遠方からお越しいただいている方もいます。また、脳疾患で急性期病院を退院した方が、術後の管理で通院されている場合もあります。それから、通院中の方が「風邪をひいたから診てください」と来院されることもよくありますよ。ただ、新型コロナウイルス感染症のことがあってからは発熱患者さんの対応には細心の注意を払い、クラスターが発生しないように気をつけています。

日々の診療で気をつけていることはありますか?

武田定典院長 武田脳神経外科2

診断の際、見落としをしないように心がけています。主訴や既往歴だけでなく、家族構成なども根掘り葉掘り聞くようにしていますよ。例えば主婦の方には「定年退職したご主人と2人だけで暮らしているの?」とか、「子どもさんがまだ小さいの?」とかね。生活背景によっては、ストレスが体調不良に大きく影響していることもあるんです。原因を突き止めるため、患者さんの情報を聞き取り、しっかり穴埋めをして、必要に応じMRI・CT検査、血液検査を行って迅速に結果を出し、患者さんに結果をわかりやすく説明するように努めています。体調不良の原因がわからない方、診断がついていない方をきちんと診断できたときは、医師としてやりがいを感じますよ。

認知症の治療の可能性が広がったことを知ってほしい

どのような症状が現れたら、認知症を疑うべきでしょうか?

武田定典院長 武田脳神経外科3

まずは親御さんの状況を普段から把握しておくことが大切です。日常の様子をちゃんと見て、よく話をすることを心がけていれば、今までと違う行動や言動をするようになると気づきますよね。同居されていない場合は、訪ねて行ったときに部屋が片づいているかどうか、同じようなものがたくさんあるかどうかなどがポイントです。認知症になると、物を捨てられない、元にあった場所に物を戻せないなど、片づけられなくなることが多いんです。そして買い物に行くと、同じものばかり買ってしまうことがあります。また、一緒に食事に出かけたとき、今までなら自分が好きな料理を注文していたのに、選べなくて「あなたと同じものでいい」と言うようになるなど、頼られることが多くなったという変化があるようなら、受診してみるべきですね。

少しでも疑わしい場合は早めに受診したほうがいいのでしょうか?

そうです。認知症の症状があっても、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、貧血や内科系疾患から症状が出ていることもあり、それらは早く診断をつけて治療に取り組むことで、認知症特有の症状を抑えられる可能性も高くなるんです。アルツハイマー型や前頭側頭型など、残念ながら徐々に症状が進行していく認知症に関しては、今のところ治癒は難しいですが、進行を遅らせていく薬はあります。私自身も、ずっと通院されている患者さんの様子がおかしいと思ったら、物覚えのテストをしてみるなど、気をつけるようにしています。私が気づく前にスタッフが先に気づいてくれるケースもあるんです。脳疾患の患者さんは急にけいれん発作を起こすこともあるので、待合室での患者さんの様子を何げなくチェックしてくれているんですよ。そのこまやかな配慮が、早期の異変発見につながることも多いようです。

認知症の中でも治療が可能なものがあるとは、あまり知られていないですよね。

武田定典院長 武田脳神経外科4

その鑑別が重要で、症状の改善あるいは進行抑制のためには、早めの対策が必須なんです。特徴が多岐にわたる認知症の診断はとても難しく、患者さん本人とご家族からのヒアリングをもとに、一つ一つパズルを埋めていくようなものです。両者の話が食い違うことも多いですしね。ご家族は何とか良くなってもらいたいという思いを持っておられるので、治る認知症は見逃さないようにしなければならないんです。認知症は、とにかくご家族が一番大変なんですよ。ホームヘルパーさんは病気を理解しているし、いろんな症例を見て経験もしているので、適切な対応ができるけれど、多くのご家族は初めての経験ですからね。しっかりしていた親御さんが別人のようになっていくことを、受け入れることができない方もいらっしゃるんです。だからこそ、疑わしいときは早めに受診してもらいたいと思っています。

地域医療を支えていく、かかりつけ医

どんな症状の場合に脳神経外科を受診すればいいですか?

武田定典院長 武田脳神経外科5

頭が痛い、手足がしびれる・動きにくい、めまいがする、物忘れが多いなどの症状が続く場合は受診をお勧めします。コレステロール値が高いと大きな血管を傷め、糖尿病は細かい血管を傷める原因になります。高血圧なら、どちらの血管も傷めてしまいます。脳出血や脳梗塞などの脳疾患は、生活習慣病がベースになっているケースも多いんです。だから、「頭が心配で」と来られた患者さんでも、既往歴や家族構成など細かく聞き取りをして、必要に応じてさまざまな検査をするようにしています。後々起こってしまうかも知れない脳血管障害を予防するためにも、血圧やコレステロール値が高い方には薬を処方して、内科的治療をするようにしています。

慢性的な頭痛に悩んでいる場合はどうですか?

慢性頭痛に悩んでいる若い方も、割と多いです。偏頭痛を訴えるのは高校生ぐらいからですが、市販薬で対処できるのは、偏頭痛ではなく、肩凝りなどから来る緊張型や筋収縮性頭痛なんです。また、小学生で頭痛が続くようなケースだと、親御さんも心配だと思います。まれなケースですが、もやもや病や脳動静脈奇形が見つかることもあるので、頭のチェックは一度きちんとしたほうがいいかも知れません。器質的なものが脳にないかどうかちゃんと調べて何もなければ、安心できますよね。

今後の展望についてお聞かせください。

武田定典院長 武田脳神経外科6

これからは、特に地方は、住み替えなど暮らし方の移行が必要になってくる時代だと思います。少子高齢化が進む中で、だんだんとへき地まで、行政サービスや医療が十分に行きわたるかどうかという懸念があると思います。街中の空き家もうまく活用して、いろんな機関が協力していくことが必要だと思っています。当院にはMRIやCTがあり、即座にさまざまな検査ができますし、私自身は患者さんとじっくり関わり「診断する」ことを極めていきたいです。通院が困難な方の訪問診療も開業当時はしていましたが、現在は提携しているクリニックの先生にお願いしています。それぞれの役割を果たすため、専門分野の方と協働していくことで、自分の役割を全うしたいと思っています。

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