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多田 聡 院長の独自取材記事

くるみ歯科医院

(松江市/松江駅)

最終更新日:2021/10/12

多田聡院長 くるみ歯科医院 main

松江市の楽山公園の近く、朝酌川沿いに「くるみ歯科医院」が開業したのは2008年のこと。院名は「患者もスタッフも含めた『来る人みんな』が幸せになるクリニックでありたい」という院長の多田聡先生の思いからだ。同院では痛みのある歯だけを治療するのではなく、口腔内全体を見渡して根本の原因にアプローチし、患者が健康的な生活を送れるようトータルでサポートする。できる限り歯を残すことを基本に、歯周病治療に力を注ぐ。また子どもの口呼吸に対して歯科の観点からアプローチし、講演などの啓発活動にも積極的だ。日々患者と真摯に向き合う多田先生に、ベースになった勤務医時代の経験やスタッフへの思いなどを聞いた。

(取材日2021年4月22日)

歯を残し、トータル的な治療で患者の健康に寄与する

クリニックの特色をお聞かせください。

多田聡院長 くるみ歯科医院1

当院はお口を全身の中の一つの器官として捉え、お口の中全体を診て根本の原因にアプローチし、できる限り歯を残していく診療に取り組んでいます。痛いところだけを治療して終わり、というわけではないので、治療が完了するまでにはお時間をいただきますが、決してこちらの考えを押しつけるのではなく、患者さんとよくお話をして、お悩みやご希望を伺って患者さんの目線で考えることをスタッフ一同心がけています。診療では歯周病治療に力を入れ、歯科医師だけでなく歯科衛生士や受付スタッフも一丸となって目標を共有し、チームを組んで患者さんをサポートします。また医科とも連携して、お子さんの鼻呼吸をめざした治療にも力を入れています。

局所的ではなく、全体を診る歯科治療をされるようになったきっかけは何ですか?

谷口威夫先生という歯周病治療で知られる先生がいらっしゃるのですが、歯学部の学生時代に谷口先生の本と出会って感銘を受け、卒業後に長野県にある先生のクリニックに勤務させていただきました。谷口先生は「トータルから口を診る」という信念のもと、歯を治すだけでなく全体的な治療をして、「患者さんのお子さんやお孫さんにも誇れる歯科治療」を唱えている方で、治療技術やチームによる医療、精神的なことなど、先生から多くのことを学びました。谷口先生から歯科治療は単に口を診るだけではないと教わり、そこから歯並びや噛み合わせ、睡眠時無呼吸症候群にも関連がある子どもの口呼吸の問題に取り組むようになりました。口呼吸では「地域のお子さんの健全な発達の力になりたい」という思いで診療しています。

歯を残すための治療について詳しく教えてください。

多田聡院長 くるみ歯科医院2

歯を多く残すためには歯周病治療がとても大切。どれだけ良いかぶせ物をしても、土台が悪ければまた再発してしまうからです。当院ではどの治療を行うにしても、まず歯科衛生士とともに歯周病治療を行います。その後、歯科用顕微鏡を使用して歯の根もとの部分までを精密にチェックした上で、う蝕(虫歯)や根管(根の中)などを治療していきます。根を治療することで歯周病の改善につながることがありますし、これまで原因がわからなかったものが、顕微鏡を使うことでわかることもあるからです。原因がわかっても歯が残せない場合は、理由はもちろん、治療やケアの説明も丁寧に行い「他の歯を一本でも多く残しましょう」とお話しします。インプラント治療もその方法の一つで、失った歯の代わりとして入れ歯やブリッジもありますが、インプラントは前者と比べて他の歯にかける負担が軽く済み、残った歯の寿命の延伸にもつながると考えています。

歯科の観点から口呼吸へアプローチ

なぜ口呼吸より鼻呼吸が良いのでしょうか?

多田聡院長 くるみ歯科医院3

子どもの時点で鼻呼吸をできるようにしておくことで、歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性を減らすことも期待できます。訓練は小学校低学年頃に始めると良いですが、中学生でも上顎にアプローチすることで鼻呼吸がしやすくなると考えられます。鼻で呼吸するようになることで、ひいては口臭、いびき、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー症状の改善が見込めることも。アレルギー症状の改善が見込める理由は、鼻が異物をブロックしてくれるためです。人間は本来、鼻で呼吸する生き物です。鼻にはフィルター機能があり、ほこりや細菌、ウイルスが体内に侵入するのを防いでくれますが、口で呼吸すると異物が体内に入りやすくなってしまうのです。アレルギーに限らず、すべての原因が口呼吸にあるとは言いませんが、悪化させる因子になっていると言ってよいでしょう。

鼻呼吸の訓練はどのように行いますか?

私たちは2つの「そくいく」を行っています。まず呼吸の訓練をする「息育」。矯正治療で歯並びからアプローチすることもありますが、そうでない場合は「あいうべ体操」を指導しています。これは「あいうべ」の4文字を毎日30回言う訓練。いろいろな訓練がありますが、お子さんが自宅で毎日するとなると簡単でないと続きませんから、シンプルで取り組みやすい方法をとっています。他に舌の機能訓練や唾液を飲み込む訓練をしますが、その時に重要なのが姿勢です。たいていの場合口呼吸のお子さんは姿勢が悪く、猫背が多いです。姿勢を良くするための訓練が「足育」で、当院ではアクティビティールームを備え、そこで体幹を鍛える訓練を行っています。

口呼吸の子どもが増えているといわれているので、鼻呼吸の重要性を広く知ってもらいたいですね。

多田聡院長 くるみ歯科医院4

幸いにも講演の引き合いがあり、啓発活動も積極的に行っています。また、現在の松江市歯科医師会の会長は「子どもから高齢者まで健康的な生活を送れるように歯科からアプローチしていこう」とのお考えで、私もこの度、副会長として子どもの分野を担当させていただけることに。歯科クリニックの中だけでできることは限られていますが、講演を通じて他の歯科医師たちと考えを共有できますし、医師や看護師などの医療関係者、学校関係者などの歯科以外の分野の人たちに知ってもらい、つながりを持つ機会になっています。

歯を大切に残していきたい人のためのクリニック

設備や機器のこだわりを教えてください。

多田聡院長 くるみ歯科医院5

開業当初から消毒・滅菌に力を入れてきましたが、新型コロナウイルスの問題もあってさらに強化し、各ユニットに換気システムを設置しました。またお金の授受によるスタッフの感染リスクをなくすために、自動精算機も導入しています。機器面では子どもの気道の検査ができるCTを今年3月に導入。そのCTと連動する歯科用CAD/CAMシステムによるセラミック治療も行っています。これはセラミックのかぶせ物などを3Dプリンターのように製作できるシステムで、当日の滞在時間は増えますが1日で治療を終えることができ、仮歯の不快感や細菌に再感染するリスクを減らせます。虫歯が再発し、治療を繰り返していくことで歯を失いやすくなりますから、このセラミック治療も歯を残すことへとつながっています。

スタッフとはどのように意識を共有されていますか?

当院は歯科医師の私以外に、2人育休中となっていますが歯科衛生士は7人、受付スタッフが2人おり、いずれも長く勤めている技術のある方たちです。意識や情報の共有では、毎週1時間半ほど時間を使って院内勉強会を開いています。幸いなことに、スタッフは同じ考えを持った人たちが集まってくれて、中には、私が非常勤講師をしている歯科衛生士の専門学校から入職してくれたスタッフも。妻も当院の歯科衛生士ですが、もともと長野の谷口先生のクリニックに勤めていたので私の思いをよく理解していて、後輩の指導にあたってくれます。妻がいなかったら、このクリニックはなかったでしょうね。クリニックは歯科医師がいなければ存在しませんが、同じ思いを持ったスタッフがいなければ成り立ちません。チームとしてそれぞれが同じ思いで患者さんに向き合い、治療に取り組んでいます。

読者へメッセージをお願いします。

多田聡院長 くるみ歯科医院6

当院は全体を診て、根本から治す歯科治療を行っているので、治療のペースはゆったりしています。「痛いところだけ治ればいい」という方には合わないかもしれません。ただ「全部の歯を大切にしたい」という思いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。すべての患者さんに歯周病の説明をしますが、私たちの思いを聞いて、患者さんの意識や考え方が変化してくれればうれしいです。院名の「くるみ」とは「来る人みんな」からつけています。「来る人みんな」とは患者さんはもちろん、スタッフも含みます。自分がしたい医療ばかりをするのではなくて、「来る人みんな」のことをしっかりと考え、みんなが幸せになるクリニックでありたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

セラミックの補綴物/7万円~、インプラント治療/30万円~

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