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酒向 誠 院長の独自取材記事

酒向歯科口腔外科クリニック

(大田区/西馬込駅)

最終更新日:2025/02/26

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック main

西馬込駅から徒歩10分の「酒向歯科口腔外科クリニック」。院長の酒向誠(さこう・まこと)先生は、名古屋第一赤十字病院や聖路加国際病院などの総合病院の口腔外科でさまざまな症例、手術を経験してきたベテラン歯科医師。現在も口腔がんの早期発見など、口腔外科領域を含め幅広く診療している。一つ一つの言葉に真摯さが感じられる実直な人柄で、患者に慕われている酒向院長に、診療にかける思いや、口腔がんの啓発についてたっぷりと聞かせてもらった。

(取材日2024年9月24日)

目・耳・心をフル活用するきめ細かな診療

こちらはどのようなクリニックなのでしょうか。

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック1

生まれ育ったエリアで皆さまのお役に立てればと19年前に開業しました。今では親子3代にわたる長いお付き合いの患者さんもずいぶん増えました。ほとんどは近隣にお住まいで、年齢層は幼稚園児からご高齢の方まで幅広いですね。虫歯や歯周病の治療、メンテナンスが大半を占めていますが、私の専門が口腔外科ということもあり、「なかなか口内炎が治らないのですが」と口腔がんを心配して来る方もいます。早期発見してすぐに大学病院を紹介、早期治療につなげます。また、周囲に保育園や幼稚園が多く、転んで口の中をけがしたということも割と多く、緊急の対応が必要と判断すれば予約の合間を縫って対応しています。予約をお取りいただいた方には時間がずれ込んでしまうこともあるのですが、待合室まで出向き、お越しいただいている患者さんに直接状況の説明をして、お待ちいただく了解を得ています。快くお待ちいただいているのはありがたく思っています。

患者さんと接する時、何を大切にしていますか?

まず、患者さんが入ってきた瞬間から診察は始まっていると考えています。体の動かし方がおかしくないか、痛そうなところはないか注意して見るようにしていますね。私が治療するユニット以外の2台は、歯科衛生士のメンテナンスで使用しているのですが、そちらにいらっしゃった方もどこか異変がないか確認するようにしています。患者さんが「痛いところがあって」と、衛生士に訴えられているのを小耳に挟んだら、治療の合間にすぐにチェックします。また、親知らずの抜歯、できものの切除などの手術をした後には、会計時に顔を出して体調に変化がないか念のため確認しています。麻酔後、だんだん具合が悪くなる場合もあり、そのままお返しすることになっては危ないですからね。

一口腔単位での治療も大事にしているとか。

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック2

虫歯があったとき、痛みや腫れなど症状が出ていないからといって放置してはいけません。虫歯は自然に治ることはなく、いずれ神経に達して痛みなど問題が起きたり、抜歯につながるリスクがあるからです。しかし、エックス線画像やデンタルミラーを使いながら「ここに虫歯があります」といわれただけでは、患者さんからするとわかりにくいですよね。当院では、1本の歯を治療するプロセスを、たくさんの口腔内写真を撮影してお見せしながら説明するようにしています。一番悪化している歯をまずは治療し、その治療前と治療後の経過を見てもらうことで、ほかの歯も治療しようと考えていただければ良いなと思っています。その後は、お口全体でどれくらい治療が進んでいるのか全体像をお伝えしていきます。すべてをクリアした瞬間の達成感を味わってもらえれば、その後健康な状態を維持するために通う定期検診のモチベーションも高まると思うのです。

救急で培った命に向かう真摯な姿勢を今も大切に

歯科医師を志したきっかけをお聞かせいただけますか?

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック3

父がここから車で10分ほどの南馬込で耳鼻咽喉科のクリニックを開業していて、地域の方々のために働く姿が常に身近にありました。その姿を見て医療の道を志しました。開業する場所を選ぶときには、駅前の商業施設のテナントを考えたこともありましたが、父からの「地に足をつけて頑張りなさい」という教えと、地域医療に励む姿を見てきたこともあって、この地に開業しました。

唇顎口蓋裂の治療にも精通されているそうですね。

大学院で師事した教授が、その道の第一人者的存在だったのがきっかけで、現在も続くライフワークになっています。唇顎口蓋裂は日本人に多い先天異常ともいわれ、500人に1人の割合で出現する疾患です。一見、口蓋に裂け目がないようでも粘膜下の筋肉に断裂が起きていることもあり、手術も含め専門的な知識が必要になります。現在は手術そのものを担当することはもうありませんが、哺乳と口腔内管理を担当し、現在も東京女子医科大学で週に1度診療にあたっています。

大学院を出た後について教えてください。

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック4

大学院修了後に、まずは名古屋第一赤十字病院に勤務し、口腔がん治療のエキスパートである先生のもとで過ごしました。難症例の患者が全国から送られてくるため、この時期にさまざまな症例を経験し、現在は形成外科が行っている顔面再建まで学べたのは何ものにも代え難いと思っています。

その後、聖路加国際病院の口腔外科立ち上げに関わったとか。

そうですね。日野原重明先生が救急部を創設するにあたり、合わせて口腔外科も欠かせないとお考えになったんです。発足当初は、他の医科との間に壁を感じることもありましたが、だからこそ口の中の様子から全身の病気が疑われる場合はすぐに連絡し、接点を持つようにしていました。実際、血液内科の病気が見つかって緊急入院となったようなケースもありました。耳鼻咽喉科とも、ある難治性疾患に苦しむ患者さんのために連携したことをきっかけに信頼されるように。医科と歯科の違いこそあれど、いうまでもなく全員が「すべての命を救う」という並々ならぬ使命感で結ばれていたと思います。

ブラキシズムの治療や口腔がんの早期発見にも意欲

今後の展望についてお聞かせください。

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック5

まずは口腔がんの早期発見と啓発活動、次にブラキシズムの発見と啓発活動に力を入れていきたいです。ブラキシズムとは歯ぎしりや食いしばりなどの口腔内の悪習慣で、今後、社会現象化していくと予測しています。1本の歯に100〜150kgの力が歯に加わり、そのままにしていては歯根破折のリスクもあります。また、ピンポイントで特定の部位のみ歯周病が進行しているという場合も、ブラキシズムによる炎症が原因かもしれません。その他、原因不明の顎関節症や、歯以外でも頭痛や肩凝り、眼精疲労などがあったら、一度お話を聞かせていただければと思います。当院では就寝時にマウスピースを装着して歯ぎしり、食いしばりを防ぐ治療を行っています。当院のマウスピースはすべて手作りです。学生時代は補綴科に誘われるなど、もともと細かい手先の作業が好きなんです。院内ですぐに微調整できるのも患者さんにとって便利だと思います。

お忙しい毎日ですが休日はどうお過ごしですか?

以前は休みのたびに全国を飛び回り、医科も含めてさまざまなセミナーや勉強会に参加していました。今はオンラインセミナーも普及したので、診療後に参加できるようになって便利です。医療の世界は日進月歩。どんな患者さんが来ても対応できるように知識をアップデートしたいと思っています。代わりに空いた休日は、山登りに出かけています。富士山を間近に望む丹沢山系に登るのが好きですね。日々の診療に耐えられるように、ウエートトレーニングや山登りを欠かさないようにしています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

酒向誠院長 酒向歯科口腔外科クリニック6

名古屋第一赤十字病院、東京女子医科大学病院、聖路加国際病院では、重い口腔がんで苦しむ患者さんをたくさん診てきました。だからこそ、現在も口腔がんの早期発見・早期治療への気持ちは強いです。口腔がんの識別は、すべての歯科医師が当たり前にできることではありません。口腔外科の開業医は、この20年ほどでずいぶん増えましたが、まだ少数派。その知見を、口腔外科が専門ではない先生方にもお伝えし、口腔がんを見つけることのできる歯科医師を増やすお手伝いができればと考えています。口腔がんは若くても罹患リスクがあり、もし2週間たっても治らない口内炎があるようであれば、一度受診をお勧めします。

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