古市 卓也 院長の独自取材記事
医療法人白輝会 ふるいち歯科クリニック
(北九州市若松区/若松駅)
最終更新日:2022/10/17
若松駅から徒歩で2分の場所にある「ふるいち歯科クリニック」。1996年の開業以来、地域に根差したクリニックとして親しまれている。2015年には患者がより通いやすいよう院内を改装し、バリアフリー化した。「よく歯科医師らしくないって言われます」とにこやかに語るのは、院長の古市卓也先生。歯科診療に並々ならぬ熱意を燃やし、新たな試みにも果敢にチャレンジするバイタリティーの持ち主だ。会話を重視した総合的な歯科治療で、地域住民の口腔内の健康づくりに貢献している。そんな古市院長のもとには、他院からの紹介やクチコミで訪れる患者が後を断たない。「町のかかりつけ医としてなんでも相談できるクリニックでありたいですね」とほほ笑む古市院長に、歯科診療にかける思いを聞いた。
(取材日2022年4月14日)
これまで得た学びと経験を地域に還元したい
近年、クリニックをリニューアルされたそうですね。
当院は今年で開業して27年です。以前はクリニックを受診してくださる患者さんの憩いの場にしたいという思いから、診療室よりも待合室を広く確保していました。周りからは「逆じゃないの」と言われましたが。居心地が良いせいか、患者さんがなかなか帰らないです(笑)。さすがに手狭になってきたので、2015年に増築・改装を行いました。診療スペースを広げ、治療と予防ケアのエリアを分けています。高度な歯科医療が提供できるよう、空気の流れが遮断されたオペ室も設置しました。診察室は2階にあるのですが、開業当初から通ってくださる方も多く、皆さん高齢になって足腰が弱ってきています。そこでエレベーターを完備してバリアフリー設計にし、車いすやベビーカーでも通いやすい環境を整えました。
先生が歯科医師を志した理由を教えてください。
昔から人のためになることがしたかったんです。この仕事は、自分自身が一生懸命働けば、誰も傷つけることはない。手を動かせば動かすほど、そこに価値が生まれて、笑顔になる人が増える。そんな職業は滅多にないと考えて、歯科医師の道に進むことを決意しました。父は普通の会社員で学費の面で負担をかけられなかったのですが、幸いなことに国立大学に合格したので、卒業までアルバイトで学んでいくことができました。以前、歯科医師1人を育てるのに1億円かかると聞いたことがあります。つまり、僕は社会からすでに1億円をいただいているということ。その恩恵を皆さんに還元することが、歯科医師としての務めだと思っています。
診療方針についてお聞かせください。
なんでも幅広く対応できる「町の歯科医院」をめざしています。患者さんの気持ちに寄り添い、ニーズに応じた治療を提供するのが一番の目標です。そのためには、一般的な治療はもちろん、歯並びの矯正から、マイクロスコープを用いた精密な治療、CAD/CAMシステムを用いた治療、インプラント治療、親知らずの抜歯、歯周病の方に行う歯周組織再生療法、そして予防歯科まで、多種多様な治療の引き出しを用意しなくてはならない。新しい技術や知識に常にアンテナを張りながら、周りの先生たちとのネットワークを築き、少しでも患者さんに還元できるよう努めています。ただ、僕はスーパードクターではありません。最高レベルの治療を求められている方には、今まで培ってきた人脈を生かして信頼できる先生をご紹介します。それがかかりつけ医としての使命です。
子どもは泣いて強くなる
開業当初から予防に力を入れているそうですね。
歯科学生の頃、ほかの学部の友人から「歯科医師になるのはやめておけ」と言われたことがあります。なぜかと聞いたら「痛いことされて、我慢しろと言われて、高いお金まで取られてろくなものじゃない」と。それがなかなか的を射た意見だと思いましてね。痛みや費用を抑えるためにはどうしたらいいのかと思案を巡らせた結果、「悪くなる前に予防する」という考え方に行き着いたんです。開業当時は予防歯科の概念が確立されておらず、歯科衛生士が実力を発揮できない時代でした。そこで、彼女たちが仕事を全うできる環境を整えることを目標に掲げたんです。今や歯科衛生士はクリニックに欠かせない存在です。患者さんの性格も背景もどんなふうに声かけをしたらいいのかも全部わかっていて頼もしいですね。信頼関係を築きながら、お一人お一人に合った予防ケアを提案しています。
子どもの治療についてもユニークなお考えをお持ちだとか。
保護者の多くは、子どもが泣かないで治療を受けてくれるだろうかと心配されています。当院はまったく逆の考えで、大いに泣いてもらって結構です。そのため小児スペースは防音設計にしています。治療中に泣き声が聞こえるのは、呼吸路が確保されていて誤嚥を起こしていない状態、つまり安全が確保できている証と考えています。お子さんが治療を嫌がって泣いてもかまわない。それを「怖くないよ、痛くないよ」となだめることはありません。治療の際にはうそをつかず、約束を守ることを心がけています。「怖いよ、痛いことするよ。だけど10秒だけ頑張ろう」と言って、10秒でピタッと治療を止めると子どもたちも信頼してくれます。大事なのは泣かせないことではなく、泣いたけど頑張ったね、偉かったね、強かったねと褒めてあげること。子どもの成長を信じていれば自律できるようになり、最終的には子どもの自己肯定感を育み、自分の足で通えるようになります。
大人の患者さんに対してはいかがですか?
来てくださった患者さんに誠意を尽くすことを心がけています。そうすれば「あの先生は一生懸命やってくれる」「信用できる」と言ってもらえるようになる。そこに僕の価値があると思っています。いつも自分に課しているルールがあって、正確に伝えること、質問にきちんと答えること、できるだけ保険診療を利用することの3つを掲げています。歯科医療はあくまでも生活を充実させるためにあり、それが大きな負担となってしまうのは本末転倒です。患者さんの希望を大切にし、無理のない治療を提案しています。
みんなが笑顔になれるクリニックをめざして
小児の咬合育成にも注力されていますね。どんなことをするのですか?
子どもたちが持っている成長力を利用して正しい噛み合わせや歯並びを誘導することを咬合育成といいます。そもそもなぜ歯並びが悪くなるかというと、歯が生えるスペースが足りないからです。顎の骨をプランター、歯をお花に例えてみましょう。せっかく花の種を植えても、プランターが小さければぐちゃぐちゃに生えてしまいます。花をきれいに並べるために、プランターを大きくするのが咬合育成。間引きするのが抜歯矯正。口呼吸や異常な飲み込みは、歯並び悪化の根本原因です。咬合育成では、独自の装置を使って鼻呼吸や正しい嚥下法を訓練し、口腔周辺の筋肉を整えることで、正常な顎の成長を促していきます。開業以来のノウハウには自信があります。ただし、年齢制限がありますので、お母さんが早めに気づいて対処してあげることが重要です。
スタッフの方についても教えてください。
衛生士やアシスタントにしかできない仕事があり、それこそが予防歯科の要です。患者さんとのコミュニケーションもうまくとってくれていますね。歯科医師より偉い(笑)。年齢層は20代から50代までさまざま。結婚、出産、育児など、ライフステージが変わっても働き続けられる環境を整えています。自分が大切にされていないと、他人にも優しく接することは難しいでしょう。スタッフを笑顔にすることが、患者さんを笑顔にすることにつながると考えています。心地良く過ごしてもらえるよう、スタッフルームはかなり広めに取りました。コンピューターも何台か設置しているので、スキルアップのために勉強することも可能です。自分の仕事に誇りを持ち、やりがいと喜びを持って働いてもらえるようにチームづくりをしています。
読者へのメッセージをお願いします。
当院に来院された方には、必ず「お口の中をどんなふうにしたいですか」「あなたの欲しい結果は何ですか」とお伺いしています。理想に近づけるための方法をお伝えしますので、それに賛同していただける方、明確な目標をお持ちの方は大歓迎いたします。もしどうしたらいいのかわからないのであれば、一緒に考えていきましょう。お教えできることはたくさんあります。疑問や不安に思うことがあったらどんどん聞いてください。例え話の上手な歯科医師が、聞かれたことに対して徹底的にお答えします。ご来院いただくときっと面白い体験ができると思いますよ。どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは全顎矯正/44万円~
小児矯正(咬合育成)/2万7500円~
インプラント治療/36万3000円~
CAD/CAMシステムを用いた治療(当日修復)/4万8400円~
メタルボンドクラウン/9万750円~
ホワイトニング/6000円~
※症例によって金額は変動します。詳細はクリニックまでお問い合わせください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。