久保 秀郎 院長の独自取材記事
久保デンタルクリニック
(福岡市西区/姪浜駅)
最終更新日:2022/04/27

JR姪浜駅南口から徒歩6分。福岡市のベッドタウンとして発展してきた西区内浜に「久保デンタルクリニック」はある。院長の久保秀郎(くぼ・しゅうろう)先生は、日本口腔外科学会の口腔外科専門医の資格を持ったベテラン歯科医師。1996年の開業以来、一般的な歯科診療から矯正歯科、歯科口腔外科、小児歯科まで幅広い治療を行い、地域医療に貢献してきた。口の中のわずかな病変も見逃さないことに努めており、重大な疾患を発見したケースもある。患者の意思をできるだけ尊重し、治療に入る前にしっかり説明をすることを心がけている。「自分が受けたい治療を患者さんに提供したい」と穏やかな語り口で話す久保院長に歯科医療にかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2020年9月11日/更新日2022年4月22日)
患者の意思を尊重した診療をめざして
先生のご経歴と、開業までの経緯について教えてください。

九州大学歯学部を卒業後、12年ほど大学の口腔外科に残り、外傷から炎症、口腔内の腫瘍まで、さまざまな治療を手がけてきました。それからドイツのハノーバー医科大学で3ヵ月ほど学んだ後に、周船寺のきし哲也歯科医院での勤務を経て、この地にクリニックを開業して今日に至ります。開業場所の条件として掲げたのが、なるべく駅から近いこと。ここは姪浜駅から歩いて5、6分ですし、ウエストコート姪浜という大きな駐車場のある商業施設の一角で、買い物ついでに患者さんが来れるという立地も、自分にとっては大きなメリットでした。裏通りにあるビルの2階に入っているので、初めはわかりにくいかもしれませんが、一度来てもらえば地下鉄でも車でも通いやすいと思います。
どんな患者さんが多くいらっしゃいますか?
おかげさまで、幅広い年齢層の患者さんに来ていただいています。大きな偏りはありませんが、どちらかというと、50代から70代の方の割合が多いかもしれません。開業から25年、患者さんと一緒に年を重ねてきたところがあります。現在、当院のカルテ番号は1万2000番台なのですが、カルテ番号1番の方はいまだに通ってくださっています。主訴としては「しみる 、痛い、腫れた」といった症状が多い印象です。メンテナンスに通ってくださる患者さんもたくさんいらっしゃいます。口腔外科の診療も行っているので、親知らずの抜歯に来られる若い世代も多いです。また、九州大学の外国人留学生の宿舎が小戸にあり、外国人の方もよくおみえになります。
診療にあたって重視していることを教えてください。

患者さんの意思を尊重した治療を行うことを大切にしています。例えば、歯が1本抜けた場合、いくつかの治療法があります。両側の歯を削ってブリッジを入れるという選択肢もあれば、そのブリッジを保険治療にするか自由診療にするかの選択肢もある。1本だけの入れ歯を作ってもいいわけだし、インプラントにしてもいい。あるいは条件さえ許せば、役に立たない親知らずの歯をそこに移植したっていいわけです。このようにたくさんの選択肢がある中で、歯科医師が一方的に「インプラントじゃないとだめ」と言うのは、僕としては自分のポリシーに反します。僕らの役目は、患者さんにより多くの選択肢を提示して、患者さんの選んだ治療に全力を尽くすこと。歯科の治療法はどんどん新しいものが出てきているので、常に新しいものを学ぶ姿勢が必要ですが、それと同時に「正しく疑う目」を持ち、確かなものだけを取り入れたいと思っています。
歯科治療で大切なのは、安心感と納得感
痛みの少ない治療を大切にされているそうですね。

当院では、エルビウムヤグレーザーとCO2レーザーの2種類のレーザー治療器を導入しています。エルビウムヤグレーザーは虫歯治療を得意とするレーザーです。レーザー光線を当てると、歯を削らずに虫歯の部分を取っていくことができます。一方、CO2レーザーは歯肉や周囲組織の切開や蒸散、口内炎などの粘膜疾患の治療などに使います。歯周病などで歯茎が炎症を起こして腫れている場合、従来ではメスで歯茎を切って膿を出していました。それに比べると切られている感が少ないし、出血も痛みも少ない。非接触で治療できるのもメリットの一つです。また、麻酔時の痛みを少なくするために、麻酔前に表面麻酔をする、なるべく細い針を使う、麻酔薬を人肌に温めてから使用するなどの工夫をしています。どれも基本的なことですが、基本に忠実に丁寧な治療を行うことを大切にしています。
感染症予防も徹底されていると伺いました。
院内の感染防止のため、人が触ったところは拭き取り消毒を徹底。患者さんにはうがい薬を使ってうがいをしてもらっています。ただし、ヨードアレルギーのある方には用いません。スタッフは全員検温を行い、治療の際には、マスク、ゴム手袋、フェイスガード、防塵グラスを着用して診療にあたります。また、治療の際に粉塵が飛び散らないよう、口腔外バキュームを使用するのも忘れません。切削器具は1回使ったら、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)もしくはガス滅菌器で滅菌処理をすることを徹底。アルコールで拭くだけでは感染症対策としては不十分ですから。滅菌は時間とお金と手間がかかることですが、当院では患者さんの安全を守ることを何よりも優先しています。
患者さんに接する際に心がけていることはありますか?

患者さんにしっかり説明し、納得していただいてから治療に入ることを心がけています。そのためには、ご自身の口の中の状態を目で見てもらうことが大切だと思います。開業したての頃は、患者さんに手鏡を渡して口の中を見てもらっていたのですが、今にして思えば、奥歯や歯の裏側などは手鏡に映してもよくわからないですよね。現在は口腔内カメラで撮影した画像やエックス線写真をモニターに映し出し、視覚化して説明しています。そのほうがわかりやすいし、より納得していただけるのではないでしょうか。歯の構造を理解してもらうために、歯の模型を使うこともあります。歯科医師をしていると「いつの間にか抜かれた」「痛くないのに削られた」という話をよく耳にします。そのような事態にならないように、これからやることを事前にきちんとお話ししますのでご安心ください。
自分が受けたい治療を患者に届けたい
スポーツ歯科にも精通されているそうですね。

一般の歯科医療の傍ら、歯科医師の立場からスポーツの発展に貢献できるよう取り組んでいます。とりわけ重視しているのが、スポーツ中の事故を未然に防ぐこと。外傷から大切な歯や口を守るためのプロテクターとして、マウスガードの装用をお勧めしています。スポーツ選手がパフォーマンスを最大限に発揮するには、噛み合わせや食いしばりの改善も必要です。そうしたケアにも力を入れています。対象となるのは、プロスポーツのレベルから小学校の部活動までさまざまです。
先生ご自身も何かスポーツをされているのですか?
小学校の頃から35歳くらいまで、ずっとサッカーを続けてきましたが、今はもっぱらランニングです。60歳までに一度フルマラソンに挑戦したいと思い立って58歳から走り始めました。2016年の大阪マラソンが初めてでしたが、走る楽しさに加えてラン仲間との交流も楽しくて今も続けています。月に150~200キロ走ります。これまで12回出場して途中棄権はまだありません。60歳を過ぎても記録が伸びているというのはうれしいですね。2020年の熊本城マラソンで初めて4時間を切るサブフォーを達成して、直近の2021年青島太平洋マラソンでもサブ4は維持できました。新型コロナウイルス感染症流行の影響で大会中止が続いていましたが、やっと開催されるようになってきたのでモチベーションが上がります。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

ここを広げたいとか分院をつくりたいとか、そういったことは特に考えていません。この場所で患者さんと長くお付き合いができればうれしいです。口腔内の病気は心筋梗塞や糖尿病といった全身の疾患に大きく影響することがわかっています。長く健康でいるためには、歯と歯茎の健康を守り、歯周病や虫歯数を減らす努力が必要です。そのためのサポートをしていきたい。新しく良いものは取り入れつつも、ベーシックな診療スタイルは崩さずに、自分が受けたい治療を実践することが歯科医師としてあるべき姿だと思っています。自分の歯で一生食べられるのは幸せなこと。歯科医院のドアを開けることは勇気がいることかもしれませんが、ぜひ一歩踏み出してみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正歯科/40万円~、スポーツ用マウスガード/5000円、自由診療のブリッジ/6万円~