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吉田 栄介 院長の独自取材記事

アスキーデンタルクリニック

(奈良市/新大宮駅)

最終更新日:2021/10/27

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック main

「歯科医院はお化け屋敷と同じです」と笑うのは「アスキーデンタルクリニック」の吉田栄介院長。怖いのはいつどこで何が出てくるかわからないからで、あらかじめわかっていれば怖くない。歯科診療も同じで、治療の内容を事前に細かく説明し、患者の不安を取り除くことで、お互いにストレスの少ない治療が可能になるのだという。イメージカラーであるオレンジ色の看板を目印とする同院は、近鉄奈良線新大宮駅から徒歩2分。院内はバリアフリーの設計でキッズルームもあり、駐車場は5台分用意。幅広い年齢層の患者にとって通院しやすい環境を整えている。屈託のない笑顔から診療に対する情熱と患者への愛情を感じさせる吉田院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2021年8月26日)

良い出会いを通じて成長し開業へと導かれる

まず歯科医師になったきっかけを教えてください。

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック1

小さい頃から医療系の仕事に就きたいと口癖のように言っていましたが、本格的に歯科医師をめざし始めたのは、高校を卒業してからなんです。僕自身子どもの頃から歯が悪く、よく歯科医院に通っていましたが、良くしてくれる先生ばかりでした。それもあって「歯科医師も良いかな」と大学に入ってみたら、意外なほど楽しくて、自分に合っているなと感じました。口の中を見せてもらう仕事なので、患者さんとの距離感が近いんですよ。僕自身がもともと他人との距離を近く取るタイプだったのも良かったのだと思います。また、職人的な部分があることも、自分にはとても合っていました。

この場所で開業した経緯と、患者層の特徴などを教えてください。

開業しようかどうしようかと考えていた時期に、僕の妻を経由して知り合った先生から「この場所で開業しないか」とオファーがありました。10代の頃からよく遊びに来ていた、楽しい思い出のある場所でしたし、駅に近く利便性も良かったので、これも何かの縁だと思って開業に踏み切りました。その先生だけでなく、僕は人との縁にとても恵まれているんです。自分が歯科医師として成長していく中で、尊敬できる先生方をはじめとする、いろいろな人と出会えたおかげでこれまで続けてこられたという面もあります。患者さんの層については、年齢層も幅広くいろいろな人がいらっしゃいます。新興住宅地のように若いご夫婦が多いというわけでもなく、高齢者の多い古い町並みというわけでもなく、この辺りにお勤めで来られる方もいれば、海外の方もいらっしゃったりと、バラエティーに富んでいますね。

院名のアスキーはどこから取られたのですか?

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック2

以前からメールなどで自分の名前の「栄介」を「ask」と略して書いていました。開業するときにそのまま使おうかとも思ったのですが、ふつうに読むと「アスク」になってしまうので、後ろに「吉田」の頭文字の「y」をつけました。また、当院のコンセプトでもある「何でも僕に聞いてください」という意味も込めて「ask-y」と分け、ロゴの「ask」と「y」を色分けしました。

初診時の丁寧な説明でストレスフリーな診療の実現を

診療時に心がけていることを教えてください。

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック3

当院では、お互いにストレスフリーな診療を理念に掲げています。患者さんが緊張感や恐怖心、疑心などを持っていると、それをほぐしながら正確な情報を引き出すため、あの手この手を使って話さなければなりません。それではお互いに疲れてしまいます。なぜ怖がられるかというと、お化け屋敷と同じで、次に何が出てくるかわからないからだと思うんです。どこでどんなお化けが出るかわかっていれば怖くないですよね。それと同じで、現在の状態がどうなっていて、これから何をするか、そのためにどれくらい時間がかかるのかなど、全部説明することで、患者さんの不安や恐怖を取り除くことができるはずです。お互いにストレスのない治療ができれば、やりがいや疲労感も全然違います。そのためにも、痛みがあるなど応急処置が必要な場合以外は、初診時に1時間かけて診察と検査、説明を十分にした上で治療計画を立て、通常は2回目から治療を始めます。

最近目立つ症例などはありますか?

いくつかありますが、口を閉じた状態で上下の歯が当たってしまう、TCH(歯列接触癖)の方が多いですね。これは他の関節でも同じなのですが、例えば手の力を完全に抜くと、指がわずかに曲がった状態になりますよね。これは曲げる筋肉と伸ばす筋肉のどちらも働いていない、関節の安静位なんです。顎の関節も同じで、上下の歯が2ミリ以上離れた状態が安静位で、常に上下の歯があたっているのは、歯や顎に良くないんです。ひどい場合は奥歯が割れたり、歯が骨にめり込んできたりすることもあります。また舌の位置も下がってしまうので、鼻呼吸も難しくなります。口呼吸は慢性的な呼吸不全のようなもので、血中酸素飽和度も低くなって、疲れやすくなります。そういったTCHによる歯や顎の疾患が、若い方だけでなく年配の方にも増えてきているようです。

注力していることはありますか?

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック4

行動変容を促すようなアドバイスですね。例えばTCHの方の場合は、噛み方などだけでなく食事する際の姿勢なども影響しています。子どもの頃、食事の時に姿勢が悪いと怒られた経験を持つ人も多いでしょう。あれは一理あって、顎を引き下を向いて食べると、自然と前歯で噛んでから舌で奥歯に送るようになり、噛む回数も増えます。それに対して椅子に寄りかかったりした姿勢で食べると、すぐに奥歯で噛むことになりやすく、奥歯の負担が大きくなってしまいます。また、スポーツドリンクを持ち歩いてちびちび飲んでいる人が虫歯になりやすいということもあります。そういった日常の行動を変えてみたら、という話をよくします。転んでもただでは起きないというか、一度転んでしまったとしても、次は転ばないようにする方法を覚えて帰ってもらいたいのです。そうして治療が終わったときに「来て良かった」と言ってもらえれば、それは僕にとって最高の褒め言葉です。

最期まで食べたいものが食べられるように

ご自身の歯の健康のために実践していることはありますか?

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック5

自分でするのは歯磨きくらいですね。自分の口内の写真などを頻繁に撮っていたので、歯の形を立体的に把握していて、目で見なくてもどこをどう磨いているか自分でわかるんです。それが良いのかもしれません。あと新しい歯ブラシが発売されると必ず買うので、常に10本以上は持っています。電動歯ブラシも主な機種はほぼ持っていて、使った結果はすべて患者さんにお教えしています。それが趣味ですね(笑)。歯磨きした後は、水ではなく洗口剤で口をゆすいでいます。歯を磨くだけでは、歯からはがれた細菌が口の中で移動するだけなので、それがまた歯に付着する前に洗口剤で退治してしまおうという狙いです。それを2ヵ月くらい続けると、朝起きた時の口の中の不快感などが軽減されるはずです。

休日は何をして過ごしていますか?

サッカーをしているか、マウンテンバイクに乗っているか、キャンプをしているか、ドラムを叩いています(笑)。基本的には家にいないですね。サッカーは大学時代からずっと続けていて、月に2回くらいフットサルなどをしています。マウンテンバイクは車に積んで山や河原などで遊んで、その後ごはんを食べて帰ってきたり。せっかく自然の多い所に住んでいるので、楽しまないと。でも最近は新型コロナウイルス感染症の流行のせいであまり出かけられず、ストレスがたまっています(笑)。

今後の目標や展望はありますか?

吉田栄介院長 アスキーデンタルクリニック6

開業してから14年以上たちますが、オープニング時からのスタッフや、10年以上勤めてくれているスタッフが複数います。そういった気心の知れたスタッフと一緒に仕事をするのが楽しいので、僕が歯科医師を辞めると言うまでずっといてくれると良いなと、毎日思っています(笑)。それは個人的な思いとして、当院に限ったことではないと思いますが、患者さんの番号を開業時からの通し番号でつけていて、先日も1番という患者さんがいらっしゃいました。そういった古くからの患者さんの診療を、できる限り続けていきたいですね。すでに亡くなった方も多く、ご遺族があいさつに来られて「おかげさまで最期まで自力で食べられました」などと言っていただけると、うれしいような悲しいような、複雑な気持ちになります。1人でも多くの患者さんに、その人生を閉じる日まで、食べたいものがある程度は食べられる、そんな診療をしていきたいと思います。

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