大石 恒子 院長の独自取材記事
もとむら歯科医院
(久留米市/南久留米駅)
最終更新日:2024/03/27
久留米大学前駅から徒歩15分の「もとむら歯科医院」は、1992年開業以来、「みんなが幸せになれるように」という想いのもと地域に根差して診療を行ってきた。大石恒子院長の噛むことは健康に直結するという思いから、夫が営む歯科技工所と連携した義歯の製作や調整、歯を守るための予防歯科にも力を入れている。スタッフ全員が女性で、花や絵の飾られた明るくアットホームなクリニック。患者の歯科治療に対する恐怖心への寄り添いにも長けており、いつでも相談してほしいと温かに迎えてくれる。院内の雰囲気を先頭に立ってつくっている大石院長が、噛み合わせが大切な理由や歯科治療に対する考え方など、さまざまな質問に、優しい笑顔を絶やさず答えてくれた。
(取材日2023年12月1日)
口の健康をサポートし、患者に幸せになってもらう
こちらで開業した経緯を教えてください。
医療に携わりたいという思いから、高校の先生と進路について話す中で歯科大学に進むことを決めました。一般歯科医院での修業を経たのち、愛着のある地域に自分の専門分野で貢献したいと思い、1992年に開業しました。開業時には、昔から知っている祖母や母の友人がたくさん来院してくださり、ありがたかったですね。地域の方々と一緒にこのクリニックも年月を重ね、今は年配の患者さんが比較的多いでしょうか。古くからの住宅街でもあり、大学が近くにある地区です。学生さんも多く見えますし、時々子どもの患者さんも来院されます。ちなみに、院名にある「もとむら」は私の旧姓です。
絵やお花がすてきな院内ですね。
実は、飾ってある絵のいくつかは、うちに通っている患者さんが趣味で集めているもので、ぜひ飾ってと貸してくださっているものなのです。私の最近の趣味は神社めぐりや九州の古代史の勉強で、そのお話をしたりするのですが、患者さんとお互いに趣味を共有できるというのはうれしいですね。今度、自然栽培に挑戦しようと思っているのでぜひお話ししましょう。玄関のお花は毎週変わるので、注目してくださると楽しいと思います。
クリニックの特徴はどのようなところですか?
当院は、患者さんに心身ともに健康に、そして幸せになってほしいという想いがありますから、治療だけで終わらせずにその後のメンテナンスや予防にも力を入れています。また、全身の健康という側面から、噛み合わせの治療にも力を入れています。私自身も顎関節症を抱えていましたし、正しい噛み合わせに導く治療を研究する筒井照子先生に出会ってからは、先生の勉強会に30年以上属して研鑽を積んでいます。噛み合わせにずれがある状態が続くと、頭痛や腰痛、肩凝りといった症状や、不定愁訴が出てくることもあるため、放置せず診察を受けることをお勧めします。原因として見過ごせないのは、頬づえやうつ伏せ寝、姿勢といった日常生活での癖です。枕の高さや反発力も顎や歯に影響を与えるので、自分に合ったものを選ぶことが大切ですよ。
噛み合わせ治療は、どのように進めていくのですか?
まずは問診をして詳しい検査をします。噛む力の検査や、顎の関節周辺のエックス線およびCTの撮影をするほか、体全体と顔の写真も撮り、姿勢や左右のバランスが崩れていないかチェックします。さらに患者さんの口腔内を模型で再現して、詳細に確認していきます。当院では、顎の位置や噛み合わせを本来の状態に導いていくために、かぶせ物の調整や歯列矯正をすることもあります。噛み合わせは、さまざな歯科治療の根幹だと私は考えています。例えば、インプラントも噛み合わせがきちんとしていなければ、短期間で不具合が起きてしまいます。噛み合わせのバランスが崩れていると、特定の箇所に力が強くかかるため、歯周病も治りにくくなるのですよ。お子さんについても、噛み合わせは成長に関わりますので、注意深く診ます。
おいしく食事をするための治療、メンテナンス、予防を
全身の健康を考えた診療を大切にされているそうですね。
そのとおりです。痛みがある歯だけでなく、お口の中全体を診て、生涯しっかりと自分の歯で噛めるような治療の提案をします。おいしく食事ができる、というのは幸せの一つですからね。全身の健康という点では、歯周病の治療も大事になってきます。脳血管疾患や糖尿病、認知症など、全身疾患への影響も多く指摘されているからです。歯周病で歯がぐらぐらした状態では、いくら良いかぶせ物を作っても長持ちはしません。「治療に時間がかかる」と、患者さんに指摘されることもあるでしょうが、歯茎や歯の根っこの治療といった、患者さんにはわかりにくいところこそ、丁寧に行います。
治療後のメンテナンスにも力を入れているそうですね。
はい。当院では、治療終了後は3ヵ月に一度、歯周病の方は1~2ヵ月に一度といったように、定期的な来院をお願いし、虫歯や歯周病、また癖になった頬づえなどの歯にかかる力といったトラブルの早期発見に努めています。歯茎の状態も気をつけて診ます。歯茎は食事や睡眠時間の変化、ストレスで赤くなったり腫れたりする、健康のバロメーターなのです。新型コロナウイルス感染症の影響で来院を控えていた方もいらっしゃるでしょうが、その間にトラブルが散見されることも考えられ、メンテナンスと予防の大切さを再認識しています。それから、当院では予防の一環として、乳酸菌を使ったケアをお勧めしています。お口の中に善玉菌を増やすことで、虫歯菌や歯周病菌を抑えることをめざすという考え方です。興味のある方は、お問い合わせください。
義歯などの相談もあるのでしょうか?
年配の患者さんが多いこともあり、義歯も重視している治療分野です。夫が入れ歯を専門とする歯科技工所を経営しており、そちらと連携しながら一人ひとりに合った義歯を手がけています。噛み合わせのことがわかっているので、精度が高く、長持ちする義歯を作製することができると思います。歯を失った認知症の方でも義歯によって噛み合わせを整えることが良い影響を与えるのではないかという研究もあります。これまで、おいしく食事をして生き生きとされている方を何度も見てきました。それだけ噛むというのは大切なことなのです。
治療が怖い人も安心できる、笑顔いっぱいのクリニック
患者さんと接するときに心がけていることはありますか?
患者さんは一人ひとり考え方が異なります。なので、その方のニーズや生活背景をできるだけ尊重しながら、患者さんにとって適切な治療の提案をします。「みんながハッピーになれるクリニック」が、当院の理念ですからね。歯科治療が怖いという人も安心できる環境づくりも意識しています。幼少期の私は歯が弱く、歯科医院に頻繁に行った経験があり、歯科医院に苦手意識を持っていましたから、治療が怖いという方の気持ちもよくわかるのです。そのため、個人的に勉強をして患者さんの恐怖心へのアプローチを工夫したり、スタッフ一同笑顔で優しく患者さんに接するよう心がけています。他の人の治療が気になって怖いという方、ぜひ一度お声がけください。日当たりの良い部屋で、リラックスしながら治療やメンテナンスを受けられますよ。
皆さんのチームワークも良さそうです。
歯科衛生士をはじめ、スタッフ全員明るくて心配りも上手です。もちろんスキルもしっかりしたものを持っています。歯科衛生士は勉強会にも積極的に参加し、発表もしているのですよ。スタッフの存在が当院の一番の自慢です。現在はスタッフ全員が女性で、ベテランから子育て期の人、若手まで、幅広い年代が在籍しています。先輩が後輩を教えるという風土が根づいていて、家族みたいに仲が良いのです。人として、女性として、プライベートも充実させながらしっかり仕事もして、自分が生きたい人生を進んでいけるように応援したいですね。
今後の展望と、読者へメッセージをお願いします。
歯科治療が怖い方、何となく不調だけどどこに行くべきかわからないという方、顎関節症でお困りの方、私どもが力になりますので痛みや噛みづらさを放置せずに一度お声がけください。私も歯科医師としてベテランの域に入りましたので、今後は人材育成にも力を入れていきたいですね。当院のスタッフのスキルをさらにブラッシュアップして、より良いメンテナンスを提供できるようにしたいと考えています。そして、私がずっと学んできた咬合療法について。噛み合わせや顎関節症のことがわかる歯科医師やクリニックがまだまだ少ないと感じているので、後進の指導にもっと関わっていけたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは噛み合わせ機能検査・診断/3万円程度、ノンクラスプデンチャー/10万円~50万円、インプラント治療/49万5000円~