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大迫宏次 院長の独自取材記事

大迫内科クリニック

(川崎市中原区/武蔵新城駅)

最終更新日:2023/05/25

大迫宏次院長 大迫内科クリニック main

武蔵新城駅南口からまっすぐ伸びた商店街を5分ほど歩いたところにある「大迫内科クリニック」。開院は1970年と歴史のある医院で、「昔ながらのお医者さん」らしい温かい空間にホッとする。院長の大迫宏次先生は、一見すると医師とは気づかれないような雰囲気。診療でも医師と患者といった関係を超え、人対人として同じ目線で向き合うことを大事にしており、「その人の人となりを知った上で、体を診るようにしています」と笑う。時には自身が患者になったときの体験談を交えた独自の診療スタイルで人を診る大迫院長に話を聞いた。

(取材日2013年6月24日/更新日2023年2月1日)

地元への愛満杯で究極の「町医者」をめざす

こちらは先生にとっては地元だそうですね。

大迫宏次院長 大迫内科クリニック1

僕が1歳の時に父がここで開業しまして生まれも育ちも武蔵新城なので、僕にとってはまさに地元です。患者さんも、日常的にお世話になっている人も多いです。それこそ僕の若い頃を知っている人も多くて、「あの頃はねえ」なんてよく言われます(笑)。昔からここがかかりつけという方はもちろん、患者さんも代替わりして2代目、3代目という方もけっこう多いですね。昔からの患者さんの中には、寝たきりになる方もいらっしゃいます。そういう場合、当院は往診にも対応しています。「地元に根付いた町医者をめざそう」、そういう気持ちで診察しています。

こちらは診察室の真ん中に診療デスクがある珍しいレイアウトですよね。

父の代からこういうレイアウトなので、そのまま引き継いだだけですが(笑)。でも、診察はこの扉を開けた瞬間からすでに始まっていると考えていて、このレイアウトだからこそ気づくことがあります。患者さんが診察室に入って来たときの顔色や表情、歩き方までずっと見ていると、「この人いつもと様子が違うな」と気づくことができます。またここは位置的に受付まで見渡せますから、待っている間の患者さんの様子にもしっかりと目が届くんですね。それと、電子カルテをあえて導入していないのも患者さんをしっかり見るためです。明らかな症状がある患者さんばかりではありません。普段と何か様子が違う、そういう隠れたものを見つけるには、ずっと画面ばかり見ていたらわかりませんから。

患者さんと接するときの心がけを教えてください。

大迫宏次院長 大迫内科クリニック2

「なるべく安心させてあげたい」という気持ちで接するようにしています。「大丈夫だよ」とただひとこと言うだけじゃなくて、なるべく専門用語を使わず、噛み砕いて説明することが大事。例えば糖尿病の患者さんなら、血管の模型などを使って20〜30分ぐらい説明することもあります。具体的に説明したほうが患者さんの理解も深まりますからね。説明グッズはかなり充実してます(笑)。

テーラーメイドの医療で患者と向き合う

先生が特に力を入れていらっしゃるのは何ですか?

大迫宏次院長 大迫内科クリニック3

糖尿病です。父から引き継ぐまでは大学病院と大学院で糖尿病の研究をしていました。その経験を生かして、栄養指導や運動指導はもちろん、インスリン注射の打ち方などにも臨機応変に対応しています。父が糖尿病を得意としていたこともあり、当院にはもともと糖尿病の患者さんが多いんです。ですから僕の経験を役立てることができ、本当にうれしく思っています。食事指導や運動指導は専門家に一任というクリニックがほとんどですが、患者さんが何ができて何ができないかをきちんと把握するためにも、僕はなるべく自分で指導をするようにしています。もちろん栄養士の先生に月1回来てもらって細かい食事指導をお願いしてはいますが、日頃の診療では患者さんの食生活に関して僕の料理好きな面を役立てることも多いですよ。また運動にしても、自分がジムに行って指導を受けている経験を患者さんにフィードバックするようにしています。

糖尿病治療のために受診する患者さんが多いようですね。

僕自身、糖尿病を得意としており、長年の治療経験もありますが、個人的にはあまり専門性を押し出す必要はないかなと考えています。というのは、「糖尿病専門の医師」と打ち出してしまうと、患者さん側からするとハードルを高くしてしまうこともあるからです。当院はあくまでも内科のクリニックですから、風邪はもちろん、インフルエンザの予防注射とか定期検診など、さまざまな症状の方がいらっしゃっています。どんなささいなことでも相談してほしいと思っています。

診察以外の場所でも患者さんとの交流も盛んだと伺いました。

「たちばな会」といって、当院の糖尿病の患者さんのための会があるんです。昔は日帰りでお花見などちょっとした旅行にも行っていました。最近は患者さんも高齢化してしまって規模が縮小していますが、今でも時々、例えば新年会を催したりして集まっています。さすがにその時は好きなように飲んで食べてOKだよって言っていますけど、実際はお店に頼んでカロリーを控えめに作ってもらっています(笑)。でも、そういう会をやるとやっぱりこの人食べるの早いんだな、この人かなりお酒を飲むんだなと患者さんの本質が見えてきますから、一人ひとりに合った指導ができると考えています。

具体的にはどのような指導をされるんですか?

大迫宏次院長 大迫内科クリニック4

糖尿病は生活習慣病ですから、ライフスタイルを継続的に変えていくことが大事です。ただ、お酒やタバコなどを頭ごなしに禁止されると続かないものです。40代、50代の方ならまだしも、70代、80代の人から好きなものを取り上げてしまうのもね。やはり患者さんのライフスタイルをしっかりと聞いた上で、どういうアプローチをしていくか臨機応変に対応していくことが大事だと思うんです。例えば、お酒が好きな方の場合なら、「お酒を飲む分、食べるほうを減らしたら」とか「ダラダラと飲んで食べてをやるのではなくて、飲むときは飲む、食べるときは食べるというふうにしたら」と、その人に合った提案をするようにしています。医療業界もテーラーメイドなんですよね。糖尿病では特にそういった治療が大事なんです。

時には自ら体を張ってでも患者と同じ目線に

先生ご自身の健康法を教えてください。

大迫宏次院長 大迫内科クリニック5

週に1回ジムに行って体を動かしているのもそうですし、あとはなるべくストレスをためないように、やりたいことをやるようにしています。夫婦そろって食べ歩きが好きなので、どこそこにあれ食べに行こうということはしょっちゅうですし、僕自身料理好きなので自分で作ったりもしますね。昔はたちばな会の一環で、栄養士の先生に教えてもらって、糖尿病の方向けの料理教室を行っていたこともありました。あとは音楽も好きです。なぜか友人にミュージシャンが多いので、その友人などのライブに行ったりします。実は学生時代にバンドでベースをやっていたんですが、一度楽器は全部手放してしまったんです。でもせっかく弾けるならやろうよと友達から誘われて、ベースを一本買いなおしました(笑)。

先生ご自身が患者になった体験で何か思い出深いことはありますか?

実は学生のときに胃潰瘍をやったことがあります。研修医になってからもまだ痛みが続いていたので、痛い痛いと言っていたら、上の先生に首根っこをつかまれて「カメラやるぞ!」って言われて(笑)。そうしたら胃と十二指腸に潰瘍が1個ずつあったんです。このように僕自身、痛いという経験もしていますし、胃カメラの感覚もよく覚えていますから、「痛い」という漠然とした症状が「どんなふうに痛いのか」、具体的に聞き出すことができるんだと思います。ちょっと胃腸に不安がある方なんかだと、僕症例写真がありますから、「こういうふうに見えるんだよ、実はこれ僕のおなかの中なんだよね」と写真を見せることもあります(笑)。でも、「先生もやってるんだったらやってみようかな」と、途端に目線が一緒になって安心してくれることが多いんです。

最後に読者にメッセージをお願いします。

大迫宏次院長 大迫内科クリニック6

自分が何をめざしているかというと、やっぱり「地域に根ざした究極の町医者」なんですよね。例えば薬ばっかりはいやだという患者さんもいますから、必要以上には使わないように相談しながら治療を進めていきたいと思っています。患者さんと密なコミュニケーションをとり、必要なものは必要に応じてというふうに見極めをしっかりしていきますので、とにかく怖がらずにささいなことでも相談してほしいですね。あと、精神的な要素の絡んだものに関してはまずは話を聞くことから始めて、次の一手はその都度決めていけばいいと考えています。僕も自分のおなかの中を見せたりして身を挺して皆さんと向き合いたいと思っていますから(笑)。ぜひお気軽にどうぞ!

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