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磯崎 裕騎 院長の独自取材記事

いそざき歯科

(高松市/栗林公園駅)

最終更新日:2021/10/12

磯崎裕騎院長 いそざき歯科 main

琴電琴平線の栗林駅公園駅から歩くこと5分。「いそざき歯科」の院長を務める磯崎裕騎先生は、2000年の開業以来、21年間にわたり地域住民の歯の健康を守ると同時に、若手歯科医師の育成にも力を入れてきた。快適な姿勢ですべての人に優しい診療スタイル「pd診療(水平診療)」を推奨し、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を駆使した精度にこだわった歯科治療の提供に力を注ぐ。歯単体ではなく口腔全体も診て、その人がより自然に、より健康な状態にあるためにはどうしたら良いかを常に念頭に置き、日々患者と向き合う磯崎院長に、クリニックの診療や歯科医療に対する考えについて話を聞いた。

(取材日2021年5月12日)

健康をめざした歯科医療の提供に情熱を注ぐ

まずは、クリニックの開業の経緯をお聞かせいただけますか?

磯崎裕騎院長 いそざき歯科1

当院の開業は2000年ですが、その前身として1994年に大阪で開業していました。父も歯科医師で、父と私はともに、pd診療(水平診療)を提唱し、日本をはじめ世界各国に米国歯科診療の先進技術を紹介したダリル・レイモンド・ビーチ先生に師事。大阪のクリニックはそのダリル・ビーチ先生が、理想の診療所として設計したものだったんです。そのため通常の診療以外に、大学を卒業したばかりの歯科医師に高速ハンドピースや診療チームの導入、水平位による診療システムを教育・指導する活動にも取り組んでいました。現在のクリニックになってからも、ダリル・ビーチ先生の教えに基づいて診療を行っており、若手歯科医師や歯科衛生士の育成にも引き続き力を入れています。ちなみにpd診療とは、歯科診療に適したシステム環境下で行う診療。人間工学的な分析をもとにより術者が、歯科診療に適切な姿勢で精密な診断・治療を行うことが可能です。

先生が、歯科医師を志したきっかけについて教えてください。

やはり一番は歯科医師である父の働く背中を見て、ということが大きいと思います。父はダリル・ビーチ先生が提唱する「0(ゼロ)コンセプトベース」という治療概念を広げる活動もしていました。その様子を見た私も、ゆくゆくは歯科医師となって、人材の育成や教育にも携わりたいと思うようになったのです。0コンセプトは、医療の必要性がまったくない状態、すなわち「0」を「健康」とする考え方で、治療の必要のない健康な状態をめざし、そこに近づけるための治療です。父とダリル・ビーチ先生、この2人の存在が私を歯科医師へと導いたと言えます。

このクリニックの建物も、ダリル・ビーチ先生の考えに基づいて造られたものだそうですね。

磯崎裕騎院長 いそざき歯科2

そうなんです。ダリル・ビーチ先生は、患者さんに優しく、診療チームが質の高い治療を提供できる診療所の設計にも尽力されました。日本でも彼の設計コンセプトに基づいた診療所が各地に造られ、当院もその標準規格を導入しています。また彼は患者さんにストレスを与えない診療姿勢、信頼関係を築くために必要な診療技術についても提唱しており、私たちもその考えに則って、日々患者さんとの信頼関係構築に努めています。例えば、治療をする場所とカウンセリングなどお話をする場所をきっちり分けているのもその一環です。普通多くの歯科医院では、診療台で話も治療もすべて行うことが多いと思いますが、治療の場と対話の場をしっかり分けることで、より患者さんと向き合うことができ、患者さんにも安心感を持っていただけると考えています。

そのほか、設備や内装でこだわったところはありますか?

リラックスして診療を受けていただけるよう、内装はナチュラルな質感、配色を意識しました。床材も、音の反射が少ないものを選ぶなど配慮しています。また、ハンディキャップのある人だけではなく、小さいお子さんからお年寄りまで、すべての人に適するデザインとなっていますので、安心してご来院ください。患者さんが不安や心配事を持たずにリラックスして治療を受けられるように、「自宅のようなくつろぎ」を感じてもらえるよう、内装や、私を含めたスタッフの立ち居振る舞いなども意識しています。

人間工学とマイクロスコープによる精密な歯科医療

クリニックの診療の特徴である人間工学的アプローチとはどのようなものですか?

磯崎裕騎院長 いそざき歯科3

クリニックの中は人間工学に基づいて設計、患者さんがリラックスして診療できるスタイル「pd診療(水平診療)」を採用しています。あまり見かけない診療姿勢ですが、歯科医師や施術者がより精密な操作を行えるよう、人間工学的な観点から考案されたもので、患者さんにとっても楽な姿勢で診療が受けられるという利点があります。腰の曲がったお年寄りにも対応できますし、車いすのまま診療を受けることも可能です。

来院される患者さんはどんな主訴を持つ方が多いのでしょうか。

患者さんの症状はさまざまなので、一言でまとめるのは難しいですが、あえて言うならば、口のことだけではなく、全身症状も含めて主訴を口にされる方が、近年増えてきている印象がありますね。30年、40年前の歯科医療は、痛いところだけ、悪い歯だけを治療するという考えが主流でしたが、そもそも口の中は全体で一つなので、1本の歯だけを見るのではなく、全顎治療を念頭に置いて診ていくべきだと思うんです。口の健康と全身の健康はつながっている、そういう意識が少しずつ社会の中にも浸透してきていて、患者さん自身も全体の健康も踏まえた上で歯を診てもらうことの重要性を実感しつつある、そんな感じがしています。

先生のご専門であるマイクロスコープ治療について教えてください。

磯崎裕騎院長 いそざき歯科4

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、日本では神経の治療に使われることが多く、現状でも導入している先生の大半が神経の治療に使っていると思います。ただ、マイクロスコープは神経の治療以外にもさまざまな治療に役立つものなので、もっとたくさんの先生にそれを知ってもらい、多様に活用してもらえたらいいなと思います。もともとは医科で導入されたマイクロスコープですが、歯科ではまだまだ一般的ではありません。しかし、口腔内は非常に複雑な構造をしています。小さくて、暗くて、湿っていて、見えにくく、神経となると歯のさらに下にある世界。そこを肉眼で見るのは本来無理だと思うのです。ですから、マイクロスコープをうまく活用して、より繊細な手技で、最小限の侵襲で治療できる人材が増えていくことが、患者さんにとっても有益ではないかと考えています。

人材育成と知識の普及で、歯科治療の底上げをめざす

力を入れていらっしゃる人材育成についてもお話をお聞かせください。

磯崎裕騎院長 いそざき歯科5

2018年頃にマイクロスコープによる歯科治療のスタディーグループを独自につくり、講習会を主催してきました。私たち歯科医師は技術職ですので、やはりリアルな場で実際に手を動かして学ぶ必要があります。なので現在も感染症対策に最大限配慮しながら、少人数でのセミナーを継続して開催しています。しかし、歯科用マイクロスコープの導入率はまだ10%以下といわれています。顕微鏡を用いた歯科診療がスタンダードになっていく未来を描きながら、人材育成に取り組んでいます。

スタッフさんについて教えてください。

当院の診療理念の一番大きな柱は、治療先行型ではなく「健康志向型」です。できる限り必要のない治療を排し、より患者さんが健康な状態に近づいていくためのサポートをしていくスタンスは、スタッフともしっかり共有しています。スタッフには誇りとやりがいを持って仕事をしてほしいと日々指導していますが、皆十分その期待に応えてくれていて、例えば歯科衛生士はマイクロスコープを使ったケアの技術を磨き、患者さんのメンテナンスに生かしています。優秀なスタッフたちは当院の誇りでもあり、強みとなっています。

読者へのメッセージをお願いします。

磯崎裕騎院長 いそざき歯科6

体には自己修復機能が備わっていますが、歯は一度削れば元に戻ることはありません。そう考えると、体の病気以上にしっかりとメンテナンスをして、良い状態を保っていくことが大切です。近年では、口腔の健康と全身の健康が大きく関係し合っているということもわかってきています。口の中の状態には個人差もありますので、まずは信頼できる歯科医院に定期的に通い、自分の口の中にどんなリスクがあり、どんなケアが適しているのか、専門家にアドバイスしてもらいましょう。その上で、日々のケアやメンテナンスを続け、しっかり予防していくことで、歯の健康を守っていってほしいと思います。

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