和泉健夫院長の独自取材記事

ベル歯科クリニック

(小牧市／小牧駅)

最終更新日：2021/10/12

名鉄小牧駅から徒歩9分ほど、県道沿いに、かわいらしい瓦屋根に緑の壁の「ベル歯科クリニック」がある。何事も基本を大切にし、「当たり前の治療を当たり前にきちんと行う」ことをモットーに、和泉健夫（いずみ・たけお）院長と妻の和泉優子先生が開業、10年目を迎えた。院内はゆったりした椅子を備えた待合室に、奥行のある庭、あちこちに飾られた愛らしいキャラクターの品々などアットホームな雰囲気だ。スタッフもいつも笑顔を絶やさず患者を迎え入れてくれる。「歯科医院へ行くのは簡単、そんなふうに気軽に来ていただけるクリニックでありたい」とにこやかに話す和泉院長に、普段の診療姿勢や心がけについて話を聞いた。

（取材日2017年11月7日）

患者のどんな質問にも寄り添う気持ちで応える
スタッフ自ら「100％歯磨き」をめざす
厳しい目を持ちつつ、人生が明るくなるお手伝いを

患者のどんな質問にも寄り添う気持ちで応える

開業の経緯について教えてください。

私は埼玉県出身で、岐阜県の朝日大学を卒業し、愛知県や岐阜県内の歯科医院で勤務しました。妻も歯科医師で、もともと小牧市で開業していましたが、2人で一緒にするには手狭でしたので新たにこの土地で開業したのです。「ベル（belle）」はフランス語で「美しい人」という意味。妻のクリニックが「ユウ歯科」で、新しいクリニック名もカタカナ2文字がいいねと話していたのでちょうどいいと思いました。当院にはユウ歯科に通っていた方々も含め、小さいお子さんからお年寄りまで幅広い年代の方々が来られます。妻は年に数回アメリカに留学して歯科治療や保険についても学んでおり在勤していないこともあるのですが、もう1人、非常勤の先生に週に1回来ていただいています。

外観も院内も温かみのある雰囲気ですね。

テラコッタ色の瓦屋根や薄いグリーンの壁は妻の提案です。私は白い外観になるのかなと思っていたのですが（笑）。院内は医療機関らしくなく、患者さんに家にいるようにくつろいでいただきたいと思い、1人1つずつゆったり座れる肘掛け椅子を用意し、窓の向こうに庭が眺められる設計にしました。今は患者さんが増えたこともあり、長いソファーも入れています。院内に飾ってあるキャラクターのぬいぐるみや絵は、飼っている犬に似ているので何となく集め始めたのですが、次第に患者さんが持ってきてくださるようになりました。おかげさまで院内がより明るくなったと思います。

治療の際、心がけておられることはありますか？

基本を大事に、当たり前の治療を当たり前に行うようにしています。地域にある歯科クリニックとして、虫歯や歯周病治療も口腔外科も、入れ歯も審美歯科も幅広く標榜しており、インプラント治療もしますが骨の増量が必要な場合など難しいケースは得意な先生に紹介し、矯正治療も専門クリニックを紹介します。当院では、再治療をできるだけしなくてもいいように、丁寧に、その方に合った治療をする、ということです。混んでいるときなどなかなかゆっくりお話しできないのがもどかしいのですが、質問していただければ何でもお答えいたします。病院で、よくわからなくても「はい、わかりました」と言ってしまった経験がどなたにもあると思いますが、ここでは例えば「虫歯がありますよ」と言ったら「どこどこ？　どうして虫歯になったの？」と遠慮なく聞いてください。患者さんに寄り添っていきたいという思いは常にあります。

スタッフ自ら「100％歯磨き」をめざす

この辺りはどんな地域ですか？

小牧市は、都会でもなく、かといって田舎でもない、のんびりした住みやすい環境だと思います。ちょうど開業する頃にクリニック前面の道が開通し、同時に近くにコンビニエンスストアや美容院もオープンしました。最近ではマンションも増えています。この近くには企業の工場もあり、当院は20時まで診療していますので、お勤め帰りの若い方もよく来院されますね。

こちらには、子どもの患者さんも多いそうですね。

はい、開業して10年ですので5歳の子が15歳になり、「受験です」と言うのを聞くと自分も年を取るはずだと思います。お子さんとは、同じ目線で話すことを心がけていますね。「給食は何だった？」「宿題は終わった？」などたわいのないことですが、仲良くなれますよ。私は治療後をスタートとして健康な状態を保ったままお付き合いをしていくのが理想だと思っていて、当院ではその理想どおりメンテナンスや予防のために通ってくださるお子さんが多いですね。小牧市では中学3年生まで医療費が無料ということも理由かもしれません。ここに遊びに来ているんじゃないか？　という子もいるぐらいです（笑）。

先生はスタッフさんに対して「100％歯磨き」ということをおっしゃっていますが、どういうことですか？

昼の休憩など時間があるときに、たまに「100％歯磨きをするぞ」と言って、スタッフ同士で染め出しを行い、磨き残しがないかチェックし合うのです。文字どおり100％きれいに磨くことを目標に3分間歯を磨き、磨き残しが出たら「失格」です。患者さんに歯磨きの話をするときに、自分ができないことをお伝えするのではいけないと思い、気を付ける所や磨きにくい箇所を具体的にわかりやすくお話しするようにしています。

スタッフさんも大変ですが、患者のために一生懸命やってくださっているのですね。

「100％歯磨き」はプロでもなかなか難しいのですが、頑張ってやってくれています。また患者さんは、私には言いにくいけれども女性スタッフには言いやすいということもあります。患者さんと話すときは、質問にちゃんと答えられる知識も必要ですから、月に1～2回は休診日の半日を使って院内で勉強会をしています。スタッフそれぞれが与えられた課題について調べ、みんなの前で発表し、質問を受けるのです。全員が発表、全員が質問、という形ですから常に勉強していないといけません。普段はみんな和気あいあい。患者さんから「仲がいいね」と言われますし、患者さんとも祖父母と孫のような感じでおしゃべりしていることもありますよ。

厳しい目を持ちつつ、人生が明るくなるお手伝いを

先生の勤務医時代についても教えてください。

先ほど話した、「当たり前のことを当たり前にする」という診療姿勢や「100％歯磨き」は勤務医時代に学んだことです。初めて勤務した歯科医院では、治療はもちろん、仮歯も本歯のようにきちんと作るようしっかり指導されました。学生時代から参加していた勉強会で紹介され見学にも行っていた医院で、先生は若い私たちにも厳しかったですが、患者さんに対しても厳しかったですね。「われわれは命懸けで治療しているから、あなたもそのぐらいのつもりで頑張ってくださいね」という感じです。歯科医院はサービス業のような側面もありますが、その先生は常々、歯科も医療だとおっしゃっていました。それは本当にそうで、患者さんの体の一部を任せていただく厳しさ、怖さを忘れてはいけないと思います。

読者にメッセージをいただけますか？

「歯医者さん」を、治療をするちょっと嫌な所という認識ではなくて、健康の状態をチェックする所、と思って来ていただけるとありがたいですね。「虫歯ができる、行きたくないから放っておく、虫歯が進行する、治療が大変で痛い思いをする、もう行きたくないから検診にも行かない、また虫歯ができる」という悪循環は避けたいです。トラブルが何もない頃から検診に来ればクリーニングだけで済み、「歯医者さんってこれだけでいいのか、簡単じゃん」と思っていただけるはず。車の点検のように、何か調子が悪くなってからではなく、普段から定期的に来ていただけると、お互いにとってメリットが多いですね。

これから、どんなクリニックにしていきたいですか？

繰り返しになりますが、これまでの10年と変わらず、当たり前のことを当たり前にきちんとしていくことを基本にしたいですね。何か特別な治療をするとか新しいことに挑戦するとか、それも大事だとは思うのですが、地域の患者さんたちの悩みや困っていることに応じて、それぞれに合った治療を提供していきたいと思います。患者さんは、口の中が健康になってくるとしっかり食べられるようになって歯のつやも良くなるし、とにかく明るく笑うようになります。妻が言っていたのですが、女性の患者さんは化粧や着るものも変わってくるそうです。そんなふうに私たちが少しでも、患者さんの人生を明るくするお手伝いができればと思っています。