マイクロスコープでの精密治療で
大きな虫歯も歯の神経を残す

肉眼の数十倍の術野で行う精密治療で、将来の歯の健康維持につなげていく

Qマイクロスコープとはどのような機械なのですか？

A

▲より精密な治療を行うために、マイクロスコープを導入

現代において、歯科だけではなく医科も含めて、医療では精密な手技が求められています。そのためマイクロスコープは、歯科用の顕微鏡として治療に欠かすことができない機械の一つと考えています。とくに口腔内は暗く、歯の裏側や奥歯など見ようと思っても見えづらい箇所がありますし、小さな歯を治療するので拡大して見えるようにすることは非常に重要です。従前から利用されているルーペなどもありますが、倍率も違いますし、直視するよりもさまざまな角度から見られるといった点において、マイクロスコープは有用でしょう。当院は導入してから今年で4年目。より精密に治療を行い、患者さんに良い診療を届けていきたいと思っています。

Qどのような歯科治療でマイクロスコープを使うことが多いですか？

A

▲根管治療だけでなく、虫歯や詰め物でもマイクロスコープを使用

当院では、虫歯を削ったり、詰め物をしたり、また歯の根を処置する根管治療などでマイクロスコープを活用しています。虫歯治療においては、詳細に確認しながら削っていきますので、神経を残すことが可能なケースが多くなります。神経を取ってしまうと、噛む感覚が鈍くなり力が入り過ぎてしまうことで歯が割れたり、痛みやしみるといった虫歯の初期症状が感じづらくなったりすることもありますので、なるべく神経を残すためにも精密な治療が必要です。また歯石取りにも使うことも。基本的にメンテナンスは歯科衛生士が担当していますが、歯茎のポケットの深い部分についている歯石を除去する際には私がマイクロスコープを使って治療しています。

Q精度の高さが求められる根管治療の流れも教えてください。

A

▲治療の流れをわかりやすく解説

まずは歯科用CTやエックス線検査で、歯根の中の病巣の有無をチェックします。根管治療には、感染してしまった神経を取り除くものと、すでに神経を抜いた根管の感染を治療するものと2種類あり、病巣を放っておくと感染が広がるので、なるべく早く治療したほうが良いでしょう。細い神経の管を見つけたり、根の中の感染部を除去したりするのにマイクロスコープが活躍します。加えて患部に唾液が入ると再感染の原因になるので、治療の際はラバーダムを使い唾液が入らないよう注意します。前歯か奥歯かなど条件によって変わりますが、マイクロスコープを使う場合は一回の治療時間を長くとるので、一般的な根管治療より通院回数は少なくなります。

Q治療経過の説明にもマイクロスコープを役立てているそうですね。

A

▲動画や写真を用いて、口腔内の状況を詳しく説明してくれる

根管治療は患者さん自身がどんな治療を受けているのかわからずに、不安を感じてしまうケースもあると思います。そうした不安を取り除くためにもマイクロスコープに備わっている録画機能を活用し、毎回治療後には撮影した動画を見ていただくようにしています。根の汚れ具合や、汚れを取り除いた後の様子がわかるので、歯科治療に対する理解も高まります。そうすることで患者さんが治療に積極的になり、結果的にデンタルIQの向上にもつながっていくのではないでしょうか。基本的にマイクロスコープを使った治療に関しては、検査を行った上で必要性を説明し、了承をいただいた方のみに適用しています。

Qマイクロスコープを使った治療を受けるメリットとは何でしょう。

A

▲より多くの歯を残したいという思いに応え、多様な選択肢を提案

マイクロスコープがあることで、肉眼よりも精密な治療が期待できます。治療中などの動画があることによって患者さんへの説明量も増えますし、何よりどんな治療を行っているのかが一目瞭然なので、治療を行う側も自分の技術をごまかすことはできません。だからこそマイクロスコープの有無は、ある程度歯科選びの指標にはなるのではないかと思っています。精密な治療は歯を残していくことにもつながるので、1本でも多くの歯を残していきたいという方は、マイクロスコープを使った治療を一つのポイントとして捉えてみてもいいかもしれませんね。