健康な歯に悪影響を及ぼす
親知らずを抜歯する重要性
ひいらぎ歯科医院
(福岡市南区/竹下駅)
最終更新日:2022/04/14
- 保険診療
かつては日本人の平均寿命が50代で、親が知り得ない頃に生えることからその名がついたとされる「親知らず」。別名「智歯」とも呼ばれ、第3大臼歯が正式名称である。一般的には20代の半ばくらいから上下の歯の一番奥に萌出し始め、4本生えそろう人もいれば、先天的に生えない人もいるという。歯科口腔外科を得意とする「ひいらぎ歯科医院」の増田純久院長は、「親知らずは痛みや腫れをもたらすだけでなく、放置すると健康な歯にもさまざまなトラブルを引き起こすので、悪影響がありそうだと判断できた場合は早めに抜歯することが重要です」と警鐘を鳴らす。今回の取材では、親知らずが招く弊害や適切な治療の内容、抜歯後のフォローなどについて詳しく教えてもらった。
(取材日2022年3月28日)
目次
不具合を起こしそうな親知らずを早期発見し早期抜歯することで、口腔内の健康を適切に管理していく
- Q親知らずを抜歯するメリットを教えてください。
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A
そもそも親知らずはスペースがないところに無理やり生えてくることがほとんどです。それによって他の歯が動き、歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性があります。全部が生え切らずに歯茎の中に埋没したままになると、歯肉の隙間から細菌が侵入して隣の歯を虫歯にしたり、歯の根っこや骨を溶かしたりするケースも珍しくありません。もちろん、親知らず自体が痛みや腫れを招くほか、疲れがたまった時に発作的に症状が現れることもあり、治療せずに放置しておくと生活の質(QOL)の低下につながる場合もあります。適切な判断・抜歯によって、こうしたさまざまなトラブルを未然に防ぐためにも、手遅れになる前の早めの判断と治療が何より重要です。
- Q親知らずを抜歯する適切なタイミングはありますか?
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A
親知らずが生え始める時期は人によってまちまちですが、当クリニックでは20代後半から30代前半の患者さんが多いです。基本的には健康な歯に悪影響を及ぼす前に、早期の段階で抜くのが適切です。しかし、多くの方が痛みを感じてから受診されるケースが大半で、それでは既に弊害が起こっている可能性があります。理想的なのは、歯科医院で定期検診やメンテナンスを行い、普段から口腔内を管理しておくことです。そうすれば歯科医師の診断によって、抜歯に適したタイミングに治療を受けやすくなるでしょう。痛みがなくても親知らずの萌出に気づいたら、まず、かかりつけのクリニックで相談しましょう。
- Q親知らずの抜歯はどのような流れで行われますか?
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A
まずはレントゲンで状態確認します。そこで抜歯が必要なのかの診断をつけ、必要であると判断した場合は、患者さんへ説明とともに治療プランを共有して抜歯する日を決定します。口腔内が清潔でないと増殖した細菌が傷の回復に影響することもありますので、当クリニックでは手術前に歯石やプラークを除去するクリーニングを行うほか、歯科用CTで親知らずの生え方や形状を入念に検査して手術の手順や抜き方をシミュレーションしています。手術時間は難易度によって変わりますが早い場合は10分。時間を要する場合でも60分ほどです。手術の際は親知らずを適切に抜くのはもちろん、その下にある下歯槽神経を傷つけないよう注意を払っています。
- Q抜歯時の痛みや腫れ、食事制限について教えてください。
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A
手術の際は表面麻酔後に局所麻酔を施し、十分に痛みに配慮していますので、ご安心ください。さらに当クリニックではレーザーや薬剤を用いて術後の痛みや腫れを軽減させることを意識しながら行っているのが大きな特徴です。抜歯後の食事については、肉類や硬いもの、香辛料などを使った刺激のあるメニューは避け、なるべくやわらかくて消化にいいものを選びましょう。抜糸するまでは、飲酒や激しい運動を控えることも大切です。
- Q職場の復帰や、抜歯後のフォローについてお話しください。
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A
手術後は鎮痛剤で痛みをコントロールしていきますので、お仕事への影響は最小で済むようにしております。早い方は手術当日から出勤されることもありますが、翌日くらいまで静養する方がより適切です。手術の後は定期的に受診していただいて経過を確認し、鎮痛剤を処方しています。さらに当クリニックでは、抜歯後もご自身でしっかりと歯磨きができるよう、毛先がやわらかい手術後専用歯ブラシの使用をご紹介するなど、セルフケアの指導にも力を入れています。