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星岡 才賢 理事長の独自取材記事

星岡歯科診療所

(川崎市幸区/矢向駅)

最終更新日:2026/10/21

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所 main

60年以上にわたり地域の歯の健康を支える「星岡歯科診療所」は、JR南武線の矢向駅から徒歩7分の場所に位置する。理事長の星岡才賢先生は、早い時期から長年予防歯科の研究と診療に専念してきた。仲間とともに、顎拡大療法装置の開発に携わり、現在もその普及活動に力を注いでいるという。近年は子どもの予防歯科と高齢者のメンテナンスに重点を置くという星岡理事長に、詳しい話を聞いた。

(取材日2026年9月10日)

予防歯科の視点から矯正装置の開発に携わる

この地で長年にわたって診療されていると伺いました。

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所1

当院は歯科医師の父が1958年に隣町で開業し、その7年後に現在の場所に移ったのでこの地に来てから61年になります。私は大学卒業後に東京の八重洲と神奈川の鶴見の歯科医院で経験を積みました。八重洲は大人の患者が多く、鶴見は子どもの患者が多かったですね。その後当院で勤務を開始し、46年を迎えます。患者さんは長く通われている方が多く、私の小さい頃を知っている、父の代からの患者さんもいらっしゃいます。家族で通われるケースも多くありがたいですね。患者さんの年齢層も乳幼児から90代の方までと幅広いですね。患者さん同士も顔見知りの方が多く、待合室で会話を交わされるなど院内は温かい雰囲気です。このエリアはもともとは工場が多い地域で、開業した頃は大きな工場や町工場ばかりだったのですが、最近は住宅地に変わり子どもの患者さんも増えてきました。

長年予防歯科に注力されてきたそうですね。

鶴見時代は子どもの虫歯を削る治療ばかりでした。そんな折、ある歯科技工士に出会い顎拡大療法を知りました。彼と親しいドイツの歯科技工の専門家が来日した際に講演を聞きに行き、顎拡大療法に本格的に取り組むようになったのです。当時は予防歯科という考えはあまり一般的でなく、業界での風当たりは強かったですね。当院で勤務し始めた頃から、予防歯科で知られる先生がいる山形県の研究会や、博多の研究会などで勉強を重ねてきました。そんな中で同じ志を持つ仲間と出会いともに研究を重ね、抜歯をせずに矯正を行うための顎拡大療法装置を開発しました。その装置はスプリングを組み込んだ取り外し式となっていて、口腔内に装着して顎を広げながら矯正していく仕組みです。現在も、多くの方にこの治療法を知ってもらうための普及活動を続けています。

開発に携わられたという顎拡大療法装置とはどのようなものですか?

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所2

この装置は就寝時の8時間の装着で済み、子どもだけでなく大人にも対応できる点が特徴です。痛みや違和感が少なく、毎日きちんと使えば数年で治療を終了することが望めます。肩凝りや頭痛、鼻詰まりなどが噛み合わせの悪さと関連することもあり、歯並びは口腔内だけの問題ではありません。私は現在、子どものうちから歯並びを正しくしてあげることが究極の予防だという考えに至り、「習癖改善」を最終目標とした包括的な診療を重視しています。舌の位置、口呼吸、顎の成長、咀嚼習慣など“機能”を整えることが予防の本質だと考えるようになりました。そのため、現在は子どもの口腔機能管理に力を入れています。大人の矯正は、隣町で診療している次男の歯科医院へ紹介しています。

子どもの歯並びと、高齢者のメンテナンスに注力

子どもの口腔機能管理について教えてください。

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所3

ある講演会でイギリスの矯正を専門とする歯科医師が「口を開けていると顎が下に発育し、前に成長しにくい」と語っていました。「お口ポカン」の癖があると、顎が下に伸び長い顔になりがちなのです。口を閉じ舌が常に適切な位置に収まっていることが大切です。日常の訓練も大切で、当院では毎日の「あいうべ体操」や歯科用ガムを噛むことを推奨しています。3ヵ月に1度唇の力と舌圧を測り、訓練の成果を見ています。

顎の小さい子どもが増えているそうですね。

最近は永久歯に生え替わるために必要な発育空隙という隙間がなく、乳歯がぴっちりと生えている子がたいへんに多いのです。咀嚼にも問題があり、リスのようにちょこちょことした咀嚼をする子が多いのですが、正しい咀嚼はグラインディング咀嚼といって、上下左右に咀嚼し奥歯まで使います。こうすると顎が刺激を受け発達につながります。親御さんが子どもの好き嫌いをなくすため、例えばカレーなどで具材を小さく切ったりミキサーにかけたりする例も聞きますが、顎の発達を考えるとお勧めできません。むしろ具材をやや大きめに切ると、カレー1食で咀嚼の回数を大きく増やせるのです。それでも現代人は咀嚼が少ないです。弥生時代などは一説には1回の食事で約4000回咀嚼していたともいわれているのですよ。なお、お子さんの口腔機能発達不全症の診療や訓練、唇の力や舌圧を測る検査は保険適用となっています。

高齢患者さんのメンテナンスについてお聞かせください。

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所4

1989年から8020運動といって、80歳で20本の歯が残るようにしていくことが叫ばれました。当時は20本の歯が残る高齢者は多くありませんでしたが、現在は50%を越えました。当院は世間に予防歯科が浸透する以前から、予防に力を入れてきました。口腔内が汚れていると誤嚥性肺炎などを起こしやすいので、定期的なメンテナンスで清潔を保つことが重要です。私と歯科衛生士がそのような話をいつもお聞かせするので、当院の患者さんのデンタルIQは高いと思います。歯ブラシやデンタルフロスの指導もきちんと行っています。当院では、歩けなくなった患者さんには、訪問診療を行っています。当院の定期検診は3ヵ月に1度のサイクルですが、患者さんは皆さん自発的に予約を取ってくれるのでお知らせはがきを出したことはありません。

予防歯科の知識を歯科医師たちに伝えていく

患者さんと接する時に心がけていることは何ですか?

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所5

九州の研究会に通っていた時にそこの先生が、患者さんに必ずあいさつをすると聞いて以来私も実践しています。患者さんがいらっしゃると、こちらから朝なら「おはようございます」とお声がけします。お子さんたちも必ずあいさつを返してくれますよ。また患者さんの入室する姿を観察し状態を推測する、患者さんが話し終わるまでは口を挟まず傾聴する、聞き終わると内容を確認するなど患者さんが安心して診療を受けられる姿勢を心がけています。当院は宣伝には力を入れていませんが、クチコミで来てくださる患者さんがほとんどです。最近はママ友さんたちのつながりから、お子さんの予防歯科を希望する方の来院が増えています。

今後の展望をお聞かせください。

私が開発に携わった装置で行う顎拡大療法を世の中に普及するため、毎月1度八重洲でセミナーを行っていました。既に私のすべての知識を後進の先生方にお伝えしたので、現在は彼らが活動を継続してくれています。数年前には顎拡大療法に関する書籍を出版した他、顎拡大療法に関するDVDを3本製作しました。それらのDVDを見てセミナーに聴講に来てくれる歯科医師が予想以上に多く、伝えたかった治療方法が歯科業界内に着実に広がっていると感じうれしく思っています。2年前からは患者さんの歯並びを良くするための新たな運動も開始し、そこでは歯科医師だけではなく歯科衛生士にも知識をお伝えしています。現在、顎拡大療法は次男の歯科医院に任せている一方、子どもの予防歯科にやりがいを感じているので、体が動く間は診療を続けていきたいですね。

読者へのメッセージをお願いします。

星岡才賢理事長 星岡歯科診療所6

痛くなってから歯の治療に行く時代は20世紀で終了したといわれています。歯が残っていることは全身の健康につながるので、一本一本の歯を大切にしていただきたいですね。日々のケアと定期的なメンテナンスで口腔内の健康を守り続けてほしいと思います。そのためにはかかりつけ医を持ち、歯科衛生士さんとも仲良くなることが大切です。常に口腔内をきれいに保つため、歯科医院を上手に使っていただきたいですね。不安なことがあればお気軽に相談にいらしてください。