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吉川 浩郎 院長の独自取材記事

吉川歯科クリニック

(松江市/松江駅)

最終更新日:2021/12/23

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック main

山陰自動車道・松江東ICのそばにある「吉川歯科クリニック」。1993年の開業以来、乳幼児から高齢者まで、幅広い世代の歯の健康を守り続けてきた。虫歯や歯周病の治療や予防、メンテナンスといった一般歯科はもちろん、摂食嚥下リハビリテーションの専門知識や経験を生かし、高齢者や障害のある人の診療やサポートにも対応している。「食事を通して咀嚼し飲み込み消化することで、体の基本的な機能を使うことはとても大切。お口から患者さんの健康を守っていきたいです」と話すのは、吉川浩郎院長。日々の診療の傍ら高齢者の医療体制構築にも尽力するなど、地域医療に対する熱い思いを持つ先生だが、その素顔はとても気さくで温かく、親身になって相談に乗ってくれる。そんな吉川院長に、診療の特徴や歯と健康の話についてたっぷり聞いた。

(取材日2021年11月18日)

患者の気持ちを尊重した診療を提供

吉川歯科クリニックはどんなクリニックでしょうか。

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック1

「お子さんから高齢者まで、あらゆる世代の歯の健康を守るクリニックをつくりたい」と、1993年に当院を開業しました。歯が生える前から人生の最期まで、すべてのライフステージにおいて、かかりつけ歯科医師として患者さんと関わりたいという思いを持っています。また摂食嚥下のリハビリテーションに関する知識や経験を生かして、誰もがおいしく安心して食事ができるように、食べ物の咀嚼・飲み込みのチェックや訓練などのサポートにも注力しています。虫歯や歯周病の治療のみならず、食べる機能に関しても相談に乗れるのが強みですね。一般診療に関しても幅広く対応していますが、専門性の高い矯正やインプラントの治療、歯科口腔外科的な治療が必要な場合は、信頼する専門の先生をご紹介することもできます。また通院が困難な患者さんに対しては、クリニックの昼休みの時間を利用して訪問診療も行っています。

患者さんの通院のしやすさにもこだわられたそうですね。

はい。バリアフリー設計にしたのはもちろん、障害のあるお子さんも落ち着いて診療や治療が受けられるように完全個室の特診室も用意しました。特診室は玄関から直接入れるように、専用のスロープやドアを設けているので、車いすの方も安心してお越しいただけます。ほかにクリニックの設備面でこだわったのは、各診療ユニットや待合室に動画を流すモニターをつけたことです。このモニターで、治療や歯の健康に関する情報などを流して、待っている間にご覧いただけるようにしています。動画を見た患者さんから「この治療についてもっと教えてほしい」といったご質問を頂くようになったので、つけた甲斐があったかなと感じています。少しでも自分の歯や口、そして体の健康について関心を持っていただけるとうれしいですね。

先生が診療の中で心がけていることはありますか?

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック2

まず、患者さんのご要望にできる限りお応えするよう努めています。そして、納得して治療を受けていただくために、治療についてしっかりご説明した上で、患者さんにどうするかを選んでいただくように心がけています。治療の内容や計画を考えるときも同様で、患者さんにとって治療の金銭的な負担が大きい場合はなるべく保険診療の枠内で治療を進められるよう配慮する、患者さんが「今すぐには治療したくない」とおっしゃれば支障が出ない期間内でじっくりと検討してもらうなど、ご本人の意思を尊重して進めています。また、当院は予約優先制を取っていますが、皆さんお忙しい中、時間をつくってご来院いただいているので、私たちのほうもご予約の時間内で診療を終わらせられるように努めています。予約制だと待合室もそんなに混雑しませんから、感染症対策にも役立っていますね。

高齢者や障害者の診療に注力

摂食嚥下リハビリテーションに取り組み始めたきっかけは?

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック3

ある先生の講演の中で、摂食嚥下リハビリテーションの話を聞いたのがきっかけですね。高齢者や障害のある方の中には食べ物の咀嚼や飲み込みに困難を抱える人がいて、摂食嚥下障害が誤嚥性肺炎などのリスクにつながること。そして、それらの課題は治療やリハビリテーションによって改善が図れる可能性があるということを知り、強い関心を持ったんです。そこから勤務しながら昭和大学の口腔衛生学教室の講習に通い、2年かけて専門知識を身につけました。

高齢者や障害者の歯科治療の経験はどちらで積まれたのですか?

地元・松江市に帰ってきた後に勤務した、東部口腔保健センターでの経験が大きいですね。そこでは、今まで学んできた摂食嚥下リハビリテーションの知識や経験を生かしながら、障害者歯科治療の実務経験を積むことができた上に、高齢者の歯科治療にも携わることができました。当時はちょうど高齢者の介護制度が整備され始めた時代で、高齢者の口腔ケアの注目度も高まっていた頃だったので、貴重な経験ができましたね。

なぜ、しっかり食事をすることが大切なのでしょう?

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック4

摂食嚥下障害による誤嚥性肺炎のリスクを考えると、管などで直接栄養を送るほうがメリットも大きいように感じますよね。しかし、口や食道を使わずにいると動きが悪くなり、胃や腸の機能まで落ちてしまいます。人の体が本来持っている機能を維持するには、口から食べて消化器官を使うことがとても大切なんです。最近では、医師や歯科医師、看護師、歯科衛生士、介護福祉士などが連携して、高齢者や障害者の摂食嚥下機能の維持・改善に向けてチームで取り組む動きも出てきており、歯科では口腔の衛生管理や、うまく噛むためのサポートなどを担っています。島根県でも誤嚥性肺炎のリスクを減らす意義やテクニックを普及するための勉強会を開くなど、医療関係者を含め多くの方に正しい知識を身につけていただくための活動も進んでいます。

障害のあるお子さんの診療についても教えてください。

通常の診療の場合、診療台に座ることのできないお子さんに対してトレーニングを行うなど、まずはクリニックや診療に慣れてもらうことから始めています。当院で治療が難しいときには、口腔保健センターや島根大学にて治療を行うこともありますが、しっかり連携を取って切れ目のない対応を心がけているのでご安心ください。また、障害のあるお子さんの親御さんは離乳に関する悩みを抱えていることも多く、当院では離乳食の与え方のアドバイスはもちろん、実際にクリニックで一緒に食べさせてみるといった育児支援的な取り組みも行っています。最近、障害などによって医療的ケアを必要とするお子さんを支援する法律も新たに整備されたので、より一層サポートを充実させていきたいですね。

オーラルフレイルの周知を通じ健康を促進

診療を通じて患者さんに伝えたいことは?

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック5

たった1本の歯でも失ってしまうと、口腔内に大きな悪影響が出ることをぜひ知っておいていただきたいです。特に奥歯をなくした場合、空いたスペースに向かって他の歯が倒れてきて、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまうことも。歯並びや噛み合わせが悪くなると、磨き残しが多くなり虫歯のリスクが高まるほか、前歯にも大きな負荷がかかってしまうなど、ドミノ倒しのように口腔環境が悪化してしまう恐れがあります。口の健康は体の健康にもつながるので意識してほしいですね。

体の健康にも影響があるのですね。

フレイルという言葉をご存じでしょうか? 虚弱という意味で、例えば横断歩道を青信号のうちに渡れなくなった、など、知らないうちに体力が衰えていくことを意味します。このフレイルは、口の虚弱、つまりオーラルフレイルから進行が始まるといわれているので、早期の発見や対応は体のフレイル予防になり、要介護状態にならないためのポイントとされています。滑舌が悪くなる、食べこぼしが増える、わずかなむせ、噛めない食品が増える、口の乾燥などが、オーラルフレイルのサイン。体の健康のためにも、思い当たる症状があれば一度歯科医師にご相談ください。

今後の展望をお聞かせください。

吉川浩郎院長 吉川歯科クリニック6

将来の高齢者や障害者診療を担ってくれる、志ある歯科医師や歯科衛生士の育成に注力したいです。口腔衛生管理の大切さをより多くの方に知ってもらえたらうれしいです。また、訪問歯科に関しても、これからの高齢化社会を見据えて歯科医師と歯科衛生士が的確に連携できる体制の構築にも取り組んでいきたいです。クリニックでの診療に関しては、地域のかかりつけ歯科医師として、これからもあらゆるご相談に対応できるように一生懸命頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

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