不安なときこそ早めに相談
歯科医院で受ける口腔がんの検査
河村歯科医院
(八尾市/八尾駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
芸能人の舌がん闘病体験が公表されて以降、舌がんを含めた口腔がんへの関心が高まっている。特に日頃から口内炎に悩んでいる人は、「自分は大丈夫だろうか?」と不安になることもあるだろう。しかし、口内炎や発疹などを診てもらいたくても、どの医療機関、どの診療科を受診すればよいのかよくわからない……。そんな患者の不安な気持ちに、地域の身近な歯科医院だからこそ応えていきたいと語るのが、「河村歯科医院」の河村啓司院長だ。同院では口腔内の粘膜疾患を観察する特殊なカメラを導入し、必要に応じて病変の病理検査にも対応するなど、病気の鑑別やがんの早期発見に取り組んでいる。そこで今回は院長に、口腔がんの基礎知識や同院で行っている検査の流れについて、詳しく解説してもらった。
(取材日2020年9月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q口腔がんとはどのような病気ですか?
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A
舌、歯肉(歯茎)、頬の内側、舌の下など、お口の中のがんを口腔がんと総称します。舌にできたものが舌がんと呼ばれます。よく似た病気に口内炎がありますが、両者は異なるものですし、口内炎は最初から痛みがあり、口腔がんでは初期は無症状のことが多いです。ただ、どちらも同じような場所にできやすく、また口腔内の粘膜病変はすべて口内炎と見なされてしまう傾向がありますね。病理検査でがん組織が見つかれば、病変の切除、放射線療法、抗がん剤による化学療法などを組み合わせて治療を進めます。口腔がんは60~90代とご高齢の方に多いのですが、30代の患者さんもまれではありません。
- Q口内炎がどのぐらい続けば、検査を受けたほうがよいでしょうか。
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A
口内炎は自然に治ることも多いですが、10日~2週間を過ぎても症状が続いている、痛みは強くなくても病変が数ヵ月前からあるといった場合は受診したほうがよいでしょう。また悪性腫瘍は進行が早いので、患部がどんどん大きくなったり、見た目が急激に変化するような場合にも早めに受診してください。先ほど口腔がんではあまり痛みがないと言いましたが、患部に細菌が付着して感染すると、炎症が起きて痛みや腫れが生じることもあります。その状態で抗菌薬を使うと炎症の改善につながり、一時的に病変が治ったように見えることもありますが、がんの本体はそのままです。このような可能性もあるので、放置せず詳しい検査を受けることが大切です。
- Qどのような検査をするのでしょう。また、検査は保険診療ですか?
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A
歯科医師が患部を診察してから、まずは普通のデジタルカメラで現在の状態を記録します。その後、当院では特殊なカメラで口腔内を観察し、粘膜組織に変化がないかどうか調べます。さらに、患部が歯茎ならば歯の根っこの状態を観察するためにエックス線撮影をしますし、CTを撮ることもあります。このように、歯科医師の経験や知識に基づいた視診に加えて、画像で客観的な評価を行えることが、当院で行っている検査の特徴です。以上のような検査で必要があると判断できれば、患部やその一部を切り取って病理検査を行うこともあります。これらの検査はいずれも保険診療の対象になります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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待合室で受診理由などを問診票に記入。その後、診察室で歯科医師やスタッフによる詳しい問診がある。症状はいつからあるのか、あるいはいつ気がついたか、どのように変化してきたのか、痛みや出血の有無、症状によって生活にどのような支障があるのか、さらに喫煙や飲酒の習慣、嗜好品、睡眠など全身状態やライフスタイルについても確認していく。
- 2画像検査を行う
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最初にデジタルカメラで口腔内や患部の現在の状態を撮影。その後、粘膜の組織の変化を確認できるカメラで口腔内を観察する。細胞に病的な変化があれば、黒く変色して映し出される。歯茎に病変がある場合、歯の根元にたまった膿が出てきた可能性もあるので、エックス線やCTを撮ることもある。検査の結果や患者の希望を踏まえて、病理検査を行うかどうか相談。患者が検査を迷う場合には、次回の診察まで検討することも可能だ。
- 3病理検査で調べる組織を採取
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病理検査を実施することになれば、局所麻酔をしてから、病変やその周囲を採取する。採取後は、切除の大きさによって、傷口を縫合するかレーザーで止血する。切除から止血までは5~10分程度、止血を確認するのに10分ほど待つこともあるが、同院ではほかの歯科診療と同様に、30分~1時間以内ですべてが終わるように手際良く検査を進めていく。
- 4結果について説明を聞く
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病理検査を行った場合には、10日~2週間程度で検査結果が出るので、あらためて受診し、切除部分の回復を確認した後、検査結果の説明を受ける。もし悪性腫瘍の疑いがあれば、専門的な検査や治療を行う病院へ紹介してもらう。特別な問題がなければ一連の検査は終了となり、その後は同院で定期的なメンテナンスを受けてもよいし、かかりつけの歯科医院があればそちらへ戻ることもできる。
- 5定期的なメンテナンスやケアを受ける
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患者から希望があれば、同院では患部や切除部分を定期的に診察し、変化がないか確認。また口腔がん、特に舌がんは、鋭縁(えいえん)といって虫歯やかぶせ物の尖った部分が舌に触れて傷を繰り返すうちに、がん化することもある。このため、通常の予防歯科で口腔内を定期的にチェックすることが、口腔がんの予防にもつながる。痛みがないからといって虫歯を放置しないことが重要だ。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。