米畑 有理 院長の独自取材記事
歯の花クリニック
(大阪市中央区/北浜駅)
最終更新日:2025/05/14

北浜駅から徒歩約1分、土佐堀通沿いに「歯の花クリニック」はある。サロンを思わせるような内装で、土佐堀川に面した窓の外には中之島の景色が広がり、明るく開放的な空間となっている。院長の米畑有理先生は、大学病院で多くの入れ歯・インプラント上部構造を担当した経験から、予防の必要性を実感。気になる知識や技術があれば、国内だけでなく海外の歯科医師のもとまで出向き、知見を深めてきた。悪くなったら治療するのではなく、原因にアプローチして悪くならないようにすること、そして治療を最小限に抑えることをめざす米畑院長。診療にかける想いや、自由診療のみというクリニックの特徴などについて話を聞いた。
(取材日2025年4月11日)
削るのではなく、 原因を追究して改善をめざす
クリニックを開業した想いをお聞かせください。

大学病院時代は、入れ歯やインプラント治療を多く手がけている講座で、私も多くの患者さんを診ていました。部分入れ歯の場合、丁寧な調整やフォローを行えば通常よりは長持ちさせられますが、少ない歯に負担がかかるので少しずつ悪くなっていきます。さらに、総入れ歯の方に対しては、「全部駄目になるまでに、歯科診療でできることはなかったのだろうか」という疑問を抱きました。時間をかけて入れ歯の調整や歯のケアを行うのですが、納得できる結果が表れにくく「何か違う」「こうなる前にできることがあるのでは」という感覚がずっとありました。その頃に、先輩を通じて、予防歯科のエキスパートである先生の存在を知りました。歯をなくさないための方法があるとわかり、それまでに感じていた違和感や疑問に対する答えを見つけた気持ちでした。とはいえ勤務医という立場では保険診療と両立させるのは難しく、ならば自分で開業しようと決意しました。
原因に対するアプローチを重視されていますね。
「削らない・切らない」をコンセプトに、原因を追究する原因療法を主軸としています。虫歯の例でいうと、穴が空いたところを削って詰めるのは対症療法で、虫歯の病態自体は変わっていないんです。なぜ虫歯になったのかという原因を突き止め、虫歯になる状況にアプローチしていく原因療法も含めて治療と考えています。小さい穴を早く見つけて小さいうちに削ることを繰り返していると、削っていることで歯が失われている状況に陥ってしまうケースもあります。早期発見・早期治療は大切ですが、虫歯を早期発見したら、原因を発見し、そして原因を治療しなければいけないと考えています。
虫歯の原因はどのように追究するのでしょうか?

カリオロジーという“う蝕学”という分野があります。私が始めた頃に比べると、今いろいろなメカニズムや知見がさらに出てきています。原因を追究する方法にはさまざまな手段がありますが、当院では問診を重視しています。食事や飲み物の内容はもちろん、摂取する回数や時間、使用している歯磨き粉の種類などを詳細までお聞きします。検査では染め出しをして歯磨きができているかどうかも確認します。プラーク(歯垢)の質は、甘い物を多く食べている人だと粘性が強いなど、特徴があります。原因を追究し、理解してアプローチしていきます。
一人ひとりに合ったメンテナンスを提供したい
心地良いサロンのような雰囲気ですね。

建築士と相談しながら、タイルや石などの素材を探して、なるべく歯科医院っぽくない内装をめざしました。予防歯科をメインにしており、痛くなる前に来ていただきたいので、医療機関らしくなく、構えることなく訪ねてもらえるような雰囲気を大事にしています。治療もケアも、患者さんのプライベートに関わる部分だと思っています。治療室は、土佐堀川の流れが見わたせる「Aqua」と、チョコレート色の壁が特徴の「Chocolat」という、雰囲気の違う2つの個室を用意しました。チョコレートというと虫歯というイメージがあるかもしれませんが、カカオそのものには有用な成分も含まれており、決して悪い物ではないんですよ。
メンテナンスには「維持メンテナンス」と「改善メンテナンス」の2種類があるとお聞きしました。
はい。歯肉に炎症がなく虫歯リスクが低い方向けとして、良好な状態を保つ「維持メンテナンス」と、虫歯や歯周病などの原因の改善を図り、そのために通っていただく「改善メンテナンス」があります。いずれも最初の45分間で相談の時間を取り、口の中を診察します。セカンドオピニオンや口臭の相談など、しっかりと話を聞いて、これからの治療方針についてお伝えします。その後、維持メンテナンスは約1時間、改善メンテナンスは約1時間半をかけてメンテナンスを行います。歯周病治療の場合、保険診療では4ブロックに分けて行いますが、当院は自費診療であることや、軽度や中等度の歯周病の場合は治療を分ける必要がないため、少ない回数で行うことができます。
提供されているのはすべて自由診療のメニューだそうですね。

お口全体の原因とリスクを診るため、1回あたりの診療に十分な時間を取って来院回数を少なくし、自費診療としてご提供しています。保険診療で行う歯石取りと比較すると、高価に感じるかもしれませんね。最近は定期的な検診を行い、虫歯や歯周病の予防に取り組む歯科クリニックが増えていますが、本気で予防を行うためには、患者さん一人ひとりの口内の状態やリスク、希望に合わせた診療を提供する必要があると考えています。保険診療の範囲内に限定すると、患者さんごとに異なる条件に対応しきれないこともあります。その方法が合っていればいいですが、そうでない方には十分な歯科診療が提供できない可能性も否定できないんです。虫歯でも、保険診療でかぶせ物にセラミックを選んだら10~20万円かかるケースもあるわけです。きちんと予防ができれば結果的に治療の費用を抑えることにつながりますし、何より歯へのダメージも少なくて済むと思っています。
健康な人も通いやすい心地良い空間に
ホワイトスポットについて、詳しく教えてください。

ホワイトスポットとは、歯の一部が白濁している状態のことを指します。このホワイトスポットは、病変ではなく先天的なエナメル質の形成不全が主な原因です。このホワイトスポットに対しては、歯を削らず酸で処理し、透明のレジンをしみ込ませるというケアを行います。痛みにも配慮されています。「前歯の白いしみが気になって思いきり笑えない」などでお悩みの方にお勧めしたいです。
ホワイトニング目的の方も多いとお聞きしました。
わりと幅広い年齢層の患者さんが来院されます。過去に別の歯科医院でホワイトニングをしたけれども白くならなかった、しみて困ったとおっしゃる方も多いですね。しみる場合には原因がありますので、当院ではその方の原因に合わせて、しみにくい方法を採用しています。歯の着色も一人ひとり原因が異なるため、問診で診断していきます。若い方は特に口腔内のトラブルがないと歯科医院に行く機会があまりないと思いますが、ホワイトニングでのご縁をきっかけに、予防やメンテナンスにも目を向けていただければうれしいですね。
口臭に対しての相談も行っているのですね。

口臭は多くの方が抱えるデリケートなお悩みです。当院には、家族や友人から指摘を受けた方、ご自身の口臭が気になる方などが相談に訪れます。来院時には口内ガスの採取をして口臭測定器で分析しながら丁寧にお話を伺います。歯周病などが原因の病的口臭は数値として現れることが多い一方、ご本人が感じる違和感や不快感は測定では表れにくく、他院で「問題なし」と言われた方も少なくありません。当院では、そうしたお悩みにも一つずつ原因にアプローチして、口臭を感じない状態を一緒にめざしていきます。口臭の悩みはデリケートなので相談すること自体が難しいものですが、悩みに寄りそっていきたいと思っています。
地域の読者に向けてメッセージをお願いします。
メンテナンスを続けているのに虫歯の治療が続く・歯周病が改善につながらないという場合は、必ず本当の原因があるはずです。検査やカウンセリングを通して、原因を突き止めて、悪くならない状態をめざしましょう。開業以来、健康な方が定期的に通えるサロンのような場所となるよう尽力してきました。リラックスできる雰囲気を大切にして、口の中の健康を保つお手伝いをしますので、どうぞ気軽な気持ちでご相談いただければと思います。クリニック近隣にある企業の歯科検診も企画していて、今後は地域にも貢献していきたいなと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは・改善メンテナンス/3万3000円~
・維持メンテナンス /1万6500円~
・メンテナンス/1万6500円
・歯科相談 (セカンドオピニオン)/45分 9900円
・虫歯修復治療(レジン充填)/1万6500円~6万6000円
・ホワイトニング/1万7600円~
・ホワイトスポットのケア(1歯)/5万5000円~
・口臭相談/45分 9900円