横木 広幸 院長の独自取材記事
いきいき.クリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2022/01/06

松江東インターから車で1分ほどの場所にある「いきいき.クリニック」。大きな窓から光が差し込む院内は明るく開放的。2階の透析室には、40床のベッドを備えている。血液透析による透析治療のほか、泌尿器科・内科・形成外科を掲げ、地域の人々の健康をサポートする同院では、横木広幸院長が泌尿器科、別府昌子副院長が内科、非常勤の医師が形成外科と、複数の医師が専門性を生かして幅広い疾患に対応している。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医として、頻尿や尿漏れの診療にも力を入れる横木院長は「できる限り力になりたいと思っていますので、頻尿や尿漏れでお悩みなら、どうぞお気軽にご相談ください」と優しく語る。気さくで親しみやすい横木院長に、クリニックの診療内容や診療の際の心がけ、今後の展望など幅広く聞いた。
(取材日2021年11月24日)
透析を中心に、泌尿器科、内科、形成外科と幅広く診療
まずは、クリニックの診療内容についてお聞かせください。

透析治療をメインに、泌尿器科、内科、形成外科と幅広く診療しています。透析の場合、松江市立病院や松江赤十字病院、松江生協病院で透析を開始された患者さんを受け入れることが多いですね。一般の診療では、私の担当である泌尿器科を火曜と金曜に、副院長の別府昌子先生による内科を月曜と水曜にと、それぞれ診療を行っています。別府先生の専門は糖尿病治療ですが、そこに限らず、内科疾患全般に対応しています。女性医師ということで安心される患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。形成外科に関しては、土曜日に松江赤十字病院の先生に来ていただいています。
複数の先生が専門を生かして診療にあたっているのですね。
医師同士が連携することで、より良い診療を提供できていると感じています。例えば、私が担当している透析患者さんでも、糖尿病の血糖コントロールが必要な場合は副院長にお願いします。また血液透析は、シャントと呼ばれる血管に針を刺して行うのですが、その部分が細くなって透析が維持できなくなることも。その際のカテーテル治療は私が行っています。さらに近年、透析患者さんの間で増加傾向にあるのが、下肢の末梢動脈疾患。足の血管が細くなり、しびれや痛み、歩行障害が引き起こされます。重症化すると、傷が治りにくくなったり潰瘍が生じたりして、下肢の切断を余儀なくされることも。当院では、形成外科の先生が診療することで、早期発見・早期治療に結びつけるようにしています。
クリニックの特徴は?

松江市立病院や松江赤十字病院など、地域の中核病院と緊密な連携を図っていることでしょうか。当院では内科から形成外科まで幅広い疾患の診療に対応していますが、当院で対応できない症例の場合は速やかに専門の医療機関に紹介。治療の結果、病状が落ち着いてきたら、再びこちらで診させていただくようにしています。透析患者さんに関しても、病状に応じて連携を図っていますね。また血液透析を行っているため、お一人お一人の患者さんと長い間お付き合いさせていただいているのも、当院ならではの特徴です。1回4~5時間の透析治療を、週3回実施。週末も祝日もお盆も正月も関係なく、ずっと通っていただくことになりますので。何十年もお付き合いしている患者さんも多いですね。
頻尿や尿漏れなど、尿トラブルの診療にも力を入れる
どのような患者さんが多いですか?

泌尿器科には「健診で尿潜血が陽性だった」「前立腺がん検診で異常を指摘された」などの理由で、再検査を受けに来られる方が多いですね。内科では糖尿病の患者さんが多いでしょうか。実は現在、透析患者さんの半数ほどが、糖尿病が原因で透析治療を始めているとされます。私も参加している松江市医師会の糖尿病性腎症重症化予防委員会では「糖尿病から透析に至る方を減らしたい」と、健診でタンパク尿などが見つかった患者さんを、専門の医療機関に速やかに紹介するシステムの構築をめざしています。当院の内科もそうした患者さんを受け入れる役割を担っています。加えて、糖尿病治療では治療の離脱を防ぐことも大切なので、治療を中断された方に、こちらから連絡を取って受診を促す取り組みも行っております。
泌尿器科では、頻尿や尿漏れの診療にも力を入れているようですね。
はい。夜間に何回もトイレに起きる夜間頻尿を患うと、日中に眠気を催し、日常生活に支障を来すことも。中には、夜中にトイレに行く途中で転んで骨折してしまう方もいます。ただ、一言で「頻尿」といっても原因や症状は人それぞれです。診断のために1日分の排尿の時刻と量を記録した結果、水分を取り過ぎていることがわかることも。そういった場合、生活習慣の改善が症状の緩和に役立つ可能性もあります。また尿漏れに関しても、お悩みの方は多いものです。若い女性でお悩みの方もいますし、不安のために外出の頻度が減る方もいらっしゃいます。状態に応じた適切な治療方法でサポートいたします。できる限り力になりたいと思っていますので、頻尿や尿漏れでお悩みなら、「年のせい」などと諦めず、どうぞお気軽にご相談ください。
尿トラブルにも親身に対応してくださるのですね。

現在、排尿障害のために病院で尿道カテーテルをつけ、その交換のために通院される患者さんも増えています。しかし、中には必ずしもカテーテルが必要とはいえないケースも見受けられます。ご相談くだされば、泌尿器科の観点から留置を継続する必要があるかどうか適切に判断して差し上げられると思います。また、排尿障害を患うご高齢の患者さんの場合、ご本人がおつらいのはもちろん、ご家族が困っていらっしゃることもあります。そうしたケースでも、紙パンツを使用することなど介護が楽になる方法をご提案できるかもしれません。どんな方法が適しているかを見極めるためにも、一度ご相談いただければ幸いです。ご高齢の方、お体が不自由な方の排尿管理という点でもお力になりたいと思っています。
働きやすい環境を整え、より良い医療の提供をめざす
診療の際にはどんなことを心がけていますか?

患者さんの緊張を和らげるため、世間話を交えながら接するよう心がけています。泌尿器科はご高齢の患者さんが多いのですが、私は雲南市出身ですので方言も含めて、ご高齢の方と話すのは得意にしています(笑)。顔なじみの患者さんと世間話を楽しむことも。また、「尿」というデリケートな問題を扱っているからこそ、患者さんの立場に立って親身にお支えしたいとも思っています。実は私自身、少し前に大きな病気をして、一時的に人工肛門の装着を経験しました。トイレの面でとても苦労しましたが、その時に「こんな状態が続くと外出もままならないだろうな」と、患者さんのおつらい気持ちを実感することができました。排泄は、人の尊厳にも関わるデリケートな問題です。お困りの症状が少しでも改善されるようにお手伝いしたいと思っています。安心してご相談ください。
働きやすい環境づくりにも取り組まれているようですね。
当院はスタッフの健康管理に配慮する「健康経営」に注力しており、経済産業省の「健康経営優良法人2021」にも認定されました。スタッフたちやそのご家族が幸せになれば、当院を利用される患者さんにも良い影響が及ぶと思うのです。それで朝礼の際にラジオ体操を実施したり、有給休暇の取得を推奨したりするなど、スタッフたちが健康を保って無理なく働ける環境を整えるよう努めています。さらに産業医サービスを活用するなど、メンタルヘルス対策にも力を入れています。自分自身が大変な状態で、患者さんに尽くすことは難しいですよね。スタッフたちが安心して働ける環境を整えることが、患者さんにより良い医療を提供することにつながると思うのです。
最後に、今後の展望や読者に向けたメッセージをお願いします。

今後も透析を中心に幅広い疾患の治療に対応し、地域の皆さまの健康をお支えしていくことをめざしています。もし頻尿や尿漏れでお困りなら、「年を取ったから」「命に関わらないから」などと諦めないでください。そうした症状を改善することは、人生を楽しく生きる上で大切なことだと思うのです。尿漏れを訴える患者さんの中には、よくよく事情をお聞きすると、足が不自由なためにトイレまで時間がかかることが原因の場合も。そのような場合、ポータブルトイレを使用したり廊下に手すりをつけたりすることで状況が改善できるかもしれません。原因が明らかになれば、適切なアドバイスを行うことができます。お困りになっていることがあれば、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。