増原 建作 院長の独自取材記事
増原クリニック
(大阪市北区/天満駅)
最終更新日:2025/03/07

大阪環状線・天満駅から徒歩9分、桜ノ宮駅からも徒歩10分というアクセスの良い場所にある、整形外科とリハビリテーション科の診療を行う「増原クリニック」。1階には診察室とリハビリ室、2階には手術室とレントゲン室、3階には完全個室の入院施設が整った股関節治療に特化したクリニックだ。院長を務める増原建作先生は、長年人工股関節手術に携わり、現在の低侵襲な人工股関節手術確立に尽力してきた一人。現在は同院にてチーム医療を軸とした、手術・リハビリ・看護ケアが一体となったトータルケアを提供している。「動ける喜びを、たくさんの人に届けたい」と優しく笑顔で語る増原院長に、開業のきっかけや同院の特徴についてたっぷりと話を聞いた。
(取材日2025年2月7日)
人工股関節手術を中心としたトータルケアをめざし開業
開業の経緯とこれまでの歩みについて教えてください。

私はこれまで大阪大学医学部附属病院や大阪病院(旧・大阪厚生年金病院)などで、長年にわたって人工股関節手術を中心に診療を続けてきました。そこで感じたのは、トータルケアの重要性です。股関節治療では手術はもちろん、リハビリ、看護ケアがバランス良く行われなければ、健康な時の歩き方に戻ることは期待できません。大きな病院はあくまでも手術がメインとなっているため、患者さん一人ひとりに向き合った看護や術後リハビリは難しいのが現状です。ならば、十分なトータルケアができるクリニックをつくろうと思ったのが開業のきっかけです。股関節治療に特化したクリニックとして2008年に開業し、今では全国から患者さんがお越しになっています。
この地域で開業されたのは、なぜですか?
当院にお越しになる患者さんは、歩くと痛かったり、歩行しづらかったりする人が大半です。そのため開業地は、駅から近く、また他府県などの遠方からもアクセスが良いところで検討しました。ここは大阪環状線の天満駅や桜ノ宮駅から徒歩で10分弱という立地で、大阪駅までも近く、新幹線や飛行機などの連絡も至便です。また1階には専用駐車場も備えました。立地や設備だけでなく、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えることが大事だと考えています。例えば、開業直後から開催している市民講座や股関節教室もその一環です。先進治療についてや手術後の過ごし方などのアドバイスを行い、当院で治療を受けた方が快適に過ごせるように、また地域の方が股関節の疾患で悩むことがないようにと続けています。
どのような患者さんが多く来院されていますか?

当院は股関節治療に特化していますので、股関節に不調のある方が圧倒的に多いです。ですが、土曜にも診療していることもあって、ご近所の方が急に腰が痛くなった、膝が痛くて歩けないといった訴えで来られることもあります。そういった場合にはある程度こちらで診療し、必要に応じて連携する病院やクリニックをご紹介しています。股関節を悪くする原因は、主に加齢によることが多いですが、近年は食生活の欧米化により体格が大きくなりすぎてしまったという人も増えています。タイミングが合えば生活習慣の改善を目的とした入院治療も実施しています。また小さい頃の股関節の不具合で両足の長さに差が生じ、姿勢や歩き方がゆがんでしまったという方が手術を求めてお越しになることもあります。股関節において豊富な手術実績を重ねていることから、幅広い年齢層の多様な患者さんがお越しになっているのも当院の特徴です。
集中的なリハビリを行うことで、早期回復を図る
「股関節のトータルケア」を提供するクリニックとしての強みを教えてください。

当院は、治療に十分な時間をかけて行うことを大切にしています。近年、入院期間が短縮される傾向にある中、当院では4週間とゆったりとした入院期間を確保していることが特徴です。さらに入院中は土・日・祝日関係なく365日、毎日2回のリハビリを実施しています。一般的な入院期間に比べると2倍以上、またリハビリ時間で比較するともっと多くの時間をかけていることになりますから、退院時に揺れや変な癖がついた歩き方のままということもほとんどありません。これほど股関節のリハビリに時間をかける施設は世界的にも少ないと思われます。さらに入院患者さんの人数に対して看護師の割合が多いのも強みといえます。身体的にも精神的にも手厚い丁寧な支援をめざしています。
力を入れている診療内容や治療法はありますか?
手術では、人工関節置換術に力を入れています。変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死症などで股関節に重度の変形が見られる場合には手術が必要です。長年放置していて姿勢がゆがみ、ほかの関節まで悪くなるケースも少なくありません。また以前は「人工股関節の手術は60歳まで待つほうが良い」といわれていましたが、現在はその傾向は変わってきています。人工関節部位の性能が上がり、10年、20年はもちろん、手術後30年を超えても問題がなく歩けるような機能と耐久性が期待できます。人工関節の種類は100種以上あり、当院ではさまざまなデザインや機能性のある人工関節の中から、患者さんの状態や年齢、ライフスタイル、個性などに合わせて、お一人お一人に合った人工股関節を選りすぐってご用意するようにしています。
患者さんと接する際に心がけていることは?

患者さんのお一人お一人との信頼関係を大事に、心の通じた診療を心がけています。患者さんの中には手術に躊躇される方もいらっしゃいます。治療の進め方は患者さんの性格やお気持ちに合わせて進めることが重要。例えば、手術が必要な場合にも患者さんの不安が大きいと感じた場合には、まずはリハビリや投薬などの保存療法からスタートすることもあります。リハビリ室で理学療法士やほかの患者さんとコミュニケーションを取るうちに、手術をする決心がつくというケースもあるようです。人工股関節を長く保つには、術後のメンテナンスが非常に大切です。当院の5年後の再診率は9割を超えており、10年目以降でも8割を超えています。これほど再診率が高いのは患者さんとの信頼関係がきちんと構築できている結果でしょう。当院の誇りでもありますね。
専門性の高い治療を追究し、「動く喜び」を提供
ところで、院長はなぜ医師をめざし、股関節治療に特化されようと思ったのですか?

私の父は大学の学長や総合病院の院長も務めた整形外科の医師でして、その影響は大きかったですね。父と同じ整形外科の医師として研鑽を重ねていた時に、新しい治療法として伝わってきたのが、人工股関節手術でした。当時は助手として手術に携わっていたのですが、今とは違って、まだまだ手術時の出血量も多く、時間もかかるものでした。ですが、海外留学の経験から、「今後はこの治療法が主流になっていくだろう」という確信があったんです。そこで、もっと低侵襲で安全性の高い治療法にできないかと、股関節手術を専門にして力を注いでいきました。今では手術時の出血も少なく、低侵襲な手術となっています。手術に不安がある人もいるでしょうが、術後に家族との旅行やゴルフなどの趣味を楽しむといった「動く喜び」を取り戻すことが期待できるということを、まずは知っていただきたいですね。
今後の展望や取り組みについてお聞かせください。
「股関節のトータルケア」をさらに進化させるため、もっとお一人お一人の患者さんに寄り添った治療を提供していきたいですね。例えば、年々改良が進む人工股関節に関して、エビデンスや実績なども慎重に検討しながら、先進の人工関節を積極的に導入していきたいと思います。またトータルケアではスタッフの力が欠かせません。理学療法士のスキルアップはもちろん、看護師も勉強会などに参加し、股関節に関する専門的な知識習得に努めています。クリニック全体でさらに専門性を高めていけたらと思います。
地域の皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。

治療というのは、多角的に患者さんを支えていくことが大切です。その一環として、当院では入院中のお食事にも力を入れています。それが患者さんのエネルギーや元気につながりますからね。医師、看護師、理学療法士、診療放射線技師、受付事務、調理スタッフと、多職種で連携を取り、診察から手術、入院、術後リハビリと一貫して同じスタッフが診てくれる。そんなきめ細かなサービスが提供できるのも、当クリニックならではです。「もう遅すぎるのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、90代でも手術を受けることは十分可能です。悩まれる前に、まずはご相談ください。