大竹 淑子 院長の独自取材記事
コスモスデンタルクリニック
(千葉市花見川区/幕張駅)
最終更新日:2026/08/12
JR中央・総武線幕張駅から徒歩3分の「コスモスデンタルクリニック」。木を随所に使ったぬくもりある院内に、ベージュと白を基調にした穏やかな空気が流れている。院長の大竹淑子先生は祖父、父から続く3代目の歯科医師として、地域の患者とともに歩んできた。親子3世代で通い続ける家族がいるほどの深い信頼関係は、「必ず一つは褒めようと思っています」という患者の心に寄り添う診療姿勢から生まれたものだろう。数年前には利き腕の右肩の人工関節手術を経験しながらも約3ヵ月で現場復帰を果たすなど、歯科医師としての情熱は衰えを知らない。謙虚で飾らない人柄ながら、麻酔技術への自信ものぞかせる大竹院長に、これまでの歩みと診療への思いを聞いた。
(取材日2026年7月23日)
3代続く歯科の志を胸に、幕張の地に根を下ろして
まずは、歯科医師を志されたきっかけを教えてください。

私は歯科医師として3代目にあたります。東京歯科大学を卒業し、祖父と父も同大学の前身である東京歯科医学専門学校の出身です。幼い頃から歯科医院は自宅のすぐ隣にありましたので、歯科が身近にあるような日常でした。大変そうだなとは感じていましたが、祖父から「歯科医師になってね」と繰り返し言われるうちに、自然とこの道を意識するようになりました。高校生の頃、1つ下の弟が医師をめざしていたので、じゃあ私がと決意したのが本格的なきっかけです。父は「後を継がなくてもいいから、歯科医師という職業を選んでくれたらうれしい」と言ってくれていました。押しつけではなく自分の意志で選んだ道だからこそ、ここまで長く続けてこられたのだと感じています。
こちらで開業された経緯をお聞かせください。
もともとは新検見川で歯科医院を開いていたのですが、さまざまな事情を経て2005年に幕張へ移転し、新たに開業しました。実は移転よりかなり前から幕張地区の中学校で学校歯科医を務めていたこともあって、この土地にはちょっとしたご縁を感じていたんです。新検見川は歯科医院の多い地域でしたが、当時の幕張地区はまだ少なかったこともあり、一駅の距離なら患者さんも通ってくださるだろうと考えました。ありがたいことに、以前から通ってくださっていた方々の多くがそのままついてきてくれましたので、新しい場所ではありましたが、信頼関係のある方々と一緒に再出発できたような感覚でした。幕張駅から徒歩3分という立地も、長く通い続けてくださっている皆さんにとって便利だったのではないかと思います。
院内の設備や環境づくりについて教えてください。

当院で特にこだわったのは、全3台のユニットに備えつけた排気の仕組みです。2005年の開業時から、診療時の排気がダクトを通じて機械室へ出ていく設計にしております。隣のユニットに排気が流れないようにしていますので、新型コロナウイルス感染症流行下でも患者さんに「隣の方の排気は来ませんから安心してくださいね」とお伝えでき、とても心強い設備でした。配管の問題もあって後から導入するのが難しいため、開業時にこだわって入れておいて良かったと実感しています。また、歯科用CTを導入して精密な診断に対応しているほか、滅菌消毒コーナーは患者さんのスペースと分離して機能的に整えています。院内には木を随所に使い、温かみのある落ち着いた雰囲気を大切にしました。
「必ず一つは褒める」。心に寄り添う診療のかたち
どのような患者さんが来院されていますか。

長い方だと新検見川時代から40年以上通い続けてくださっている患者さんがいますし、親子3世代で来てくださるご家族もいらっしゃいます。すでにお見送りされたご家族のことを「おじいちゃんはああだったね、おばあちゃんはこうだったね」とお話しすることもあり、その方の歴史を共有できるのはこの仕事の大きな喜びですね。ご家族ぐるみで通ってくださる方も多く、ご主人のことも知った上でお話しができる、そういう関係性が当院の特徴だと思います。最近は患者さんの高齢化も進み、朝一番の予約から埋まっていく状況です。かかりつけ医として日々の診療にあたりつつ、難しい症例については大学に残っている同期や近隣の病院へ紹介できる体制を整え、安心して相談していただけるようにしています。
患者さんとの接し方で心がけていることはありますか。
必ず一つは褒めようと心がけています。例えばお口の中の状態があまり良くない日でも、いきなりそこだけを指摘するのではなく、まず「今日はお疲れですか? お仕事忙しい?」と声をかけるんです。背景を気遣った上で「だからここが少し汚れているんだね」とお伝えすると、受け止め方がずいぶん違うものです。なるべく嫌な気持ちにならないように帰っていただきたい、それが私の基本姿勢です。こうした思いは、自分自身がさまざまなつらい経験を重ねてきた中で強くなりました。少しでも気持ちが沈んでいるなら、ここで吐き出して楽になってほしいという気持ちが根底にあります。女性同士だからこそ話せることもありますし、家庭の悩みや体のことなど、カウンセリングのような役割を担うこともあるんですよ。
診療面で特にこだわっていることはありますか。

麻酔には自信があります。なるべく痛みを感じさせないよう手技を長年心がけてきましたし、その積み重ねは歯科医師として何よりの誇りです。痛みに敏感な方や、過去に怖い思いをされた方にも、できる限り配慮した麻酔を心がけておりますので、気軽にご相談ください。現在の診療はメンテナンスやクリーニングが中心になってきています。自分での対応が難しいと判断した処置については、信頼する口腔外科の友人や専門の医療機関に紹介しており、無理をせず的確につなげることも大切な役割だと考えています。
困難を越えたからこそ、届けたい言葉がある
これまでに、心境が大きく変わるような経験はありましたか。

数年前、家族を見送り実家じまいに追われていた時期に、疲労から転倒して利き腕の右肩を骨折し、人工関節の手術を受けました。エックス線を見た周囲からは「もう復帰は無理でしょう」と言われましたが、不思議と自分がこの仕事をやめる未来は想像できなかったんです。退院時は書類にサインする力すら入らず、器具の着脱はすべてスタッフに頼る状態でした。家事の動作で回復を確かめながらリハビリテーションを重ねる中、一度だけ心が折れかけた時に看護師の友人から「動かすための手術でしょう、何のために手術したの」と叱られ、また前を向けました。約3ヵ月で復帰した際、娘が「肩を折ったのは運が悪いけど、それ以外は全部運が良いね」と言ってくれたんです。自分が動ける限り、いただいた命はお返ししていきたいと思っています。
今後についてはどのようにお考えですか。
今の私の役割は、歯科衛生士をはじめスタッフが仕事しやすいように環境を整えていくことだと思っています。メンテナンスやクリーニングが診療の中心になっていますので、私がその土台をしっかり支えていきたいですね。また、いずれはクリニックと患者さんを自然な形で引き継いでくださる方にお任せできればと考えており、そのためのお話も少しずつ進めているところです。焦らず、患者さんに安心していただける形を探っていきたいと思います。今できることを一つ一つ丁寧に積み重ねていく、それが私にとって大切な姿勢です。休日にはお芝居や音楽鑑賞に出かけるのが楽しみで、ミュージカルやピアノのコンサートなどを観に行くと気持ちがリフレッシュされます。そうした時間が日々の診療に向かう活力にもなっているのだと感じています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

地域のかかりつけ医として、皆さんのお口の健康をお手伝いさせていただければうれしいです。歯科治療に対して痛みへの不安をお持ちの方や、過去に怖い思いをされた方もいらっしゃるかと思いますが、麻酔には自信を持って対応しておりますので、どうか安心していただきたいと思います。言霊というわけではありませんが、人は言葉で随分と力をいただくものだなと、自分自身の経験を通じて感じています。娘や友人の何気ない一言に何度も救われてきたからこそ、私も患者さんには良い言葉をかけてあげたい。診療の中でお口のことだけでなく、少しでも気持ちが軽くなるような時間を過ごしていただけたら、歯科医師としてこれ以上の喜びはありません。どんな些細なことでも気軽に相談していただける場所でありたいと願っています。

