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並木 泰次 院長の独自取材記事

なみき歯科医院

(千葉市稲毛区/稲毛駅)

最終更新日:2021/10/12

並木泰次院長 なみき歯科医院 main

JR中央・総武線の稲毛駅から徒歩3分の場所にある「なみき歯科医院」。院長を務めるのは並木泰次先生。地域柄、幼稚園児や小学生のいる家族が来院する同院は、虫歯治療やフッ素塗布など一般歯科診療も行うが、並木院長が得意とするのは「本来の歯を保存する治療」。他院で抜歯を宣告された人もセカンドオピニオンとして多く訪れているという。抜かざるを得ないことがあるものの、患者のおいしく食べられる日常を守るため、極力、非抜歯治療法にトライするという。実生活では4人の娘を持つパパで、「娘が歯科医師になってくれたら、私が教えてもらえるからいいよね」と楽しそうに話す。キャリアと謙虚さを併せ持つ並木院長に、話を聞いた。

(取材日2015年7月20日/更新日2020年1月30日)

本来の歯を残すために最善を尽くす

ご専門は保存修復学とお聞きしました。

並木泰次院長 なみき歯科医院1

日本大学松戸歯学部付属病院で11年半、歯の保存と根っこの治療をしてきました。抜くことをメインとする口腔外科とは反対の分野になりますね。現在も月に2回、大学病院に勤務しています。他院で抜かないといけないと言われた方がセカンドオピニオンを求めて来院します。残せる歯もありますし、根っこが折れてしまっているなど、残念ながら残せない歯もどうしてもあります。

抜かずに、できる限り本人の歯にこだわるのはなぜですか。

親知らずを移植してまで本人の歯にこだわることもあります。なぜなら、脳に噛み応えを伝える上で重要な歯根膜という組織が歯の根っこにあり、それを残したいからです。インプラントでも入れ歯でも噛めるようになりますが、噛む感触などを味わうことができません。一番おいしくいただけるのは自分の本来の歯。インプラントや入れ歯は見た目や機能の改善が見込めますが、五感に訴えるためには歯根膜が大切なのです。

おいしさを楽しむには自分の歯が一番なんですね。

歯は一人ひとり違うんです。同じ人の歯でも、根っこの曲がり具合や神経の管の数などが左右で違います。もちろん上下でも違います。この神経の管を根っこの先端まで開けなければ再治療になる可能性が高くなります。当院では、その穿通にこだわり根管治療を行っています。歯にはおおまかなルールがありますが、実際に歯をのぞいてみるまでどうなっているのかはわかりません。すべての治療がオーダーメイドなんです。何十年も治療をしていますが、いまだにドキドキです。「この症状は3回で終わる治療」と一概に言えないんです。無理に終わらせようとすると、何度も治療を繰り返さないといけないはめになるので、一人ひとり、一歯ずつ診ていくことが大事なのです。

大学病院での経験が長いですが、クリニックとの違いはありますか。

並木泰次院長 なみき歯科医院2

大学病院には、クリニックでは治療が難しい症状の患者さんが来るわけです。そういう難しい症例を初診で信頼関係がない中、進めていかないといけないのが大学病院ですね。患者さんも大学病院には期待しているんですよ。その期待感はひしひしと感じます。でも、それまでにまったく関わりのなかった患者さんですから、信頼関係を構築して良い結果を出すのは難しいですね。クリニックでは、自分の診療分野以外は専門の先生を招いていて、外科処置は大学病院の先生に来ていただいています。自分がやれることを正確にやることが、患者さんの利益につながると考えているんです。

リラックスできる空間で、信頼関係を大切にした診療を

心がけていることを教えてください。

並木泰次院長 なみき歯科医院3

当院でも大学病院でも、よく説明することは心がけています。患者さんはうなずいてくれるのですが、3割理解していただけたらいいと思っています。しかし、そのまま治療を進めるのではなく、3割を4割、5割と、少しずつ理解度を上げていきます。それをやらなかったら患者さんから不平不満が出るのは当然ですよね。患者さんには知る権利がありますから。あとは、10年先、15年先にどうなっているのかを見据えて判断することも大事な心がけです。「ここで抜いたらこの歯はどうなるのか」「ブリッジにしたらこの人はどうなるか」などと、この1本に手をかけることによるメリットとデメリットを中長期的に見た上で治療をします。それを患者さんに説明するわけです。

開業するにあたってコンセプトはありましたか。

大学病院レベルの診療を、街のクリニックで保険診療の範囲で実現していくことをめざしました。例えば、治療の精度をワンランク上げるために、根っこの治療や虫歯、上の歯の治療をするときに便利なマイクロスコープを導入しています。もちろん保険診療です。私がよく見えるようにするために使っているものですから、患者さんに負担をかけることはありません。一方で、雰囲気は大学病院とは異なるものをめざしました。歯科っぽくなく、一般家庭に入る気持ちで来院できるように、ソファーもリビングにあるようなくつろげるもので、看板もなるべく小さくしました。「知る人ぞ知る歯科」になりたかったんです。実際に、紹介やクチコミサイトなどをきっかけに来院してくれる患者さんが多いので、それはうれしいですね。でも、当初予定していたよりも患者さんが多くなり、お待たせしたり予約が取れなかったりすることがあるので、そこは改善点だと思っています。

同院が信頼を得られた理由は何だとお考えですか。

並木泰次院長 なみき歯科医院4

治療で諦めないことでしょうか。すぐに抜歯するのではなく、「最終的には抜歯になってしまうかもしれませんが、これをやってみませんか」と可能性のある治療に挑戦することです。どんな歯でも保存できるわけではありません。それでも1回は可能性にかけてみる。自分の歯だったらどうするか、と考えてみれば諦めないと思うんですよ。患者さんの歯だったら削ったり抜いたりしていいということはないですからね。

予防歯科に注力し、通いやすい歯科医院をめざす

歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

並木泰次院長 なみき歯科医院5

父と母が住居併用の歯科医院を開業していたので、小さい頃から診療所に顔を出し、父母の姿を見て育ちました。父は大学教授も務めました。お金をいただいた上で「ありがとうございます」と言っていただける職業って、なかなかないでしょう。いいなと思いました。自分が歯科医師になって、歯科治療は簡単なことではないと感じています。つらいことですから、わが子に「やれよ」とはたやすく言えません。だからこそ、患者さんに喜んでもらえると、疲れが一気にとれますよね。

お休みの日はどんなふうにお過ごしですか?

あんまり休みがとれないんですよ。土日も診察していますからね。でも、たまの祝日はできるだけ子どもたちといてあげたいですね。うちは娘が4人で、女の子ばかりだから私の居場所がない(笑)。それでも、子どもたちとはよく話します。学校のことは一人ひとりに直接聞いて、どの娘の友達の名前も5〜6人は言えますよ。くだらない話でもいいので、やっぱり家庭内で話すことって大事だと思いますね。実は長女が歯科医師になりたいと言っています。つらい仕事だけど、そこにやりがいを見出してくれるなら、やってくれたらうれしいです。20年後に娘から新しい治療を教えてもらえるのが楽しみです。でも、娘はまず鶴を上手に折れるようにならないとなぁ(笑)。

学生時代は部活をされていたのですか。

弓道部でした。練習がつらかったですね。いきなり弓は引けませんから、基礎体力をつけることも矢飛びには大事なことなんですよ。日本の武道、特に礼に始まり礼に終わる「道」が好きです。弓道でも、射場に入る時と出る時は頭を下げて感謝します。「道」は極めたものなら何事にもあると思うんですよ。もちろん、歯科の道を究めれば「歯科医師道」なんです。道を究めるということを、弓道を通して知り、身につけることができました。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

並木泰次院長 なみき歯科医院6

患者さん1人が月2回くらいしかアポイントを取れない状況を改善できればと思い、ユニット台をさらに1台増やしました。今後は、予防歯科に力を入れていきたいです。ちゃんとメンテナンスしている人の歯は口腔内の様子が、メンテナンスしていない人の口腔内とはまったく違いますからね。働いている人はリタイアして時間ができると来院し始めるのですが、「20年前にお会いできればよかったのに」と思うことも少なくありません。少しでも軽度なうちに来院してもらえるように、通いやすい環境をつくっていきたいと思います。歯は治療で削ったりした瞬間から悪くなっていきます。理想は予防して自分自身の歯を守り続けること。虫歯になる前に来てもらいたいですね。

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