岡田 誠 院長の独自取材記事
岡田クリニック
(北九州市小倉南区/志井公園駅)
最終更新日:2022/09/15

緑豊かで閑静なエリアの中で、スタイリッシュな外観・内装がひときわ目を引く「岡田クリニック」。面白い建築を見るのが好きな岡田誠院長の、見るものを楽しませたいという気持ちから設計されたクリニックだ。この地で生まれ育った岡田院長は、西洋医学と東洋医学を柔軟に融合させた治療で日々多くの患者の健康をサポート。漢方薬など東洋医学ならではのアプローチで患者の体に優しく寄り添う。さらに、精神的な余裕を持ちにくい現代において「無理せず休んでほしい」というメッセージを発信する、温かい人柄の医師だ。自らが注力したい分野への情熱を燃やしつつ、バランスを保ち客観的な姿勢で診療にあたる岡田院長。東洋医学にはどのような魅力があるのか、医療に対する考えや同院の診療内容を通して詳しく聞いた。
(取材日2022年8月10日)
東洋医学と西洋医学を柔軟に組み合わせた治療を提供
こちらに開業した理由や、医院のコンセプトを伺います。

私が中学生の時にがんで亡くなった祖父が、「将来ここで開業してほしい」と言い残したのがきっかけです。生まれ育った土地とはいえ開業の条件としては良いとはいえなかったのですが、偶然にも土地に空きが出たので故郷で開業することになりました。医療における考え方としては、漢方を取り入れた東洋医学を診療の柱とし、そこに西洋医学をうまく組み合わせた医療を実践しています。どちらか一方ではなく、症例に応じて双方の良いところを柔軟に生かすスタイルですね。ただ、西洋医学の視点で物事を考える際は東洋医学をいったん頭から切り離す必要があり、逆もまたしかり。東洋と西洋の医療を並行して行うには、脳を都度切り替えないといけないんです。
西洋医学と東洋医学の特徴や良いところを、それぞれ教えてください。
西洋医学は数字にもとづくエビデンスにより構築されておりますが、東洋医学は経験の集積による医学といえます。例えるなら、西洋医学は都会的な思考に基づいた、0か1かのデジタルな世界。東洋医学は野性的な感覚を大切にしたアナログな世界です。それぞれに得意、不得意がありますので、一概にどちらが優れているとはいえません。また、やりたい医療に突き進み、漢方のみになってしまうと全体のバランスが悪くなってしまいます。そのため、勤務医時代にしっかり学んできた西洋医学の質を保ち、その上で東洋医学もご提供するスタンスをとっています。
先生が東洋医学と出合ったきっかけは何ですか?

東洋的なものに漠然と憧れていたのか、実は高校時代から東洋医学には興味がありました。そして大学入学の面接で「東洋医学と西洋医学をミックスしたら良いと思います」と言ったら大笑いされましたね(笑)。いざ医師になってからは東洋医学のことはすっかり忘れていたのですが、開業後に思い出したように「やっぱり東洋医学を学ぼう」と決意しました。きっと、頭の片隅に当時の思いがずっと残っていたのでしょうね。各種研究会に出席し、さらには漢方治療に先駆的に取り組んでいる専門家のもとへ足を運び、研鑽を積みました。とはいえ、めざす医療を確立するにはまだまだ勉強が必要です。
患者の心と体を追い詰めない、優しい診療がモットー
患者さんの傾向や、漢方治療を行う症状・疾患について教えてください。

患者さんは女性の方が比較的多いです。女性は月経・出産・更年期・閉経と、各ライフステージで体の変化にまつわる症状が現れます。それに伴い体の感覚も変化しやすい分、漢方のニーズが高いのだと思いますね。ご来院のきっかけとしては、ご家族やご友人のご紹介でいらっしゃる方も多く、結果的に幅広い年代の患者さんにお越しいただいています。漢方治療は風邪・喘息・アトピー性皮膚炎・肩や膝の痛み・更年期障害をはじめ、東洋医学的なアプローチが適切と判断すればどのような症状・疾患にも使用します。ただし、先に西洋医学的な診断を行うべきケースにおいては、他科の専門家への受診をご案内しています。漢方治療は注力こそしているものの、必ずしも第一というわけではありません。西洋医学による診断・治療を実施し、改善しなければ漢方という流れで治療を進める場合もございます。
診療で心がけていることは何ですか?
自分のエゴを押しつけた、独りよがりの治療になってしまわないよう心がけています。そのためには、ソフトな雰囲気や患者さんとの良好なコミュニケーションが何より大事だと考えています。漢方の勉強でいろいろな先生のところへお邪魔する際、先生方の対応や説明の仕方などもこっそり参考にしていますね。あとは、患者さんを追い詰めない診療をモットーとしています。病気が治る確率を治療法ごとにお示しして説明することはわかりやすいし納得できる場合も多い一方で、治療を受ける側も、また同時に提供する側も固苦しさを感じると思うのです。東洋医学ならではの、身体感覚に基づいた、お互いにとって優しい診療を実現できるよう努めています。
胃・大腸内視鏡検査にも対応しているそうですね。

健康診断の便潜血検査で陽性だった方はもちろん、受診時に胃の不調などの訴えがある方も対象とし、検査の際は見逃しがないように細心の注意を払っています。大腸がんの患者さんは増加傾向にあり、ピロリ菌がいないタイプの胃がんも最近は増えています。そして、いずれもかなり進行した状態になるまでは目立った症状は現れません。健診で異常を指摘された場合、本来ならば内視鏡検査は必須です。少しでも気になることがありましたら、ぜひ一度検査にお越しください。
東洋医学を発展させたい
現在、特に力を入れている考え方はありますか?

脈を診ると同時に、経絡(けいらく)にある経穴(けいけつ)というツボを押しながら不調の原因を探っていく方法に力を入れています。これをすることで、漢方の方剤の方向性も考えていくことができますので、一度体験してみると面白いと思いますよ。
東洋医学には多くの魅力があるのですね。
漢方を使った治療が功を奏した場面に多数立ち会ってきた私としては、漢方のような伝統的な医学は完全に西洋医学に置き換えることは不可能であり、国が主導などしてもっと大切にするほうが良いと考えています。実際、東南アジアや中国などの国々では自国の伝統医学をきちんと保存し、発展させようとしていますしね。わが国で東洋医学を積極的に取り入れている医師たちは、東洋医学が失われないよう日々奔走しています。漢方や脈を診たりツボを押して体の状態を把握する方法など、東洋医学ならではのアプローチを、一人でも多くの方に面白いと感じていただきたいですね。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

現代は仕事などを頑張りすぎて体調を崩す人が多いので、皆さんにはあまり無理をせず、しっかり休んでいただきたいですね。そして病気が発症してはいない「未病」の段階から予防に取り組めればと思います。東洋医学にご興味がある方はもちろん、健康に不安をお持ちの方も、些細なことでも結構ですので気軽にご相談ください。