楠田 崇 院長の独自取材記事
くすだ歯科医院
(久留米市/宮の陣駅)
最終更新日:2024/12/12

「ご縁をいただいた一人ひとりの歯と心と人生が、ピッカピカに輝く歯科医院をめざしています」と、とびっきりの明るい笑顔で答える「くすだ歯科医院」の楠田崇院長。2004年久留米市街地に開業して以来、診療の二本柱として取り組んできたのが歯周病治療と噛み合わせ・顎関節症治療だ。重度歯周病をターゲットとした非外科的治療法として注目を集める先進の歯周病治療器や、顎の位置を測定する咬合診断システムなどを導入し、精密な診断と治療につなげている。「患者さんにとっても、ここで働くスタッフにとっても、温かく居心地の良い空間をつくりたい」という楠田院長に、診療の特徴や新しい歯周病治療器を取り入れた背景、患者やスタッフへの思いを聞いた。
(取材日2024年11月7日)
「一歯入魂」でワクワク楽しい食生活をサポート
オレンジ色のTシャツがお似合いです。

ありがとうございます。私の好きな色で、もう15年くらいこのスタイルで診療にあたっています。以前は患者さん親子100人規模のクリスマスパーティーを近所の公民館で開催していて、その時にスタッフTシャツとして作ったものです。パーティーは9年ほど続けたのですがあまりに私たちスタッフの労力が大きく、体力的にも厳しくなって今はもうやっていませんが、このTシャツは歯医者っぽくないのが気に入って使い続けています。一般的に歯科医院に対する感情ってどうしてもマイナスからのスタートになってしまうので、それをどうやってゼロベースに持っていくか。特にお子さんたちに少しでも、行きやすい、怖くない、痛くないというイメージを持ってもらえるかという思いで着ています。
歯科医師になろうと思ったきっかけは何ですか?
父が歯科医院で使う医療機器のメーカーに勤めていて、私も小さい頃から父について取引先の歯科医院に行ったり、先生のお宅で開かれるパーティーに呼んでいただいたりしていたので、歯科医師という仕事は身近でしたし憧れてもいました。小学校の卒業文集には「将来は歯科医師になる」と書いていますよ。そして鹿児島大学歯学部に入学。その時点でもうなるべく早く開業したいと思っていて、大学院に残って研究とか勤務医を続けるとかいう道は頭にありませんでした。私の性格として、自分の思いを形にして実現したいという気持ちが強いのだと思います。2004年に開業するまで久留米には縁がありませんでしたが、父が見つけてくれた場所だったのでそれなら間違いないだろう、何とかなるだろうと私も楽観的なものですから(笑)。思い切りました。
開業から20年になります。大事にしてこられた診療方針を教えてください。

私たちの合言葉は「WAKUWAKU HAPPY」です。診療の方向性について考えていた時にたまたま読んだ本に感銘を受け、それをモチーフに決めました。私が常に心がけているのは、患者さんやスタッフにとって笑顔あふれる快適な空間をつくること。そして期待を超える治療と予防で、患者さんのワクワク楽しい食生活をサポートし続けることです。ホームページでは当院の行動理念10条や大切にしている4つの価値観を公開。私がめざす歯科医院の柱となるものを広く提示することで、それに共感してくれるスタッフが集まり、そういう考えの歯科医師やスタッフがいるのなら行ってみようと思ってくださる患者さんもおられるのではないでしょうか。同時に、オープンにするからにはその理念を忘れるなよ、患者さんやスタッフはちゃんと見ているぞ、という自分へのメッセージでもあります。
先進の歯周病治療、噛み合わせ治療を診療の柱に
注力する治療の一つとして、歯周病治療を挙げられています。

歯周病は口の中に生息する細菌の出す毒素によって、歯を支えている顎の骨が溶かされていく病気。放置すると歯を失うことにつながりかねません。歯を失えばそこに入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの補綴治療が必要になり、それこそ40代で入れ歯になってしまう方もいます。ただ、そういうお話をしても皆さんなかなか自分事として捉えるのが難しいようで、抜歯なんてまだまだ先の話、くらいの感覚の方が多いように思います。歯周病が怖いのは、自覚症状がほぼないまま進行していくところ。虫歯治療の時などに歯周病を指摘されたら、その後も定期的にケアに通っていただくことをお勧めしています。当院としても患者さんの歯周病に対する意識を高められるよう、一人ひとりの心に響く決めゼリフを模索しながら、治療と予防対策をご提案していきます。
2024年10月に先進の歯周病治療器を導入されたとか。
耳の早い患者さん数名からお問い合わせがあり、その声に背中を押されて私もいろいろ勉強し検討した結果、患者さんにも当院にもメリットが大きいと判断しました。久留米でこの治療を受けられるところはまだ数軒だと思います。これまでは、歯周病が進行してしまうと通常のケアでは対応できず、歯茎を切開して歯石を取りまた歯茎を縫って戻すという外科的な治療が必要で、術後の痛みやメンタル的な負担が大きかったのですが、この新しい歯周病治療器により、歯茎を切らずに治療することが可能になりました。過酸化水素水と青いレーザーを照射することによって、歯周ポケット底部の殺菌を図り、超音波振動によるスケーリングも行います。気になる方は気兼ねなくお問い合わせいただきたいです。
もう一つの診療の柱である噛み合わせ・顎関節症治療についても詳しく教えてください。

噛み合わせは歯科診療において非常に難しい分野で、最終的にどう噛み合わせを持っていったらいいのか、いろんな考え方がありますし、治療をして理論上はこれで噛めるようになったはずなのに患者さんの感触は良くないという話もよく聞きます。私は開業当初から噛み合わせ治療の勉強会に参加しており、今はその代表を務めています。私たちが実践する噛み合わせ治療において重視するのは、歯の位置関係だけを見て合わせるのではなく、顎を動かす筋肉と関節にとってベストなポジションを探り、そこに噛み合わせを持っていくこと。当院では咬合診断システムを使って、データに基づいた噛み合わせ・顎関節症治療を行っています。
患者もスタッフも快適に過ごせる歯科医院をめざして
歯科衛生士は担当制にされているとか。

当院は予防を意識して取り組んでおり、その実現のため歯科衛生士は担当制にしています。歯科衛生士自身、患者さん一人ひとりの経過を診続けることで成長につながりますし、患者さんにとっても、担当の歯科衛生士がいることで歯科医院へのハードルがぐっと下がるのではないかと思います。歯科医師である私にはなかなか言えないけれど、歯科衛生士には気軽に話せるということもあるでしょう。患者さんとスタッフの距離感が近くなれば、その分、当院との距離も縮まる。私だけではどうしても縮めきれない距離をスタッフが埋めてくれていて、当院への安心感、信頼につながっていると実感しています。
ところで今年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得されたとか。
2級を取りました。もっと早く知りたかったと思うような知識ばかりですよ。私はこれまで、スタッフがここで働きたいと思ってくれるような歯科医院づくりにも力を注いできました。過去にはコーチングを勉強して、スタッフのキャリアを応援。ただ働くのではなく、もし当院を辞めたとしても次につながるような働き方を提案してきました。この資格を取ったのは、私も50歳になり今後を考えてもっとお金の知識を増やしたかったのもありますが、一緒に働いているスタッフに、キャリアだけでなくもっと広いライフプランという視点に立ったアドバイスができればという思いも大きかったです。もし何か相談された時にきちんと応えられる態勢は整えておきたいですね。
最後に、今後の展望を聞かせてください。

先進の歯周病治療器を導入したばかりなので、これから経過を見極めつつ、歯周病でお困りの方に治療の選択肢の一つとしてご提案していけたらと考えています。そして1本1本の歯を1日でも長く保てるようにサポートしていきたい。まさに「一歯入魂」です。噛み合わせ治療についても、ここまで注力している歯科医院もなかなか珍しいと思いますので、お困りの方は一度ご相談ください。今後も勉強会などを通して後進の育成にも尽力しながら、歯科業界全体に少しでも貢献できればうれしいですね。私はただなんとなく過ごすのが苦手で、今何ができるかと常に考えているような人間です。これからもさまざまな分野で研鑽を重ね、患者さんのため、スタッフのために精進してまいります。