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新居延 高宏 院長の独自取材記事

にいのぶクリニック

(吹田市/南千里駅)

最終更新日:2020/04/01

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新居延高宏(にいのぶ・たかひろ)先生は、大阪大学第二外科の関連病院で20年以上にわたり消化器外科手術に従事してきた。しかし生活習慣病において早期予防の必要性を痛感、また疾患ではなく患者そのものと深く関わりたいという思いから、2007年に「にいのぶクリニック」を開業。高血圧などの慢性疾患では、患者の受診意欲を高めるべく工夫をこらす。もちろん専門性を生かし、胃内視鏡検査も実施。さらに外傷の応急処置など、幅広い領域で従来のプライマリケアから一歩踏み込んだ診療に取り組んでいる。「さまざまな病気の診断や初期治療ができる、専門性の高い総合診療医になるのが目標です」と笑顔で語る新居延院長に、超高齢社会の中で医師が期待される役割や、大事にしている診療スタイルについて聞いた。
(取材日2018年4月13日)

早期からの生活習慣病予防に関わるべく開業医へ

ご開業の経緯を教えてください。

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1982年に大阪大学第二外科へ入局し、東大阪、豊中、西宮などの市民病院で消化器外科の医師として主に進行がんの手術を行ってきました。しかし、多くの患者さんには糖尿病や高血圧などの合併症もあり、複数の科で診療を受ける必要がありました。私が治療できるのは、患者さんの「消化器のがん」だけ、だったのです。また、手術のかいなく命を落とされることもあり、「もっと早期にがんを発見したい、さらにその前にある生活習慣の改善から、一人ひとりの患者さんと深く関わりたい」と思うように。そこで、大阪大学からほど近く、知り合いの先生方が近隣で勤務する南千里で、開業に踏み切りました。最初はご高齢の患者さんが中心でしたが、次第に働き盛りのサラリーマン世代や主婦の方も増えました。風邪や花粉症のような日常的な疾患や、生活習慣病、また腹痛など消化器症状のご相談が多いですね。

胃内視鏡検査もされているそうですね。

つい先日、新たな内視鏡システムを導入しました。胃粘膜の表面をより詳しく観察できるので、早期のがんや微小な病変も、今まで以上に見つけやすくなります。また当クリニックではピロリ除菌も行いますが、もし除菌に成功しても、除菌前にがん遺伝子の変異が始まっていれば、胃がんになる可能性はあります。しかし「除菌できればがんにはならない」と思い込み、内視鏡検査を受けてない患者さんがいるんですね。実際に当クリニックでも、数名ですが除菌後に胃がんが見つかっています。もちろん早期に発見できれば内視鏡でも治療できますので、除菌後の内視鏡検査には力を入れています。除菌できた患者さんには、「ピロリ除菌成功おめでとうございます。しかし、胃がんは除菌後に発生する可能性もあるので、次回は〇年〇月頃に検査を受けてください」というメッセージを渡しています。

生活習慣病の診療で工夫していることはありますか。

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生活習慣病の放置は後々大きな病気につながることを、私自身は目の当たりにしてきましたが、患者さんに治療を続けてもらうのは、簡単なことではありません。特に高血圧などの薬は、自己判断での中止や飲み忘れも多いものです。そこで、大阪大学の高血圧について専門的に研鑽を積んでいる先生の指導のもと「高血圧手帳」を作ってみました。受診時には手帳を持ってきていただき、測定値を記録してクリニックの印を押します。さらに、次回までの目標やちょっとしたコメントを、直筆で書き込んでお渡しします。簡単なことですが、多くの方が毎回手帳を持って受診されていますので、こういった仕掛けが、日々の服薬や、定期的な受診のモチベーションや患者さんとのコミュニケーションにつながれば良いと思っています。

超高齢時代だからこそ、総合的に診療できる医師が必要

患者さんとのコミュニケーションでは、どのようなことを心がけていますか。

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脈を診たり患部を確かめたりと、患者さんの身体に直接触れるようにしています。今、患者さんには触診されない医師もいるようですが、得られる情報が非常に多いので、私は積極的に触らせてもらいます。また、診察が無機質な時間にならないよう、患者さんとは膝を突き合わせ、目線を合わせて話をします。そのため、患者さんから聞いた情報をパソコンに入力する専門のスタッフである「シュライバー」も導入しました。開業して11年になりますが、スタッフの半数は開業時からそのまま勤務を続けてくれているので、こういった取り組みもサポートしてくれます。うれしいことですし、スタッフはクリニックの財産だと感謝しています。

花粉症や不眠症など幅広い病気の相談を受けたり、外科的な処置もされるのはなぜですか。

実は、私の目下の目標は「街の総合診療医」になることです。「総合診療医」という名称は、最近ではテレビで紹介される機会もありますね。1980年代の総合診療医は、院内のどの診療科にも当てはまらないような病気を診るという立場でした。しかし10年ほど前から新たに、イギリスの「家庭医」のようなかかりつけ医の位置づけで、「総合診療医」を広めていこうという動きがあります。超高齢社会となったわが国では、日常的な診療の場を病院から開業医に変えていく必要があり、そのためにはある程度の力量と専門性、プロ意識をもった開業医が必要です。総合診療が可能な医師を教育する具体的な取り組みとして、日常診療で遭遇しやすい病気についてインターネットを介して勉強するというシステムも始まっています。

かかりつけ医と総合診療医では、どのような点が違うのですか。

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地域の患者さんから広く相談を受ける点は同じですが、今までは、専門領域以外の相談に対しては診断や治療が可能な医療機関へ紹介するという、橋渡しの役割が多かったと思います。一方、総合診療を行う医師は、さまざまな領域について少し掘り下げて学んでいるイメージです。だから、日常生活でみられる頻度の高い症状であれば、おおよその診断をつけたり初期治療をすることができる、そう考えてもらえばよいと思います。私が簡単な外科処置を行うのも、その一例ですね。もちろん、必要があれば初期対応をした上で専門の医療機関へ紹介します。特にご高齢の患者さんでは、複数のクリニックを受診するのは負担が大きいので、国もこのような総合的な視点を持った医師の普及に取り組み始めています。総合診療を学んだ医師はまだ少ないですが、いずれ地域医療の中核となり、総合診療の良さも広く知られていくだろうと期待しています。

地域の開業医ならではの役割を果たしたい

吹田市の医師会でも、さまざまなお仕事をされていますね。

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吹田市の医師会では、学術の他に、高齢者対策や介護保険、そしてICT(Information and Communication Technology)を担当しています。ICTでは、当クリニックと済生会千里病院で連携を始めていて、患者さんの了承があれば千里病院で受けた検査データを当クリニックでも閲覧できるんですよ。また高齢者医療に関しては、介護保険についての知識があり在宅診療のできる医師の育成が急がれるので、医師会でも勉強会を開いています。外科の医師だった頃には開業医のほうが楽なように見えていましたが、今は開業医のほうが診療以外の仕事も多く忙しいように思います。ただ、勤務医の頃に知り合った先生方と診療や勉強会などで連携できると、うれしかったり励まされたりしますね。

多忙な毎日ですが、どのように気分転換されていますか。

月に2回ほど、ゴルフに行きます。医師会の先生方と回ることもありますし、へたくそなので女子プロの方に指導してもらうこともあるんですよ。今は医師会の業務で忙しいですが、開業医は孤独になりがちなので、リフレッシュの機会は意識してとるようにしていますね。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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総合診療医、いわばサブスペシャリストになるための勉強をすると、自分の専門にもプラスになることが多いと感じています。学んだことは患者さんに還元していきたいですし、さらに総合診療をする先生方を増やしていきたいですね。それから、開業して11年がたち、当初から受診されているご高齢の患者さんの中には、通院が難しい方も出てきました。以前は訪問診療をしていたのですが、今は時間が取れず、在宅専門の先生にお願いせざるを得ない状態です。いつかは訪問診療を再開して、患者さんに恩返しがしたいと切に望んでいます。

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